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欧米 金融政策の掲示板

【コラム】スタグフレーションの風も呼ぶ中東情勢の緊迫-エラリアン

2024年4月15日

イランとイスラエルとの長年の緊張関係が今月に入り著しくエスカレートしたことは周知の事実だ。いずれも自国の領土が攻撃され、直接的な報復が正当化されると主張している。他の諸国は冷静さを保つよう呼び掛けるが、さらなる事態のエスカレートをイランとイスラエルを警告する。

  次に何が起きるかにかかわらず、特に過去6カ月でとてつもない人道的悲劇を経験した不安定な地域において、重要な一線を越えてしまったと多くの人が感じている。中東情勢の不安定さが比較的抑えられていたという見方もあったが、多くの関係国を巻き込む危険なほど不安定な状況に今や移行した。

財政・金融政策といったリスク緩和手段が既にぎりぎりまで活用され、
米国のインフレの粘着性が示される現状では、
グローバル経済にスタグフレーション(景気停滞下のインフレ)
の風が吹く脅威の高まりを彼らは考慮せざるを得ない。

それは14日の主要7カ国(G7)オンライン首脳会議を含む国際外交の狙いでもあるが、イランとイスラエルの状況判断に左右される。

世界経済と市場は、今回限りの地政学的なリスクプレミアム上昇には対処できる比較的良好な状態にある。しかし、より著しい形で一層多くの関係国を巻き込み、さらにエスカレートする事態を乗り切れる状況ではない。

それに伴うエネルギー価格ショックは、ドイツや英国がテクニカルリセッション(景気後退)を抜け出す助けになる製造業の回復を妨げるだろう。

米連邦準備制度や多くの人々の予想を上回る頑固な物価上昇が続く米国のインフレ状況は複雑さを増し、中国が必要とする構造改革も一層困難になるだろう。

国際金融・経済のフラグメンテーション(断片化)に向かう動きが強まることも予想される。