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掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

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    メリー 2月7日 21:29

    国内投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京・港)は中堅の日本企業に投資する1300億円のファンドを設立した。オーナー系企業の事業承継のほか、株価が低迷する上場企業をいったん非公開化し、再び成長軌道に乗せる支援をする。PBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に厳しい目が向けられるなか、ファンドと組んで経営戦略を見直す企業が増える可能性がある。

    新ファンドを通じ、今後5年間で十数社に投資する。金額は2020年に資金募集を完了した前回のファンドの850億円よりも5割強増やした。前回は当初5年の投資期間を予定していたが、案件が多く約3年でほぼ枠を使い切った。国内外の金融機関や年金基金などが新ファンドへの出資を決めた。

    企業価値で200億〜300億円の企業に投資する。原則として株式の過半を取得し、役員を派遣して経営を支える。3〜5年程度かけて事業を成長軌道に乗せた後、新規株式公開(IPO)や他社への売却により資金回収する。

    今後は中堅企業の非公開化のニーズが増えるとみる。東京証券取引所が3月末、上場企業に資本コストや株価を意識した経営を要請したことで、資本政策のあり方を見直す機運が高まっている。アドバンテッジは22年、当時東証スタンダード市場に上場していたIT(情報技術)のパイプドHDのMBO(経営陣が参加する買収)を支援した。

    アドバンテッジは1992年設立で、国内のプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドの草分けとされる。今回設立するPEファンドは8本目。これまでの投資実績として喫茶チェーンのコメダ(現コメダホールディングス)や後払い決済サービスのネットプロテクションズホールディングスなどがある。

  • 景気が良くなるときにはハイテク株、金融株、工業株、消費循環株(自動車や宝飾品などの高級品)、素材株などが好まれます。

    貼っていくスレ 景気が良くなるときにはハイテク株、金融株、工業株、消費循環株(自動車や宝飾品などの高級品)、素材株などが好まれます。

  • インドネシア株規制強化求める声
    東南アジア最大のインドネシア株式市場で一部銘柄が不可解な急騰を遂げており、同市場の規制強化を求める声が高まっている。

    こうした銘柄には所有権の集中が見られるほか、取引量もカバーするアナリストも少なく、同業他社に比べてバリュエーションが割高なことが多い。ブルームバーグがまとめたデータによると、この3年間にインドネシア株の少なくとも83銘柄がピークから底までに1000%を超える変動率を記録。上場銘柄全体に占める比率は約10%と、近隣のタイやマレーシア、シンガポール、ベトナム、フィリピンと比べ高い水準となっている。

    新興国市場で流動性の低い株式の乱高下は目新しいものではないが、インドネシア株の動きは極端で、規制当局は12日、投資家保護策として、問題があると思われる企業の迅速な発見に向けた新たな監視リストを導入。収入が伸びておらず、株価が安い、流動性が低い、債務再編が進行中といった状況にある企業が監視対象となる。一部トレーダーはさらなる対策を規制当局に求めており、ジョコ大統領は市場操作の疑いの監視を強化するよう関連当局に指示した。

    約6400億ドル(約90兆6000億円)規模のインドネシア株式市場の流動性低下で、一部企業は資本調達手段としてよりコストの高い銀行融資に頼らざるを得なくなり、投資家信頼感の悪化につながった。国際通貨基金(IMF)は昨年の報告書で、インドネシアの「深みを欠く」金融市場は成長にとって長年の課題だと指摘。インドネシアの株式時価総額の対国内総生産(GDP)比率は東南アジア諸国で最低の水準となっている。

    アバディーン・アジアのアジア株担当投資マネジャー、ジェリー・ゴー氏は「当局の介入が必要だ」と述べた。

    インドネシアの石炭会社バヤン・リソーシズの株価が2022年末の6週間で220%余り上昇したことで、同社の経営権を握る資産家のロー・タック・クォン氏はアジア有数の資産家となった。データセンターを運営するDCIインドネシアの株価は21年1月の上場後5カ月で1万4000%近く値上がりし、主要株主のオットー・トト・スギリ氏とマリナ・ブディマン氏は大富豪の仲間入りをした。

    バヤンとDCIの担当者はいずれもコメントを控えた。クォン氏とスギリ氏はコメントの求めに応じなかった。ブディマン氏はブルームバーグへのテキストメッセージで、自分はDCI株を取引できないとしながらも、株価がこれほど大きく変動した理由は分からないとコメントした。スギリ、ブディマン両氏は21年に保有株を取引不能な株式に変更し、持ち分を手放さないことを約束。スギリ氏は昨年、ブルームバーグに対し、この動きは自分たちが市場に影響を与えようとしていないことを周囲に示すためだと説明していた。

    インドネシア証券取引所は既に日中の値幅制限導入や、提示価格から大きくかけ離れた買値と売値を自動的に拒否する措置を講じている。一方、金融サービス当局は異常な市場活動を抑制するため、取引停止や一時停止などの手段を用いていると当局者が明らかにした。しかし、いずれも800余りの同国株式銘柄の中から異常なものをどのように選別・調査するのかは明らかにしていない。

  • 海外勢、根強い国債金利の上昇期待 日銀と再攻防も

    日本国債の利回りが低下(債券価格は上昇)する中、利回りの再上昇にかけている海外投資家は想定以上に多いようだ。日本のインフレ率が2%を超えた状態が続くなか、日銀が金融緩和政策の修正を迫られるとの思惑は根強く残っている。

    「日本国内はインフレが続く。今年中には日銀は政策の修正を迫られるはずだ」――。こう話すのは英ブルーベイ・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)のマーク・ダウディング氏だ。

    日銀が10日発表した7月の企業物価指数は8.6%上昇と、海外同様、国内でも物価上昇の圧力は高い。足元の物価高はエネルギー価格の高騰に加え、円安の影響が大きい。日銀に物価抑制への要求が強まることで、金融緩和政策が見直され、金利が再び上昇に転じると想定。日本国債売りを継続しているという。

