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■「灰色のサイ」は不動産市場のリスク

金融系国際会議の常連である向松祚の率直な物言いは物議を醸したが、その後も意気は衰えない。今年1月20日、上海での経済フォーラムでは、18年に突如現れた私有制廃止論などの雑音に脅える民営企業が自信を喪失し、米中貿易戦争がもたらす甚大な影響も完全に見誤ったと学者やメディア人の具体名を挙げて批判した。成長率を巡る政府公式見解と実態の解離も再びにおわせている。

中国では「経済の真実」を巡る情報統制が強まりつつある。だが、面白いことに、政府の手法に疑問を呈する講演の動画は、中国内のインターネット上に問題なくアップされ、しばらく放置される。そして中国内と世界に行き渡り、大きな話題となった後、中国内で削除されるのだ。

現実から目をそらすべきではない――。そう主張する共産党内「改革派」や長老らから一定の支持があると見てよい。中国の経済メディア内にも「習近平指導部は統計の『水増し』をただす決意を示してきた。真実の一面を示す勇敢な発言は長期的に中国のためになる」と支援する向きも多い。

中国政府が打ち出したインフラ投資の追加など従来型の景気対策の規模は大きい。これが効果を上げ、消費も力強さを回復すれば、建国70年の記念式典がある19年後半には景気が持ち直す可能性はある。だが、読めない米大統領、トランプの対中姿勢以外にも別の大きなリスクが存在する。

ちなみに向松祚が年初講演で声を強めたのは、習近平演説と同じ「灰色のサイ」。時系列で言えば向松祚の方が1日早く、習演説を先取りしていた。しかも習と違い具体的だ。19年の灰色のサイの一つは、異常に高騰した中国不動産市場の崩壊リスクだという。