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「カカオ危機」1年で価格3倍 主産地不作、終息見えず

チョコレートの原材料のカカオ豆の高騰が止まらない。欧米市場の先物価格は初めて1トン1万ドル台に到達し、代表的な産業素材である銅の価格(1トン9300ドル台)を上回った。西アフリカの主要生産国の不作に伴う深刻な品不足のほか、当業者が売り持ち高の解消を迫られていることが拍車をかける。銅の価格超えは、世界的な食料インフレの根強さを映す。

「40年近く業界で取引してきたが、これほど激しい相場はかつて目にしたことがない」。カカオ豆の専門商社、コンフィテーラ(東京・港)の今村雄紀社長はこう嘆息する。

  • >>5877

    ニューヨーク市場の先物価格(期近)は3月下旬に初めて1トン1万ドルに到達し、今月2日には史上最高値の同1万324ドルを記録した。現物取引の指標であるロンドン市場の先物価格(第2限月)も2日に1トン8050ポンド(約1万170ドル)の最高値を付けた。いずれの市場でも年初比で2倍超、1年前比では3倍を超す高値となっている。

    高騰のきっかけは、2カ国で世界生産の過半数を占めるコートジボワールとガーナの不作に伴う供給不安だ。異常気象や病害発生などの影響で収穫が大きく落ち込んだ。国際ココア機関(ICCO)によると2月時点でこの2カ国の主要港湾に集まったカカオ豆の集荷量はそれぞれ前年比3割減った。

    立花商店(大阪市)の生田渉取締役は「不作で輸出業者が十分な量を集荷できず、海外の需要家との契約が不履行になるなどの問題も生じている」と指摘する。「工場を急に止められないアジアや欧州の加工業者などが調達に不安を覚え、高値でも買い集めたことも一因になった」とみる。

    これに拍車をかけたのが金融市場での「ショートスクイーズ」だ。

    加工業者や流通業者などの当業者は通常、現物を保有している期間の価格下落を回避(ヘッジ)するために先物市場で売り持ち高を保有する。足元では価格急騰を受けて、ヘッジ売りで含み損が膨らんだ当業者がマージンコール(追加担保の差し入れ要求)に対処するため、多額の資金を用意しなくてはならなくなった。取引に必要なイニシャルマージン(当初証拠金)も平時の4倍ほどに跳ね上がった。

    伊藤忠商事の山田恵公カカオ・ゴマ課長は「ヘッジ売りをしていた当業者を中心にマージンコールの圧力に耐えきれず、売り持ち高解消のための買い戻しを余儀なくされたことが相場の上昇を加速させた」と分析する。

    カネ余りで運用先を探すヘッジファンドが、市場のゆがみを突いて商品市場にマネーを投じていることも、急騰に拍車をかける要因だ。

    足元ではカカオの買い戻しも徐々に進みつつあり、急激な相場の動きは一旦は止まる可能性もある。ロンドンとNYの先物市場では、ファンドの買越残高と当業者の売越残高はともに直近ピークの1月下旬から3分の1以下に減った。

  • >>5877

    それでも高騰の終息はなお見えない。ICCOの予測によると、23〜24年度の世界のカカオ豆生産量から消費量を差し引いた供給不足幅は約37万トンと、過去10年で最大の供給不足となる見通しだ。

    生産量を増やすにも、新しく植えられたカカオの木が実を付けるまでには3〜5年程度かかるため、世界的な供給逼迫を緩和させるには時間がかかる。伊藤忠の山田氏は「今後も品不足の継続を前提に産地の多様化や、植物油を原料とするカカオ代替油脂など複数の調達オプションを常に用意する必要がある」と指摘する。

    カカオの先物価格の上昇は日本のカカオ豆の調達価格を押し上げ、チョコ製品の値上げ圧力となることが確実な情勢だ。カカオ豆以外にも、干ばつや多雨など異常気象による不作が価格を大きく押し上げている食料品は少なくない。オリーブオイルも国際相場が今年の1月に初めて1トン1万ドルを超え、カカオと同じく銅より高い。

    ウクライナ危機直後の世界的な食料インフレは小麦などの値下がりにより一服感が出ていたものの、チョコなど嗜好品を中心に第2の波が押し寄せつつある。