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最新3月の日銀短観では、大企業・製造業の製商品需給判断(需要超過−供給超過)で国内よりも海外の優位幅が6年超ぶりの高水準となってきた。日本企業によるコロナ教訓や半導体不足、世界的なデジタル・環境関連の新需要取り込み、米中新冷戦などを踏まえたサプライ・チェーン(供給網)再編成と生産拠点の再構築にあって、改めて海外向けの設備投資や外国企業の買収が後押しされやすい。
日本株市場では外需関連株や設備投資関連株にプラスとなるほか、為替相場では円安・ドル高の支援材料になる。

菅首相による15-18日の米国訪問と日米首脳会談を控えて、改めて日米協調によるサプライ・チェーン再構築の具体化策と、日本企業の成長戦略への取り込み策が政策テーマとして注目されそうだ。
米国でもサキ大統領報道官が5日、日米首脳会談についてハイテクなどでの中国封じを踏まえ、「サプライ・チェーンを含む幅広い分野で緊密に連携を深めることを目指している」と述べた。

米バイデン政権では成立済みや計画段階での大型経済対策で、サプライ・チェーン増強を含めたインフラ投資を盛り込んでいる。米中新冷戦で日米同盟が再強化されるなか、日本企業には一定の参入チャンスが付与されるほか、海外供給網の強靭化と生産性・生産力の向上などで支援材料になっていく。

その中で最新3月の日銀短観では、大企業・製造業の製商品需給判断(需要超過−供給超過)で「海外」が−6となった(前回−17)。昨年6月の−29をボトムとして、2019年3月の−5以来というマイナス幅縮小へと改善している。かたや「国内」の需給判断は−13と出遅れており、「海外−国内」の格差は+7の海外優位となっている(前回+4)。2019年12月の−2という海外劣勢をボトムとして、2014年12月の+8以来、実に約6年超ぶりの海外優位幅となってきた。

過去実績として海外優位の拡大局面では、輸出や海外現地売上の増加などが日本企業の収益拡大と株高の要因となっている。輸出増加は為替相場で円高・ドル安要因となるが、それ以上に日本企業による海外向け設備投資増加と海外現地生産の拡充、外国企業の買収が進むほか、米国など海外経済の改善などがドル高・円安へと作用してきた。今回も円安支援効果に加えて、日本株市場での外需関連株や設備投資関連株へのプラス影響が注視されそうだ。

前回、製商品需給判断における「海外−国内」格差での海外劣勢局面は、2015年から始まり2015年12月の+1から2016年6月の+2で底入れ反転となった。そこから海外景気の循環的な回復もあって、2018年6月の+6まで海外の優位幅が拡大している。

同期間の前後で日経平均株価は、月間の高値比較で2016年6月から2018年10月の29カ月間で、+7302円幅の株高ラリーが形成されている。ドル/円は2016年6月の98円前後でドルが底入れとなり、翌2017年1月の118円方向までのドル反発と、2018年末までの104−115円前後のドル安定化が維持されている。

過去の海外優位局面としては、2014−2015年、2006−2007年などがあった。いずれもドル高やドル安定化、日本株市場での外需関連株や設備投資関連株の上昇が連動観測されている。

今回の場合、3月短観時点における「海外」需給判断の改善業種には、電気機械の+10(2000年9月以来の大幅プラス)、生産用機械の+1(2019年3月以来のプラス幅)、はん用機械のゼロ(2019年6月以来のマイナス脱却)、紙・パルプの−5、非鉄金属の−10などが見られている。

同時に3月短観では外需の先行き改善見通しが反映される形で、輸出計画も底堅さが示された。新年度計画での輸出額は大企業・全規模ベースで前年比+3.0%となり、昨年3月時の+0.6%からプラス幅を拡大させている。同じ3月短観では2010年の+4.4%以来、11年ぶりの強気見通しとなっている。

あくまで前年のコロナ打撃の反動が大きいものの、設備投資計画(含む土地投資額)も新年度計画は前年比+3.0%と底堅さが示された。感染対策やデジタル・環境関連の需要増、供給網の再構築、半導体不足への対応などもあり、昨年3月時の+1.8%からプラス幅を拡大させている。

3月短観における新年度計画での「輸出+3.0%、設備投資+3.0%」という同時改善は、実に2006年3月の+2.7%と+2.7%という組み合わせ以来となるものだ。2006年は新年度入り段階での強気見通しが、日本株を慣性的にサポート。日経平均株価は暦年の年間高値で、前年比+1117円幅の上昇が見られている(年間の高値場面は4月と12月)。
 最近では2018年3月短観時が、輸出+1.2%と設備投資+2.3%という両プラス化になっていた。同年の日経平均は前年比+1065円まで上昇となったほか、年間高値は10月の「年後半高」となっている。
過去実績として輸出と設備投資が双方とも前年比+1%以上という高めの発射台でスタートする年度は、12月にかけて最低でも前年比+1000円前後、最高で2005年のように+4249円の上昇となる株高が連動支援されてきた。とくに設備投資計画は、年度後半に向けて上方修正される傾向が強い。今回も12月に向けた年後半の株高支援材料として注目されそうだ。

今年3月短観での新年度・輸出額計画では、強気見通しの業種として、生産用機械の前年比+9.1%(昨年3月時は+0.3%)、はん用機械の+8.7%(+4.9%)、窯業・土石製品の+4.5%(−0.2%)、紙・パルプの+3.8%(+1.6%)、輸送用機械の+3.5%(+0.8%)などが見られていた。