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【USD】ケース・シラー米住宅価格指数の掲示板

リターン求めジャンク債争奪戦-高めのリスク追求で玉突き現象

(ブルームバーグ): 景気回復と世界的なワクチン接種進展で大胆になった債券投資家が、一段と大きなリスクを取るようになっている。

欧米の保険会社や年金基金、投資適格債運用者は利回り低下に対応しようと、高リスク・高利回りのジャンク債保有を増やしている。ジャンク債の中で最も安全で大きな部分を占める格付け「ダブルB」クラスの債券は奪い合いだ。

これまで希望通りのジャンク債の購入が可能だったファンド運用者は、新発債への注文の一部しか買えないことがあるという。運用者らは非公開情報だとして匿名を条件に語った。発注より15%少ない割り当てになった運用者もいる。

需要増大で利回りは過去最低となり、投資家がさらにリスクの高い領域に踏み込むという玉突き現象を生んでいる。借り入れコストが下がり、高リスク企業でも計画通りかそれ以上の資金が調達できるため、発行体企業にとっては素晴らしい環境だ。

バークレイズの米クレジットトレーディング共同責任者、ジョン・コルテーゼ氏(ニューヨーク在勤)は「市場は過熱気味で投資家は投資機会を探す幅を広げることを余儀なくされている。伝統的に5-7%の利回りを得ていた高利回り債投資家は、クレジット市場の中のさらに高利回り部分を見ている」と述べた。格付け「トリプルC」クラスの債券やプライベートクレジット、ローン担保証券(CLO)などだ。

投資家は2021年後半に世界経済が急加速すると見込んで投機的格付け債に資金を投じている。ブルームバーグがまとめた最新の月次エコノミスト調査によれば、今年の米国内総生産(GDP)は6.1%増と、1984年以来の高成長が予想されている。

この楽観が米ジャンク債利回りを押し下げ、ドル建てCCC格付け債の平均利回りは23日に6.1%となった。欧州では一時5.8%となり、昨年の新型コロナウイルス危機さなかの19%から様変わりだ。

インベスコの北米投資適格債責任者、マット・ブリル氏は「高利回り債全体の問題は、バリュエーションが過去の水準に照らして行き過ぎていることだ。本当に興味をそそられる魅力的な機会だと思っても、利回りは3.5-4.5%にすぎない」と話す。同氏は通常の戦略から離れ、高格付け債に割り当てる資金をダブルBクラスのジャンク債投資に充てているという。

その結果、もともとの高利回り債投資家は投資機会を見つけるのがさらに困難になる。エイゴン・アセット・マネジメントの高利回り債運用者、マーク・ベンボウ氏は、ダブルB級格付け債への配分を24%と2017年の60%から減らし、トリプルCクラスへのエクスポージャーを高めたという。

原題:Bond Investors Take Ever-Riskier Bets in Hunt for Greater Return(抜粋)

(c)2021 Bloomberg L.P.