    英運用会社リーガル・アンド・ジェネラルのインフレ・金利ストラテジスト、クリス・ジェフリー氏は「世界的な高インフレの中でも日本国債の利回り上昇幅は他国に比べて非常に小さい」と指摘する。米国の長期金利は21年末比で1%以上上昇しているにもかかわらず、日本国債は0.1%しか上がっていない点に着目。ブルーベイと同様、金利の上昇圧力は引き続き強いと考え、日本国債のポジションを減らしている。

    5月末から国債先物をショート(売り持ち)していた米シビラキャピタルも「(拡大した日米の長期金利差は)もう少し収束する」(ロレンツォ・ディ・マティアCIO)として、先物売りを続けている。

    財務省が8日発表した7月の対外・対内証券売買契約によると、海外勢は国内中長期債を5兆581億円買い越した。景気後退懸念によって、日本を含めて世界的な金利低下が想定より早いペースで進んだためで、統計上、6月の4兆円分の売り越しは全額回収された計算になる。

    「(日銀が政策変更をするという)確信は薄れてきている」(英資産運用大手Abrdn《旧スタンダード・ライフ・アバディーン》のインベストメント・ディレクター、ジェームズ・エイシー氏)「黒田東彦・日銀総裁の政策維持への確固たるコミットメント(約束)を感じ、修正の時期を予測できなくなった」(米ブリークリー・アドバイザリー・グループのピーター・ブックバーCIO)など、日本国債を買い戻した投資家は多い。

    ただ、7月の海外勢の中長期債の売却額自体は9兆3000億円と前年同月から比べると1割増えるなど、売り圧力は根強く残る。消費者物価上昇率が2%を上回る状況が続けば日銀への圧力が増し、国債の買い戻しを迫られた海外投資家が再び売りに回る展開も想定される。


  • 仮に実施されるなら、海外の当局者や市場関係者は、当局に管理された日本市場の異形さを改めて認識するのではないか。政府・日銀が同じ日に国債、株式、為替の3市場に介入するトリプル介入のことだ。実施の可能性を無視はできなくなっている。

    すでに国債と株式へのダブル介入は起きている。最近では6月17日だ。日銀が、決まった利回りで国債を無制限に買う指し値オペを実施し、上場投資信託(ETF)も購入した。

    これに為替介入も加わればトリプルになるが、急速な円安を受け、6月10日には財務省、金融庁、日銀の3者会合が円買い示唆の声明をまとめている。高インフレ退治に向けドル高を望む米国の理解は得にくいだろうが、米国に支持されなかった介入実施の前例はある。日本にとって最後の介入となった2011年夏~秋の円売りがそうだ。足元で一時1㌦=137円台に下落するなど円売り圧力は根強く、当局の対応への関心は強まりそうだ。

    もちろん日本の当局の3市場への関与自体は今に始まった話ではない。同じ日に日銀が国債の買い入れをオファーしETFも購入する一方、政府が為替介入を決めたケースは11年にもあった。ただ当時と今を同列に扱うのは適切ではない。理由は2つある。

    第1に、日銀は債券市場に当時より深く関与している。16年に長期金利(10年物国債利回り)にゼロ%程度という誘導目標を設け、国債相場をコントロールする金融政策を始めたからだ。現在の欧米では見られないことだ。

    最近では、金利上昇圧力が強まる中、長期金利変動容認幅の上限(0.25%)を死守する国債買い支えに必死だ。日銀が持つ国債はついに発行残高の5割を超えた。

    第2に、11年当時の為替介入は円売りだったのに対して、今の焦点は円買いだ。巨額の国債購入で金利上昇圧力を抑える一方、自国通貨も買い支えるとなると、矛盾した対応になる。通貨安が嫌なら金利は上げた方がいいはずであり、国債と円を同時に買うのは無理な市場管理という印象をより与えやすいだろう。

    ちなみに、21年春の日銀政策修正を受けて大きく減ったETF購入も再び増えつつある。21年に1兆円を割り込み前年より8割以上縮小していたが、22年1~6月は5600億円。このペースが続けば年1兆円を超える。「外国人投資家の売りが増える中、日銀の買いは存在感を持ち続けている」(楽天証券の窪田真之氏)。金融政策でETFを買っている例は他の主要中央銀行にはないが、日本では午前の東証株価指数(TOPIX)が2%超下落すると日銀が買うパターンが定着している。

    仮に今後トリプル介入があるとすれば、例えばこんな場合だろう。

    米国の大幅利上げを受け米株価が急落。日本の株価も大きく下げたことで日銀がETFを買う。一方、日米金利差拡大で円の下落も進行。円安防止へ日銀が金融政策を修正するとの観測から日本国債の売り圧力も強まる。そこで日銀は国債を買い支え、金利上昇を抑える。それが日米金利差への関心をさらに強め円は一段と下落。政府が円買いで対抗する。

    本来、市場は経済実態や企業価値などを反映して動く。マーケットの警告に耳を傾け、経済政策や企業経営を適切に運営するのが望ましい。必ずしもそうなっていないのが日本だろう。例えば日銀の国債買いで長期金利が低位安定してきた結果、財政の規律は緩みがちだ。

    ところが、長短金利操作付き量的・質的金融緩和という日銀の政策を知っている国民は14%にすぎないという(日銀調べ)。仮にトリプル介入が実施された場合、それが先進国としてかなり異例な対応である点を認識する国民も少ないということだろうか。もしそうなら、当局による異形の3市場支配は続きやすくなるかもしれない。

  • 製菓材料のcotta、「成長第2章」へ業務用強化 黒須社長

    cottaは製菓・製パン用材料や包装資材の通販で急成長している。広告投資も奏功し新型コロナウイルス禍を受けた消費者の巣ごもり需要をつかんだが、黒須綾希子社長は「想定より早く『成長の第1章』が終わった」と打ち明ける。今後のカギは中小の菓子・パン店の需要を一段と掘り起こすこと。大手の材料メーカーと連携するなどで、業務用事業を大きく伸ばそうとしている。

