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【USD】ケース・シラー米住宅価格指数の掲示板

米国債利回り、今後は実質金利上昇が押し上げか-成長期待の高まりで

(ブルームバーグ): 長期米国債利回りの次の上昇要因は、実質金利となる可能性がある。実質金利は成長見通しに関する債券市場の見方を最も純粋に反映する指標の一つだ。

2日発表の3月の米雇用統計では雇用者数が大幅に増加したほか、米供給管理協会(ISM)が発表した3月の非製造業総合景況指数は統計史上最高になるなど、力強い経済指標の発表が相次いだ。これを受け、米国債相場を今後支配するのはインフレではなく、成長期待になるとの見方が強まっている。

この違いは重要だ。実質金利の上昇は、景気回復の勢いが強まっていると投資家がみていることを示唆するが、上昇が続けば株式を含む他の資産に悪影響を及ぼしかねない。成長が極めて力強いため米金融当局が政策引き締めへの第一歩として資産購入縮小を検討し始めると市場が考えていることを示唆するため、比較的リスクの高い資産が打撃を受け始める可能性がある。

実質利回り上昇はリスク資産にとって黄信号-株式などが競争に直面も

10年物インフレ連動債(TIPS)が示す米実質利回りは約マイナス0.67%と、2020年半ば以来の高水準近くとなっており、昨年9月に記録した過去最低水準のマイナス1.12%から上昇している。

ウォール街のストラテジストの大半は、米金融当局が利上げする前に債券購入縮小を検討し始めるとみている。これは過去に実質金利が上昇するきっかけとなった動きだ。

13年1月に約マイナス0.6%だった実質10年債利回りは、米金融当局が資産購入の縮小を開始する方針を示した同年12月までにプラス0.76%になった。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は米金融当局が6月に債券購入縮小の議論を始める可能性があると指摘。モルガン・スタンレーは米金融当局が債券購入のテーパリング(段階的縮小)プログラム開始を来年1月に発表すると予想している。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアイラ・ジャージー氏とアンジェロ・マノラトス氏は、「景気見通し改善の中で米金融当局による緩和縮小が見込まれれば、資産購入縮小の開始前に10年物TIPS利回りはプラスに転じる可能性がある」と指摘した。

原題:U.S. Yields’ Trek Higher Seen Getting Fuel From Real Rates (1)(抜粋)

(c)2021 Bloomberg L.P.