銘柄・業界分析の新機能についてアンケートへご協力ください
いつもYahoo!ファイナンスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
ただいま、業界や銘柄の分析をユーザーのみなさまと一緒に行い、意見を共有できる新しい機能を検討しています。
ぜひ、ご意見をお伺いしたく、ご協力いただける方は以下のリンクよりアンケートにご参加ください。
率直なご意見・ご感想をお待ちしています!

新機能の利用意向アンケート」(所要時間:5分程度)
ここから本文です
prismhit~~~明日から令和ですね。
投稿一覧に戻る

prismhit~~~明日から令和ですね。の掲示板

「米国株、AI恩恵ここから」ピーター・リンチ後継者

米株式市場で主要株価指数の最高値更新が続いている。ただ、11月の米大統領選の行方や景気動向など不透明要因は多い。アップルなど主要ハイテク株の中には相場全体に対し出遅れが目立つ銘柄も出てきた。先行きが見通しにくい米株市場で、投資家はどう振る舞うべきか。伝説的ファンドマネジャーとして知られるピーター・リンチ氏がかつて担当した「フィデリティ・マゼラン・ファンド」の9代目運用担当者、サミー・シムニガー氏に話を聞いた。

  • >>12582

    「オープンマインド」で銘柄発掘

    ――約60年の歴史とおよそ350億ドル(5兆円、8月末時点)の資産残高を持つファンドの運用で、どのようなことを心がけていますか。

    「これまでずっと、ピーター・リンチをはじめとする伝説的なファンドマネジャーの背中を見てキャリアを歩んできた。彼から学んだのは『常にオープンマインドでいること』の重要性だ。市場には常に変化があり、長年市場から見放されてきたようなセクターや銘柄が一転して投資家の注目を集めるようなことがある」

    「例えば電力が成長(グロース)セクターになるとは、少し前にはほとんどの人が考えもしなかった。市場に存在する好機を逃さないために重要なのは、なるべく色々な会社の人々と会って話を聞き、最も可能性があると思う銘柄に投資することだ。これは50年近く前にピーターが確立し、フィデリティの中で脈々と受け継がれてきた手法だ。頻度はそう多くないが、今でも平均して年に1回程度はピーターと投資アイデアなどについて会話する機会がある」

    ――米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを開始しました。株式市場のトレンドに変化が起こるとみていますか。

    「一部の大型テック株が相場をけん引する構図が変わり、今後は物色に広がりが出てくるとみている。これまで消費者はクレジットカードや自動車ローンなどの債務に苦しんできた。利下げにより個人消費の回復が期待できる。自動車セクターがその恩恵を受けられる一例とみている。また、米国内に製造拠点を戻すオンショアリング(国内回帰)やインフラ投資の増加も注目している投資テーマだ」

  • >>12582

    ソフト・電力に注目、アップル株は見送り

    ――AI(人工知能)ラリーは終わったとの指摘もあります。AI関連のハイテク株の先行きをどうみていますか。

    「AIの発展は始まったばかりで、ここからさらに成長が続くだろう。次はAIがソフトウエアに統合される段階だ。例えば(会計ソフト大手の)インテュイットはAIを活用して顧客のメールを解析し、未送信の請求書を自動生成するといった機能を提供する予定だ。このようにAIを活用することで企業が顧客に対して質の高い価値を提供できるようになれば、業績のさらなる成長につながる」

    「電力や建設資材関連にも、AIの普及によってプラスの効果が期待できる。対話型AIの『Chat(チャット)GPT』による検索は通常のGoogle検索よりも10倍近いエネルギーを消費すると言われており、電力需要増加の恩恵を受けるためだ。データセンターを稼働するための電力網の強化にあたり、必要な建設資材を提供するマーティン・マリエッタ・マテリアルズやバルカン・マテリアルズといった企業にも注目している。これらの企業は強い価格決定力と高い利益率を持っている点も強みだ」

  • >>12582

    ――大型テック株の中で、ここ数年アップルへの投資を見送ってきた理由は何ですか。

    「参考指数に対して最も大きくアンダーウエートしている銘柄のひとつがアップルだ。理由は、アップルは優良企業だが成長企業だとは思わないからだ。iPhoneの販売台数は減速気味で、9月に欧州連合(EU)が発表したような(基本ソフト=OSを公開しなければ制裁金を課す)規制リスクもくすぶる。アップルはテクノロジー株でありながらも生活必需品株としての側面も強い」

    ――日本の株式市場についてはどうみていますか。

    「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の改革が進み、より多くの企業が配当や自社株買いといった株主還元を重視するようになった。さらに、事業の選択と集中による利益率の向上が進んでいる点も評価できる。ソニーグループが好例だろう。マゼラン・ファンドでは米国以外の国の銘柄も組み入れることはできるが、現状で日本株は保有していない」

  • >>12582

    「10倍株」身近にヒント 教え受け継ぐ

    マゼラン・ファンドは1963年に設定され、81年から一般の個人投資家にも販売されるようになった。運用残高は90年代に世界最大規模となり、ピーク時には1000億ドルを超えた。設定来のリターン(2024年6月末時点)は約8085倍とS&P500種株価指数の366倍を大きく上回る。

    3代目の運用者で「伝説のファンドマネジャー」として知られるピーター・リンチ氏が担当したのは1977〜90年の約13年間。任期中には年率平均リターン29%(S&P500は約15%)という成績を残した。マクロ経済分析が主流だった時代に、ボトムアップの銘柄分析の重要性を主張したことで運用業界に大きな影響を与えた。

  • >>12582

    リンチ氏は著書「One Up On Wall Street(ピーター・リンチの株で勝つ)」の中で、株価が10倍になるような「テンバガー株」を探すヒントは身近にあると語る。メキシコ料理チェーンのタコ・ベル株を買ったのは「旅先のカリフォルニアで食べておいしかったから」、ドーナツチェーンのダンキン・ドーナツ株を買ったのは「あそこのコーヒーが好きだったから」という。

    現担当者であるシムニガー氏も、リンチ氏からは「オープンマインドでいることの重要性」を学んだと話す。市場の短期的なトレンドに振り回されることなく、あちこちに目を配りよい投資機会を探し続けることの重要性は、歴代の担当者にも脈々と受け継がれているようだ。

  • >>12582

    もっとも「伝説のファンドマネジャー」の後を継ぐのは簡単ではない。歴代担当者の中には思うような成績を残せずに担当を外れたケースもある。

    5代目のジェフ・ヴィニック氏は他ファンドの実績を買われて33歳の若さで就任、92〜96年に担当したが、ハイテク株への配分を絞ったことで「ドットコムバブル」相場に出遅れた。

    7代目のハーリー・レンジ氏(2005年10月〜11年9月)が担当していた06年5月には、運用残高の2割近くを分配金として払い出したことで残高が急減。運用成績が市場平均を下回ったことなどにより担当を外れた。

    シムニガー氏の担当下でマゼラン・ファンドのリターンは23年にS&P500を4.7ポイント、24年も足元まで4.6ポイントほど上回っている。9月12日には同様の運用を行う米国上場投資信託(ETF)に投資するファンドを日本で販売開始した。