    ――「過去にとらわれず製菓・製パン業界の進化を担い続ける」がミッションです。
    「10年ほど前から掲げている。旧来の商慣習に縛られず、新たな付加価値を提供して成長したいと考えた」

    ――2024年9月期までの中期経営計画で掲げた売上高・利益の目標を1年前倒しで達成しています。
    「かわいい菓子やパンを作ることは女性憧れの体験。自宅で過ごす時間がコロナで増え、関連材料や包材、レシピの需要が一気に高まった。この特需で、事業モデルが想定より早く陳腐化した。世の中は通常に戻りつつあり、次の一手が必要だ」

    ――22年9月期に入り、法人専用サイトで製菓材料の販売比率が高まっています。
    「コロナ禍でまちの菓子・パン店も経営効率化を迫られ、小ロット・短納期やレシピ情報など従来の問屋と違った価値に気づいてもらえた。我々の祖業は乾燥剤など製菓店用資材の通販。原点を見つめ直し、メーカーとも連携してユーザーが求める商品を届ける機能を高めたい」

    ――5月に不二製油と資本業務提携しました。
    「植物性素材を原料に肉製品やチーズなどの風味や食感を再現する植物性食品の市場が今後拡大しそうだ。不二製油はそうした技術や製品を持っている。消費者向けを中心に業務用も含めて需要創造に取り組むことになるだろう」
    「それ以外の材料メーカーとの連携も模索している。持てる技術を生かし、中小の菓子・パン店の悩みを解決したいと考えているメーカーは多い。そうした会員顧客はすでに5万軒以上いる。小麦粉や油脂などの分野で1業種1社と組めたら理想だ」

    ――この2年間、東京からUターンして家族で大分に暮らしました。
    「地方の菓子・パン店の悩みを肌で感じた。『進化した問屋』として、そうした需要を全国で拾い上げる。7月以降は常駐場所を東京に戻し、メーカーなどとの連携に向けて本格的に動き出す。我々の介在価値を一層高めたい」

  • ロシアのウクライナ侵攻が初期段階で困難に直面していることは、中国の指導者たちが武力による台湾奪取を目指す場合の軍事的課題を明確な形で示した。

     こうした課題の中で最も際立つのが、あらゆる侵略者から自分たちの土地と独立性を守り抜こうとする地元の人々の猛烈な抵抗だ。

     「ロシアにとって大きな驚きであり、中国の主要な教訓となり得ることは、最後まで戦い抜くというウクライナ国民の決意だ」と、元米海軍大佐で米国防大学の元教授のバーナード・コール氏は語った。

     ロシアの現状はまた、米国とその同盟諸国による迅速で国際協調に基づく経済制裁に中国が直面するであろうことを示唆している。さらに、西側同盟諸国が現在ウクライナに供与している対戦車、対空兵器と同様の支援を、台湾が得る可能性が高い。米軍による直接介入の可能性もある。

     しかしアナリストらは、ロシアが直面する問題を目にした中国政府が、武力による台湾奪取の選択肢を捨てる可能性は低いと述べる。それどころか、ロシアの侵攻ペースの遅れが示すものは第1弾の圧倒的な攻撃の重要性だと受け止めて、台湾侵攻の際に中国がそれを実行するだろうと一部アナリストは考えている。

     スタンフォード大学の中国軍事問題専門家、オリアナ・スカイラー・マストロ氏は「中国の軍事思想の中で強調されているのは、紛争の第1段階で大戦力を投入し、戦況を急進展させることだ。中国が示す条件を交渉の場で相手に受け入れさせようとする場合には、それが特に重要になる」と語った。

     ウクライナで進行中の戦争と、台湾をめぐって起き得る紛争を全く同列に扱うことはできないが、この2つの事象には類似性がある。

     どちらのケースでも大国が文化・言語・歴史的に緊密な関係を持つ近隣の地の支配を望んでいる。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、西側諸国と連携した独立国としての民主主義ウクライナの存続基盤を、ずっと以前から否定してきた。そして中国共産党は、民主主義による自治の島である台湾について、中国の一部として中国政府が統治するべきだと主張している。

     中国政府は武力による台湾吸収の選択肢を排除しないとする。しかし、プーチン氏が既に2014年にウクライナの一部を支配下に収めていることは、中台の状況との大きな違いだ。中国はまだ、台湾の支配地を1カ所も奪取しておらず、台湾侵攻計画の策定に向けた具体的な動きを見せていない。

     中国が侵攻を始める場合、ロシアと比べて有利な点が一つある。それははるかに規模が大きく装備の整った軍隊だ。中国は100万人前後の地上部隊と世界最大の海軍を保有し、軍事予算はロシアの3倍以上、台湾の13倍前後に上る。

     台湾にもウクライナと比べて有利な点がある。中国は約144キロにわたる海峡を渡って海陸にわたる攻撃を行い、機雷や沿岸のミサイル発射台に守られた人口密集地に上陸しなければならない。これは、ウクライナに侵攻する大半のロシア兵が平坦な道路を通って国境を越えるだけで良いのと対照的だ。

     中国の侵略者が台湾で足がかりを得たとしても、ロシアと同じようなジレンマに直面する。それは共産党の宣伝部隊が母国の一部だと表現する土地を破壊することなく、いかにして権力を掌握するかだ。

     中国の政治、経済、軍事戦略に関する論文を共同で執筆した米ライス大学(テキサス州ヒューストン)のガブリエル・コリンズ氏は、「侵略者が最初の3~4日で降伏を強いることができなければ、過酷な長期戦になる公算が大きい」と話す。

     米国の戦略家はしばしば台湾の準備態勢に疑問を投げかけているものの、台湾指導部はいかなる侵攻に対する備えも改善し続けていると述べる。最近の防衛支出計画は、対艦ミサイル「ハープーン」など、侵攻部隊撃退のための兵器に重点を置いている。今月始まった予備役向けのより厳しい訓練は、台湾が効率的かつ大規模な兵力で反撃するためのものだ。

