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(株)エナリス【6079】の掲示板 2015/08/12〜2015/08/17

安倍政権を揺るがす「日本的ダブルスタンダード」 「法的安定性」のない政治が原発や安保を混乱させる
JBpress 2015/8/13 11:45 池田 信夫
■「片肺飛行」で始まる電力自由化

 したがって今のペースで1年に1基ずつ審査していると、2030年までに15基がせいぜいだ。それまでに40年の使用期限が来る原子炉もあるので、エネルギーミックスで打ち出された「2030年に原子力の比率が20~22%」という目標は実現不可能で、最大でも15%程度だろう、と経産省も認めている。

 他方、経産省は2016年4月から電力の小売りを自由化するが、このほとんどの原発が止まった「片肺飛行」の状態には手をつけられない。規制委員会が強い独立性をもった「三条委員会」なので、手が出せないのだ。

 このため電力会社が原発を止めて大幅に発電単価が上がり、供給責任を一方的に負わされ、放射性廃棄物の処理コストをどう負担するのかというルールも決まらないまま、再生可能エネルギーに過大な補助金をつけて、自由化が始まる。

 自由競争というのは一般論としては政府が規制するより望ましいが、それは競争する企業が同じ条件で競争する場合である。このように電力会社の手を縛って新電力に殴らせるような競争では、ますます歪みが大きくなる可能性もある。

 自由化で業者が増えると燃料の調達コストが上がり、価格を自由化すると独占価格になって上がることもある。これまでの各国の自由化の実績を見ても、自由化後に電気代は上がる場合が多い。これは原油価格の上昇や税制の影響あるが、少なくとも自由化で劇的に電気料金が下がった国はない。