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【GBP】卸売物価指数の掲示板

2016年6月、英国民は国民投票でブレグジット(英国の欧州連合からの離脱)を選択し、2021年1月、ジョンソン英首相は、自由貿易協定(FTA)で合意してEUから離脱した。すなわち、ジョンソン英首相は苦手だった2人の女性(メルケル独首相とフォンデアライエン欧州委員長)と別れたことになる。
 しかし、2016年の国民投票では、北アイルランドとスコットランドは、EU残留を選択している。
 英国「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」のリスクシナリオは、EU加盟を望むスコットランドとウェールズが独立し、北アイルランドがアイルランドとの統一を果たすことで、イングランドのみの小国に転落するという落陽を迎えることになる。すなわち、ジョンソン英首相が、2人の女性(スタージョン・スコットランド自治政府首相とメアリー・ルー・マクドナルド党首)と別れる可能性となる。

1.スコットランド独立:スタージョン・スコットランド自治政府首相
 2014年、スコットランド国民党(SNP)は、スコットランド法30条に基づいてスコットランドの独立を第1回住民投票で訴えたが、45%対55%で反対派に敗れた。
 2016年6月の英国のEUからの離脱を問う国民投票では、スコットランドは62%の有権者がEU残留を支持したものの、英国全体で52%がEU離脱を支持した。
 2019年12月の総選挙では、スコットランド民族党は、スコットランドの59議席中、80%に当たる47議席を獲得し、2017年の前回選挙から11議席を上積みした。
 「雌ライオン」の異名をとるスタージョン・スコットランド自治政府首相は、スコットランド独立の是非を問う2度目の住民投票をスコットランド議会の解散期限が来る2021年に実施したい意向を示している。

2. アイルランド統一:メアリー・ルー・マクドナルド・シン・フェイン党首
 英国と欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)が難航した理由は、1998年の北アイルランド包括和平合意が脅かされる可能性、すなわち、EU加盟国である「アイルランド」とイギリスの一部である「北アイルランド」の間にハードボーダー(厳格な国境管理)が出現する可能性が浮上したことにある。
 アイルランド出身のバイデン第46代米大統領は、欧州連合(EU)に対して前向きなスタンスを示しており、「北と南の国境を再び閉鎖するという考えは端的に言って正しくない。国境は開かれたままにすべきだ」と述べている。そして、EU首脳は、北アイルランドがEU加盟国であるアイルランドと統一した場合、自動的にEUに復帰することができるとの見解を示している。
 アイルランド統一を標榜し、2020年の総選挙で第2党に躍進したシン・フェインは、南北アイルランド統一の是非を問う投票(ボーダーポール)を2025年までに実施すると表明している。メアリー・ルー・マクドナルド党首は、「ベルファスト合意でイギリスは譲歩した。ここでの存在感は、単に同意に基づいている。その同意は、アイルランド統一についての住民投票によってのみ判定し得る。そして私たちは統一についての住民投票を、整然と思慮深く民主的で、完全に平和的な方法で実施する。」と、アイルランド統一に向けた意欲を示している。