     台湾に新設された全民防衛動員署の俞文鎮(Yu Wen-Zhen)少将は2日、台湾はウクライナ軍から教訓を得ようとしていると話した。

     俞少将は、「ウクライナの人々は自国の安全のために必死に戦い、国土を守ろうとしていることが分かる。われわれは引き続き状況を注視していく」と述べた。


    中国政府は武力で台湾を吸収する選択肢を排除しないとしている
     中国と台湾の双方がウクライナとの比較に不快感を示しているだけに、同少将の発言は異例だった。中国政府の代表は、台湾が中国の一部であり、独立などできないということに既に議論の余地はないと考えているため、比較はできないと繰り返し述べている。台湾の蔡英文総統は、ロシアが侵攻を始めた直後に、台湾は中国からのいかなる攻撃に対しても十分な備えをしていると述べた。

     東アジアの安全保障について研究している元米海兵隊大佐のグラント・ニューシャム氏によると、中国は、ロシアがウクライナ東部のロシア語話者やロシア政府に親近感を覚えていたと思われる人々による反乱をあおるのに失敗したという点に注目する公算が大きいという。

     中国は長年、同国の国力が増し、繁栄が進むにつれ、台湾が中国本土との統一を望むと想定していた。しかし、世論調査によれば、台湾人は自分たちのアイデンティティーが中国本土のものとは異なると感じている。これは、人口の大半がロシアから独立した状態を望むウクライナの状況と似ている。

     ニューシャム氏は、ロシアがウクライナの指導者を素早く倒すことができなかったこともまた、中国が注目している点だろうと指摘した。

     ニューシャム氏は「勇敢な指導者は、士気を失っていまにも倒れそうと思われる人々を力づけることができる。この点について中国は台湾を過小評価しているかもしれない」と述べた。台湾の人々に対する攻撃は、「恐怖による服従よりも、むしろ、大きな抵抗を引き起こす可能性がある」と同氏は語った。

     台湾で戦争が発生した場合の対応について米政府は意図的に曖昧にしているが、多くの軍事アナリストは、米国が台湾側に立って戦うため直接的に介入すると予想している。それはバイデン大統領がウクライナ問題では否定したものだ。米国はまた、前線の後方で日本や他の国々から軍事支援を得ることもできるだろう。

     台湾から数百キロの日本南部にある米軍基地および、東京に近い場所を拠点とする米第7艦隊は、米国が台湾防衛を選択すれば素早く介入することを可能にしている。

     ウクライナでの経験はまた、侵略者の経済に打撃を与えるため国際的な連携を素早く講じることが可能なことを示している。ただし、アナリストらは、中国経済はロシアに比べてはるかに巨大で多角化しており、中国が制裁に耐える力はもっと大きい可能性があるとみている。

     総合すると、ウクライナからの教訓は中国の指導者の警戒感を強め、同国が台湾侵攻に賭ける可能性を減らすかもしれない。しかし、スタンフォード大のマストロ氏は、ロシアのつまずきによって中国が計算を変えたとは考えにくいと指摘した。

     マストロ氏は「中国にとって重要なことは、とりわけ上陸作戦を伴う侵攻について自国の能力に磨きをかけることであり、いったん『オーケー、準備完了』と決めたら実行できるよう、確実に自信をつけておくことだ」と述べた。

  • 金融庁は14日、外国株式の信用取引に関する内閣府令案を公表した。外国上場株式の信用取引は法令上禁止されていないが、ルールが整備されていないことから取引が行われてこなかった。投資家を保護するための基準を定め、外国株式の信用取引を解禁する。

    内閣府令案によると、外国株式では国内株式の信用取引よりも厳格な基準を設ける。信用取引に必要な保証金率は、国内株式が取引する株式時価の30%なのに対し、外国株式は50%とする。6月から開始するパブリックコメントを経て、2022年の施行を目指す。主要なルールは、日本証券業協会の規則で定める予定だ。

    金融庁は同日、株価指数先物を使って値動きを増幅する「レバレッジ型」や「インバース型」の上場投資信託(ETF)に関する内閣府令案も出した。指数との乖離(かいり)が大きく、中長期的な投資に適さない場合は、投資家への説明書面に記載するよう求める。取引所において他のETFと区別した名称・市場を導入することも検討する。

  • サイバー対策大手のトレンドマイクロは国内の大規模製造業の半数超が、サイバー攻撃によりスマート工場が生産を停止する被害を受けたとする調査結果をまとめた。被害企業の約4割は停止期間が4日以上に及んでおり、あらゆるものをネットでつなぐIoTが普及する生産現場のリスクが浮き彫りとなった。

    調査は2020年11~12月、従業員1千人以上の製造業に所属するセキュリティー責任者を対象に、日本150人、米国200人、ドイツ150人を対象に実施した。

    調査によると、日本企業の66.7%が自社のスマート工場に対し、コンピューターウイルスや不正アクセスなどによるサイバー攻撃を受けたことがあると回答。うち生産を停止したのは77%に上り、全体の約51%に上った。

    停止期間の割合は1~3日が48.1%で最多だったが、4~7日が20.8%で、1週間以上だった会社も約16%だった。

  • 世界経済の回復にとって集団免疫がどの程度の重要性を持つのか、そもそも重要なのかといった議論がエコノミストの間で熱を帯びている。

     集団免疫とは、疫病をもたらすウイルスやバクテリアに対して、一定割合以上の人口が免疫を持つことで社会全体が守られるとされる水準だ。コロナの終息と経済正常化にとって重要な要素と一部では考えられている。そのため、集団免疫に達するまで、政府は封じ込めに向けて活動を制限するため、財・サービスの生産・消費が落ち込むと予想されている。

     一方で、完全な集団免疫に達しなくても、営業再開や経済活動の回復は可能であり、そうなる可能性が高いとみるエコノミストもいる。

     エコノミストにとって問題となるのは、特定の地域がいつ集団免疫に達するのか、そもそも達成は可能なのか、正確に把握することが難しい点だ。新型コロナに関しては一般に、少なくとも人口の6~8割が免疫を持つことが、集団免疫の達成には必要だと疫学者の間では考えられている。

