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米国株を楽しむ!の掲示板

米国のITハイテク株は前年比での金利上昇の圧力が、短期的な調整下落や中長期的な上昇ペース鈍化の要因として注視される。米10年債金利は昨春以降の急低下の反動もあり、3月から約26カ月ぶりの前年同月比プラス公算となってきた。

前年比での経済指標や企業収益、資金調達環境、金利見合いでの株価の割安感などに打撃となり、コロナワクチン接種拡大などによるデジタル特需一服などもあって、段階的な業績相場移行への落ち着き所が焦点になる。半導体などの需給逼迫も、年央以降にかけては緩和と先行き余剰がリスクとなる。

現在は半導体の品不足と裏表の供給制約などが、米国内外でのハイテク株のマイナス要因となっている。一方で現状からの増産と先行き需給の逼迫緩和もまた、増産加速後の反動的な在庫積み上がりや生産余剰化のリスクなどもあって、「先読み」の観点で関連株の上値を抑えていく可能性がある。

その他、ITハイテク株に関しては、米国内外でのコロナワクチン接種拡大と段階的な経済正常化への期待感、裏表でのリモートなどコロナ特需の一服などが悪材料になってきた。同時にワクチン進展は、米FRBによる超金融緩和のペース鈍化や規模縮小につながるものだ。実際の緩和出口には時間を要するとはいえ、時間軸として「過剰流動性相場の天井ピーク」から、リアルなITハイテク需要の底堅さに即した「業績相場」への落ち着き所を段階的に模索していくフェーズへと移行しつつある。

ただでさえ現在の米ITハイテク株は、名目金利と実質金利の両上昇が一旦の高値警戒売りを後押しさせている。日柄面で米10年債金利は今年3月以降、昨春からの金利急低下の反動もあって、「前年同月比」でプラス化の上昇となっていく。前年比での金利上昇は2019年1月以来、実に約26カ月ぶりとなるものだ。

過去実績として「前年同月比での金利上昇」は、前年比での経済指標や企業収益、資金調達環境、金利見合いでの株価の割安感などに打撃となってきた。とくに金利動向に敏感なITハイテク関連セクターについては、前年比で金利が上昇に転じる前後で、株高ペースの鈍化や調整株安に転じる相関性が見られている。

前回の米10年債金利の前年比マイナス基調からの上昇転換は、2016年12月から観測された。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の月間高値を比較した「6カ月前比・騰落率」でいえば、同月の+31.8%が上昇幅拡大のピークとなり、プラス幅縮小と株高ペースの鈍化に移行している。SOX月間安値の前月高値比は、翌2017年4月に−5.6%、7月に−11.3%となる短期的な調整株安も見られていた。

その前に前年比・金利上昇転換は、2013年5月から観測されている。当時のSOXも6カ月前比は同月の+23.9%がピークとなり、上昇ペース鈍化に移行した。3カ月後となる2013年8月には、SOX月間安値の前月高値比が−8.7%安という短期調整株安に見舞われている。