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私と経済の掲示板

割安株主導、第2幕へ 長期金利低下一服が追い風

17日の日経平均株価は反落したものの、前日比の下げ幅は21円にとどまり、底堅さを示した。欧米主要市場と比べた割安感に着目した海外勢の日本株買い余力は大きく、市場では株高持続への期待は強い。今後、一段の上昇があるとすれば、長期金利の低下一服の追い風を受けるバリュー株(割安株)が先導役になりそうだ。

東証1部の売買代金は1週間ぶりに2兆円を割り込み、前週末からの急上昇の勢いはひとまず止まったように見える。だが、短期的なマネーの流れの修正にとどまらず、「割安な日本株に妙味を見いだす海外勢は案外多い」とCLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長は話す。

投資指標からみれば、日本株の割安感は明白だ。東証1部の予想PER(株価収益率)は14倍前半と、18倍台の米国だけでなく、景気後退入りしたドイツよりも低い。主要株価指数の年初来上昇率でみても、日本は1割強と、軒並み2割前後上げている欧米主要市場や上海総合指数と比べて出遅れ感は強い。

海外勢の持ち高から見ても、日本株に見直し買いが入る余地は大きい。ゴールドマン・サックス証券の推計では、海外機関投資家の日本株組み入れ比率はベンチマーク(基準指標)より約8ポイントも低い。海外投資家は日本株を年初から累計約3兆円売り越してきた。

日本株の出遅れが修正されると、海外勢はライバルとの運用競争で不利になる「持たざるリスク」を意識せざるを得ないだろう。

こうした流れが続くとすれば、ここから相場をけん引するのはバリュー株となる公算が大きい。17日もその片りんは見て取れた。

業種別日経平均の上昇率トップは海運の1.7%高で化学も0.4%高となった。いずれも景気次第で業績が振れやすく、PERが低めになるバリュー株の典型業種だ。

  • >>13145

    バリュー株は、それまで売りを仕掛けていたヘッジファンドの買い戻しを原動力に、9月に急伸したばかり。ここから上昇の第2幕が上がるのか。カギを握るのは金利の行方だ。長短金利差が拡大すると、グロース株(成長株)よりもバリュー株が買われやすくなる傾向がある。短期金利が大幅なマイナスに張り付く現状では、長期金利の上昇がバリュー株の追い風になると解釈できる。

    低金利下では、資金を生かして独自の成長につなげられる企業の選別、つまり成長株への投資が有利になる。その裏返しで、長期金利が上昇する局面ではバリュー株優位・グロース株不利となりやすい。代表的なバリュー株の金融株には、長短金利差の拡大は利ざや改善に直結する。

    昨年末から低下傾向が続いてきた日米の長期金利は足元でようやく底を入れたように見える。日米とも金融政策の先行きが読みにくい状況は続くが、株式市場では「長期や超長期の金利は一段と持ち直す余地はあり、割安株投資の妙味が高まる」(野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジスト)とみる向きは増えている。

    もっとも、バリュー株主導の相場には「割安感が薄れたら買う理由がなくなる」という限界があるのは否めない。日経平均が昨年10月の高値2万4270円を抜けるには、東証1部ベースで予想PERがあと2~3倍切り上がる必要がある。そこまで行くと、欧米と比較した割安感は相当解消されるだろう。景気と企業業績の先行きの霧が晴れないなか、「その次」の走者へのバトンタッチは見えていない。