     ゴールドマン・サックスでは、各国の1日当たりのワクチン接種状況に注目するとともに、これまでの感染者数の推定累計を加味することで、免疫に関する予測を見通しに反映させている。同社の分析によると、英米両国では人口の約6割がコロナに対してすでに免疫を持っており、欧州主要国でも8月までにはその水準に達する見通しという。

     またデータからは、新興国の一部も、実際の感染による自然免疫の水準が高いことから、集団免疫に達しているか、これに近い可能性があることも示された。ペルーでは5月初旬までに人口の約72%が、メキシコでは58%が自然免疫を持っているという。

     こうした予測を踏まえ、ゴールドマンは比較的、強気な経済見通しを示している。今年の世界経済の成長率見通しは6.6%と、各社による予想のレンジ上限だ。

     だが、とりわけ世界全体に目を向けると、集団免疫の達成時期やそもそも達成は可能なのかといった疑問も浮上している。足元では供給不足や市民のワクチン敬遠が要因となり、世界的にワクチン接種の遅延やペース鈍化が目立ってきた。

     さらに変異型に対しては、ワクチンの予防効果が低下するかもしれないと指摘されている。ウイルスの封じ込めに手間取るほど、変異株が生まれる可能性も高くなる。

     こうした要素はいずれも、世界経済の早期回復の見込みを後退させる。こう指摘するのは、DBS銀行(シンガポール)の首席エコノミスト、タイムール・ベイグ氏だ。

     各国それぞれが自国民の大半にワクチンを接種しても、国境を越えた移動や貿易により、他国も同じ状況に達するまでは、ウイルス感染による影響から逃れるのは難しい。ベイグ氏はこうした状況が実現するまで、世界経済が真に正常化することはできないとし、おそらく2020年代半ば以降になるだろうと話す。DBSは今年の世界経済の成長率について、ゴールドマンの予想水準を1ポイント下回る5.6%と予想している。同氏はこう指摘する。

     「すべては一時的な現象であり、2022年のいずれかの時点には過ぎ去り、元に戻るだろうと考えていた。おそらくそうはならない」

     一方、モルガン・スタンレーのアジア担当エコノミスト、デイ・タン氏は、経済正常化の前に集団免疫を達成する必要はないと話す。同氏は、中国や台湾を引き合いに出し、ワクチン接種率や免疫が低水準にもかかわらず、双方ともに徹底した対策でウイルスを封じ込めた点に着目している。同氏によると、中国経済は昨年7-9月期にコロナ前の水準に回復し、10-12月期には従来の成長水準を取り戻した。台湾については、コロナによる経済成長への影響はほとんど見られないという。

     こうした事例から、モルガン・スタンレーでは、コロナ封じ込めにおいて、集団免疫は1つの要素にすぎないとみている。タン氏は集団免疫に達していなくても、最もぜい弱な層を守り、感染を抑え込めれば、「経済回復の道のりにおいて、すでに進展を遂げている」と話す。

     また、HSBCのアジア経済分析部門、共同責任者のフレデリック・ニューマン氏は、パンデミック(世界的大流行)が長引くのに伴い、経済もコロナ禍に適応しており、集団免疫と経済回復の関連性は弱まっていると指摘する。コロナ初期には経済に急ブレーキをかける要因となったロックダウン(都市封鎖)などの制限措置も、市民が自宅勤務や料理宅配といったコロナ絡みの変化に慣れるのに伴い、足元では影響が低下しているという。


     そのため、疫学者の観点からみた集団免疫は、人口の70%がワクチンを接種するまで実現しないが、多くの国・地域はこれを大きく下回る水準の集団免疫でも、経済が回復するだろうとニューマン氏は話す。HSBCでは、人口の約50%がワクチンを接種すれば、コロナ絡みの混乱は解消されると予想している。

     ニューマン氏は「これが長く続くほど、経済活動もこうした状況に適応する」と述べる。

     一方で、ムーディーズ・アナリティックスの上級エコノミスト(アジア太平洋担当)、カトリーナ・エル氏は、ワクチンの接種が普及する前に、経済活動が持ち直す国・地域もあるだろうが、集団免疫なしでは回復は持続しないだろうと指摘する。世界全体にワクチンが普及するまで、ウイルスは国境をすり抜けて拡散し、ようやく手に入れた経済回復に冷や水を浴びせかねないという。例えば、オーストラリアなどの国では、総じてウイルスの封じ込めに成功し、経済活動の再開にこぎ着けたが、これまで局地的に感染が発生して厳しい制限措置の再導入を余儀なくされている。

     ムーディーズ・アナリティックスは、世界の集団免疫(同社では世界の人口の少なくとも7割がワクチンの接種を受ける必要があるとしている)は2023年に達成できると想定している。

     ただ、それまでは「回復のペースは極めて鈍いだろう」(エル氏)としている。

  • 今からおよそ300年前、欧州の資本家たちはフランスと英国の政府から交易特権を付与された新貿易会社を巡り、その将来性に胸を膨らませていた。イギリスの「南海会社」とフランスの「ミシシッピ会社」の株価は急騰を演じた後、1720年に暴落。憤然とする投資家たちの資金が吹き飛んだ。

     目下の金融市場で起こっていることに経済史家が眉をひそめる背景には、そうしたエピソードがあるのだ。金融街ではまたしても、新手の投資方法を求める不可解なブームが起こっている。

     暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格はここ1年で6倍余りに上昇した。一方、調査会社ディールロジックによれば、特別買収目的会社(SPAC)と呼ばれる「空箱」会社は今年に入り1000億ドル(約11兆円)余り調達している。SPACは証券取引所に上場し、標的の企業を買収する。投資家はさらに、美術品や有名人のサインのように、オンラインのコレクターアイテムに発行されるデジタル証明のNFT(非代替性トークン)もさかんに求めている。

     こうした投資商品は金融のまばゆい新世界が現れる前触れなのか、それとも何か別の前兆なのか。

     歴史を振り返れば、投資の熱狂はしばしば、金融街の仲買人が発明した金融イノベーションや新たな投資商品と結びついている。謎に包まれ、将来の大きな利益への期待感が後押しするものだ。

