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日銀会合でETF売却の意見 「埋蔵金論」をけん制か

4月の日銀金融政策決定会合で、保有する上場投資信託(ETF)の処分をめぐる意見が出た――。日銀がそんな事実を開示し、関心を集めている。

日銀がすぐに売却を始める可能性は低い。ただ、巨額の保有ETFについて、様々な政策用途に活用し得る「埋蔵金」のようにとらえる空気が政府や政界に広がっているのをけん制したい思いもありそうだ。日銀独自の処分案をめぐる議論が次第に深まるのか、注意を払った方がよさそうになってきた。

「長い時間がかかっても残高をゼロに」

ETFをめぐる意見を開示したのは、4月25〜26日の決定会合で出た声を記した「主な意見」(5月9日公表)だ。2つの声が出ていたが、目を引いたのは「仮に長い時間がかかっても方向としては残高をゼロにしていくべきである」との主張だ。

背景にありそうなのが、日銀ETFについて様々な活用論が浮上しているとされること。政府側の組織に簿価や時価で譲渡し、分配金収入を一定の政策目的に活用するとか、割引価格で個人に売って投資家の育成を後押しするとかといった案が、政府や政界、市場などで出ているようだ。これに対して、日銀としては、株価への影響に配慮しつつ、少しずつでも自らマーケットで時価による処分をしたいとの意向を示し、けん制したように見える。

現時点で日銀会合内の多数派意見ではなさそうだが、「(ETFの具体的な扱いは)少し時間をかけて検討したい」(植田和男総裁)としてきた従来の説明より踏み込んだ印象を与えた。

  • >>6639

    日銀独自の案の提示も必要に

    政府や政界などで、様々な日銀ETF活用策のアイデアが出る裏側には、中央銀行が事実上の株式を大規模に保有している現状を批判的に受け止める空気がある。一方で「埋蔵金のようにとらえる政治的な議論は望ましくない」といった声は政府内にもあり、いずれにせよ日銀としても独自案の提示が必要になりつつある。

    もっとも、日銀には譲渡より保有を優先したい思いがある。短期間の売却で巨額の利益を手にしても、仮にその多くが国庫納付されるなら日銀の手元にはあまり残らないかもしれない。一方、持ち続ければ分配金を継続的に得られる。分配金の規模は今や年間1兆円を超え、保有国債の利息収入に迫る。重要なのは、これが金融政策の正常化を円滑に進めるための貴重な財源になる点である。

    利上げ過程では、金融機関が積んだ日銀当座預金の大部分にかかる付利を上げる手法をとる。大規模な金融緩和のもと当座預金は500兆円を上回り、利上げを進めれば銀行への利払いが膨らむ。その影響の緩和にETF分配金は貴重だ。

    とはいえ、単にETFを持ち続けるだけだと、中銀の株式保有を問題視する声が消えない。対応として、少額ずつでも売る姿勢を示すのは得策。少しずつなら株価への悪影響も限られるし、多額の分配金も得られる。そこで決定会合で出てきたのが、長い時間がかかっても残高をゼロにしていくべきという「長期少額売却案」だと考えられる。

  • >>6639

    既に手掛けている「小幅な株式売却」

    実は日銀は既に「小幅な株式売却」を手掛けている。かつて金融システム安定策の一環として銀行から買い取った株式を2016年度から当初の想定で年間3000億円程度のペースで処分しているのだ。今はETFの買い入れをやめたため、株式について日銀は売りに専念する形になっており、この状態が25年度まで続く予定。日本の株価が大きく崩れないなら、26年度からはETFの同程度の売りに切り替えることもできる。

    ETF保有残高(簿価約37兆円)の時価は約73兆円(4月末時点、ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏の推計)。単純計算で年間3000億円程度の売りでは240年以上かかってしまう。それでも、市場への悪影響を避けられる範囲で株を手放そうと努めている姿勢は示せるし、長くかかった方が分配金収入を生むETFを持ち続けられる。

    銀行から買った株の処分が完了するまで残り2年を切った。仮にその後のETF売却への切り替えを想定するなら、いずれ水面下で具体的な検討が始まっても不思議はない。