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私と経済の掲示板

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非鉄、ニッケル独歩高の異変 鉱石産地で禁輸不安

中国経済の減速で非鉄金属の銅やアルミニウムの相場が軟化するなか、ステンレス鋼に使うニッケルが独歩高となっている。鉱石生産で世界最大のインドネシアが未加工鉱石の禁輸を前倒しするとの観測が強まったためだ。電気自動車(EV)向け需要の期待に加え、資源ナショナリズムを背景とした供給不安がマネーを引き付け、青天井相場を演出している。

ニッケル相場の指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は8日、前日比7%高い1トン1万5880ドルをつけた。その後も底堅く推移し、15日は1万6000ドルを超え、終値として4年8カ月ぶりの高値をつけた。銅が8月に入って約2年ぶりの安値をつけるなど、他の非鉄相場が下落したのと対照的だ。

ニッケルと他の非鉄の値動きが乖離(かいり)し始めたのは7月中旬。インドネシアが2022年から未加工鉱石の禁輸に踏み切ると伝わったのが引き金だ。8月に入ると禁輸実施が早まると伝わり、供給懸念に拍車がかかった。

もともとインドネシアは09年施行の新鉱業法に基づき、14年からニッケルを含む未加工鉱石の輸出をいったん禁止した。17年からは5年間の時限措置として規制を緩和した経緯がある。新法は鉱物資源の付加価値を高め、自国の製錬業を強化するのが目的。「資源ナショナリズムの色合いが濃い」(住友商事グローバルリサーチの本間隆行経済部長)とされる。

ニッケル鉱石の生産地そのものは世界に遍在し、最大のインドネシアでも生産シェアは24%だ。ただ埋蔵量でみると同国やフィリピンなど赤道周辺を中心に採掘される低品位の「酸化鉱」が全体の7割を占め、ロシアやカナダなど北半球を中心に採掘される高品位の「硫化鉱」は3割にとどまるとの見方がある。

さらに硫化鉱はニッケルの品位が低下傾向にある。環境保護の観点から硫黄分の流出規制が厳しいため、製錬能力にも限界がある。今後は酸化鉱由来の生産が増える見込み。ニッケル供給におけるインドネシアの存在感は高まる一方だ。