     それは時に、手ひどい結果を招く。

     米金融システム全体を崩壊させかねなかった2008~09年の金融危機に深く関連していたのは、債務担保証券(高リスクの住宅ローンを束ねた証券)とクレジット・デフォルト・スワップ(高リスクの住宅ローンに対する保険的な契約)のブームだった。その前には1990年代に、利益を上げていないインターネット企業がとてつもない評価額で上場。その多くは一銭も稼ぐことなく燃え尽きた。

     他の商品に加え奴隷を取引した1700年代の貿易会社の前には、1636~37年にオランダの目新しいチューリップ球根がブームになった。さまざまな品種があり、毎年育つことから珍重されたのだ。チャールズ・マッケイ氏の歴史書「狂喜とバブル――なぜ人は集団になると愚行に走るのか」によると、最高級の球根「フィセロイ」1個の価値は、小麦2袋、ライ麦4袋、牛4頭、豚8頭、羊12匹、さらにワイン、ビール、バター、チーズそれぞれ2ホッグズヘッド(約580リットル)ずつ、ベッド1台、スーツ1着、銀の酒杯一つの全てを合わせた価値に相当した。

     マサチューセッツ工科大学(MIT)元教授で「熱狂、恐慌、崩壊 金融危機の歴史」の著者である故チャールズ・キンドルバーガー氏は、そうした投機と危機を、しぶとい多年生植物と呼んだ。

     バブルを研究してきたハーバード・ビジネス・スクールのロビン・グリーンウッド教授は、「偉大な革新の時代は、投資家の視点から見ると興味深い。幅広いバリュエーションを正当化できるからだ」と語る。もう一つの典型的な例は、1920年代のクローズエンド型ファンドだという。クローズエンド型ファンドは証券取引所で売買される投資ポートフォリオだ。1929年の株価暴落まで、クローズエンド型ファンドの発行は急増し、ファンドの価格は投資対象の本来の価値を超えて急上昇した。

     金融ブームには詐欺師が関与することも多い。南海会社の会計を粉飾するのに一役買ったロバート・ナイトは英国から逃亡したが、アントワープでしばし投獄された。そしてバーニー・マドフは自ら投資のネズミ講を画策したが、その企ては2008年12月に破綻。マドフは先月、刑務所で死を迎えた。

     グリーンウッド教授は金融イノベーションについて、それ自体はバブルや暴落を乗り切ることがあると指摘する。1920年代のクローズエンド型投資信託のコンセプトや、90年代のIT株がその例だ。

     また、新たな金融商品を巡る奇妙なブームは、市場で何かが間違った方向へ向かっている兆候の可能性もあるが、常にそうとは限らないという。

     グリーンウッド氏は「バブルに見えるものの多くは、そうではない」とし、IT株は1990年代初めに急騰したと指摘している。それは実際のところ、10年近い繁栄の前触れとなった。不確実性はバブルを可能にする要因の一つだ。手遅れになるまでは、バブルが発生しているとの見解に対する反論は、もっともらしく聞こえるものだ。

     「集合体としての市場のレベルでバブルを判断するのは、無駄骨に終わる」とグリーンウッド氏。「その論題には非常に興味があるが、私はこれまで成功していないし、長いこと取り組んでいる」

     コロンビア大学の客員教授でやはりバブルの歴史を研究しているウィレム・ブイター氏によると、イノベーションはそれ自体が金融街の多年生植物だ。イノベーションは平時であってもなくても、常に起こっている。バブル期の金融イノベーションで特徴的なのは、新しい金融商品が投機、そして行き過ぎの装置となることだ。イノベーション自体は問題ではないかもしれない。問題なのは、借り入れの急増で金融商品への投資に拍車が掛かる場合とも考えられる。

     「レバレッジは致命的だ」とブイター氏は述べている。

     2000年代には確かにそうだった。CDOは住宅ローンの借り入れが急拡大する一因となった。米連邦準備制度理事会(FRB)の統計によると、2000年から08年にかけて、金融セクターの債務は8兆7000億ドルから18兆円へと倍余りに増加。家計部門の金融債務は7兆2000億ドルから14兆1000億ドルに膨らんだ。

     今回のパターンは異なる。政府債務は急速に拡大しているものの、金融セクターの債務は引き続き08年のピークを下回り、家計債務は2000年代より緩やかな増加となっている。家計債務は2012~20年の間、13兆6000億ドルから16兆6000億ドルへ増加した。ブイター氏はそうした点に幾らか安心感を覚えている。

    「行き過ぎの兆候はあるが、持続不可能な信用ブームの道にはまだ至っていない」

  • ロイター通信によると、米国の自動車部品メーカーは、世界的に半導体不足が深刻化する中、自動車大手による追加減産を警告した。

    半導体不足は、需要が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で打った底から回復しつつあるという、自動車メーカーにとっては不都合なタイミングで起きた。低金利に加え、健康が危機にさらされる中で消費者が個人的な交通手段を好むようになった需要回復の要因だ。

    自動車部品大手リア・コーポレーションのジェーソン・カードリュー最高財務責任者(CFO)は7日、「現時点で未公表のさらなる操業停止を見越して、業界生産の3%減少を織り込んだ」と話した。
    カードリュー氏は「われわれは4─6月期にIHSマークイットや他の機関による予測よりも大幅な減産を見込んでいる」と発言した。

    米フォード・モーターは、半導体不足から4─6月期に自社の自動車生産が半減するとの見通しを示した。
    独フォルクスワーゲン(VW)は自動車用半導体の大幅不足で「危機モード」に入ったと表明。半導体不足が4─6月期の収益に打撃を与えているという。
    リアは、世界の自動車生産予測を9%増に下方修正。年初には最大12%増としていた。4─6月の売上高は前期比9%減と見込む。

    部品各社はまた、半導体不足による打撃は少なくとも来年まで続く可能性があると警告した。
    米自動車部品・自動運転技術大手アプティブの最高財務責任者ジョセフ・マッサロ氏は「需給の不均衡が通常レベルに完全回復するのは、2022年以降だと見込んでいる」と話した。

  • 2020年の世界半導体市場、供給不足でも10.8%増の50兆円規模--PCや5Gなどで続く成長

     IDCは、世界半導体市場に関する調査結果を発表した。2020年の売上高は4640億ドル(約50兆6224億円)で、半導体の供給不足であったにもかかわらず前年比10.8%増となった。今後も半導体不足は続くが需要も高く、2021年は5220億ドル(約56兆9502億円)、同12.5%増と見込む。

     2020年の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにブレーキをかけられてしまった。ただし、ロックダウンやリモートワーク、家庭学習といったパンデミック対策、消費行動変化などの影響は、業種によって大きく異なり、半導体の売上高を大きく伸ばした分野もある。

     たとえば、PCやサーバーを含むコンピューティングシステム向け半導体市場は、2020年の売上高が1600億ドル(約17兆4560億円)で前年比17.3%増。ほかにも、高価な5G対応半導体の求められた携帯電話向け半導体市場(同9.1%増)、ゲーム機やタブレット、ワイヤレス対応ヘッドホン、スマートウォッチ、映像ストリーミングサービス用デバイスなどの好調にけん引された消費者向け半導体市場(同7.7%増)が成長した。

     半導体の供給は2021年も厳しい状況が続くが、半導体業界は生産能力の拡大などに対して投資を実行するため、改善に向かうという。そして、クラウド技術やデータとサービスに対する需要は変わらず存在し、全世界で半導体の売上げは増えるとみる。特に、消費者、コンピューティング、5G、自動車の分野で半導体が求められるという。

     IDCは、2021年における各分野向け半導体の対2020年成長率などを、以下のように予測した。

    コンピューティングシステム:7.7%増(1730億ドル、約18兆8743億円)
    携帯電話:23.3%増(1470億ドル、約16兆377億円)
    消費者:8.9%増
    自動車:13.6%増

  • 米IBM、2ナノ半導体を開発 世界で最も小さく強力

    ニューヨーク(CNN Business) 米IBMは6日、2ナノメートル(ナノは10億分の1)のプロセス技術を使った半導体を開発したと発表した。これまで開発された中で最も小さく、強力なチップとなる。

    現在の端末に搭載されているコンピューター用半導体の大半は、10ナノメートルもしくは7ナノメートルのプロセス技術を使用する。5ナノメートルの半導体を生産しているメーカーもある。この数が小さいほど、より小型で高度な半導体であることを示す。

    半導体は消費者向けのスマートフォンや機器からスーパーコンピューター、輸送設備まで、さまざまな製品に搭載されている。

    IBM基礎研究所のディレクター、ダリオ・ジル氏は「全ての製品の底上げにつながる技術や技術革新は多くない」「これはまさにその例だ」と述べた。

    半導体の性能を向上させるには、全体のサイズを大きくすることなく、データ処理の核となるトランジスタの数を増やす必要がある。同研究所のハイブリッドクラウド部門幹部、ムケシュ・カレ氏によると、新たな2ナノメートルの半導体は指の爪ほどの大きさに500億個のトランジスタを含み、一つひとつのトランジスタは大体DNA鎖2本分の小ささだという。

    新型チップは7ナノメートルの半導体に比べ性能が45%向上し、エネルギー消費量は約75%減る。2ナノメートルの半導体を使用すれば、携帯電話のバッテリー持ち時間は4倍になり、ノートパソコンが大幅に高速化し、データセンターの炭素排出量を減少できる可能性がある。

    2ナノメートル半導体の生産は2024年後半か25年に生産が始まるとみられており、現在の世界的な半導体不足の緩和にはつながらなそうだ。

    IBMは通常、半導体のことを考えるときに真っ先に思い浮かぶ企業ではない。米インテルや韓国サムスンとは異なり、IBMは半導体の大規模生産は行っておらず、2ナノプロセス技術も半導体メーカーにライセンス供与するとみられる。

    こうした新型チップの研究は、同社が2ナノメートルの半導体を利用した自社製品を開発するのにも役立つ可能性がある。

  • 【台湾】TSMC、米への生産移管は人材不足が課題

    ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音董事長は半導体生産地の米国への分散に関連し、現在の米国は理想的な生産環境が整っていないとの見方を示した。とりわけ、人材不足を背景にした高い生産コストを問題視した。工商時報などが伝えた。

     劉氏は米半導体大手インテルのゲルシンガー最高経営責任者(CEO)とともに、米メディアの取材に応じた。

     ゲルシンガー氏は世界の半導体の75%がアジアで生産されているとして、生産地の分散が必要と主張。一方、劉氏は米国への生産地の分散を進めるには、「米国はより多くの博士卒や修士卒の人材を育成する必要がある」と述べた。現在の状況で米国に生産を移管しても、人材不足を背景とする人件費の高騰などが事業の障壁になるとみている。

     ■需給逼迫解消は23年以降

     劉氏はまた、生産地がアジアに集中していることと半導体の需給逼迫(ひっぱく)は無関係との考えを表明。需給逼迫の要因は、新型コロナウイルス感染症による電子製品の需要拡大と指摘した。

     需給逼迫の解消時期については、劉氏とゲルシンガー氏の見解が一致。両氏ともに2023年以降の解消を予想した。

     ■半導体産業が「台湾の盾」に

     一方、劉氏は半導体生産地が台湾に集中する現状は台湾の安全保障に資するとみている。劉氏は半導体の主要材料がシリコンであることから、「半導体産業は台湾のシリコンの盾」と表現。世界が台湾製の半導体を必要としている中、各国・地域は台湾での戦争勃発を望まないとの見方だ。

  • >>291

    台湾半導体供給、米優先を 商務長官、先端品国内生産

    【ワシントン共同】レモンド米商務長官は4日、世界的に不足する半導体で、台湾半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、米自動車メーカー向けを優先するよう働き掛けていると明らかにした。米国が優先されれば、生産を委託している各国の企業にしわ寄せが及びかねない。

     レモンド氏は講演で、米国で最先端の半導体を製造していない現状を問題視し「今は0%だが、30%は作る必要がある。そうすれば米国の需要と一致する」と主張した。安全保障にも関わる半導体の生産拡大を中長期的な課題に位置付け、支援策を盛り込んだバイデン政権のインフラ投資計画の実現に協力を求めた。

  • 米自動車メーカーへの半導体供給拡大を、商務省が台湾企業に要請

    [ワシントン 4日 ロイター] - レモンド米商務長官は4日、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)など台湾企業に対し、米自動車メーカーへの半導体供給を拡大するよう働き掛けていると述べた。

    イベントで、長期的には半導体の国内生産拡大に向け投資を増加させる必要があるほか、その他の重要なサプライチェーン(供給網)のリショアリング(国内回帰)が求められると指摘。

    また、米ゼネラル・モーターズ(GM)幹部からの質問に対し「われわれは自動車メーカーのニーズを優先してもらえることができないか、TSMCなどの台湾企業に懸命に働き掛けている」と応じた。

  • 激化する「産業の米」半導体争奪戦 台湾囲い込みを狙う米国の意図

     今、世界が深刻な「半導体不足」に陥っている。日本でも3月、車載用の半導体「マイコン」を作るルネサスエレクトロニクスの主力工場が火災で生産停止となったが、特に自動車業界への影響は大きく、トヨタ自動車やホンダ、米ゼネラル・モーターズなど世界の大手自動車メーカーが軒並み減産を強いられている状況だ。

     4月16日の日米首脳会談では、52年ぶりに突如「台湾」の文字が共同声明に盛り込まれたが、実はこれも、昨今の半導体不足が背景にある。どういうことか。大きなきっかけは、バイデン政権になってなお先鋭化する「米中対立」だ。

     昨年9月、トランプ前政権下で中国の通信大手・ファーウェイ(華為技術)に対する半導体の輸出規制が始まり、中国向けの半導体の供給が停止された。半導体の調達ができなくなる事態を恐れたファーウェイなどの中国勢は、規制開始の直前に駆け込みで世界中の半導体を買い漁った。その結果、世界的な半導体不足につながったのである。

     いまや世界の二大経済国となった米中が、なぜそこまで半導体にこだわるのか。そもそも半導体は「産業の米」と言われ、スマートフォンや家電、車、軍事関連などありとあらゆる機器に組み込まれる。それらを動かす大元となる半導体が無ければ、スマホで通信もできず、テレビもエアコンも使えなくなり、現代人の生活そのものが成り立たなくなる。さらには軍事上重要な役割を担う空母や駆逐艦も“半導体の塊”と言え、安全保障上も極めて重要な戦略物資となっているのだ。

     そうしたなか、最先端の半導体生産で世界シェア6割を握るのが、ほかでもない台湾メーカーである。なかでも最大手のTSMC(台湾積体電路製造)は、「5ナノメートル」という超微細な半導体生産技術で世界唯一と言ってもいい技術力を持つ。最先端の半導体工場を作ろうとしても最低で1000億~2000億円はかかり、工期も2年ほど要するとされるため、簡単には作れない。それゆえ、台湾の半導体をいかに囲い込むかが国家戦略の要となっている。日米首脳会談で「台湾海峡の平和と安定」が謳われたのは、中国を牽制したい米国の意向が働いたからなのだ。

     会談に先立って、4月12日には、バイデン大統領が国内外の半導体メーカーやユーザーである自動車メーカーなど19社を集めて半導体不足について協議。これまで米国は、半導体の企画・設計はできても生産は台湾などに任せていたため、今後は米国内に自前で生産できる体制を構築するよう、大きな“ゲームチェンジ”を図った格好だ。

     そうした動きを見ても分かるように、いまや様々な機器に不可欠な半導体を制することが、国家の行く末をも握りかねない状況にある。だからバイデン大統領は、「半導体を自前で生産する」と高らかに謳った。これこそ、行動経済学でいう「バンドワゴン効果」と言えるだろう。バイデン大統領がバンドマスターとなり、「米国での半導体生産」というバンドワゴン(楽隊車)が高らかに音を鳴らし、世界中に鳴り響かせている。このバンドワゴン効果につられるように、米中を中心とした二大陣営が半導体争奪戦を繰り広げているのだ。

     銃口を向け合うような“ドンパチ”こそ起こっていないが、情報戦、そして半導体争奪戦といった形で「米中戦争」は既に現実のものとなっている。視野を広げれば、半導体製造に欠かせない機械や部材を手掛ける日本企業にとっては、「日の丸復権」に向けた最後のチャンスとも言えるだろう。かつて半導体の国際競争で一敗地にまみれた日本勢が、今般の半導体争奪戦の行く末にどれだけ存在感を高めていけるか、要注目であることは言うまでもない。

    真壁昭夫

  • >>288

    ■ CASEの時代のTSMCの存在感とは

     クルマ産業は現在、100年に一度といわれる「CASE (Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)」の大変革期を迎えている。ここで、“C”には5G通信半導体が、“A”には自動運転用の人工知能(AI)半導体が必要となる。そして、5G通信半導体もAI半導体も、7~5nmの最先端プロセスが必要不可欠である。

     TSMCが関係する車載半導体の5.4%のボリュームゾーンは、40nmおよび28nmかもしれない。このレベルの半導体は、同じ台湾のUMCや中国のSMICでも製造することができる。

     しかし、CASEの時代に必要な5G通信半導体とAI半導体は、今のところ、世界で唯一TSMCしか製造することができない。したがって、CASEの時代に、各国のクルマメーカーは、TSMCの存在無くして、コネクテッドされた自動運転車をつくることができないのである。

     そのTSMCの半導体工場の稼働が、昨年来の水不足のために綱渡りの危機的状態となっている。世界のクルマ産業やエレクトロニクス産業が壊滅しないためにも、「台湾に雨が降れ!」という雨乞いが必要であろう。

    湯之上 隆

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