ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

ジャスダックインデックス【23337】の掲示板 2015/04/01〜2020/11/29

【こんな話もある(1)】
民主主義の土台を崩す高等教育
―――あなたは教育について、今はそれが民主主義の機能を阻害していると書いていますね。
 新著が出たとき、フランスではその部分がとても関心を呼びました。たとえばルモンド紙。…今回はけっこう紙面を割いて取り上げてくれました。…ただ、この新聞が私の本から取り上げたのは、教育が社会の階層化を進めて民主主義を損ねているという問題を指摘した部分でした。そこのところの論を要約するとこうなります。識字率の普遍的な広がりは、人間は平等だという潜在意識をもった社会をつくった。なぜなら誰もが読み書きできる社会だからです。しかし、中等教育と高等教育の発展は、階層化された社会をつくった。それぞれの社会には、30%か40%、50%といった割合で高等教育を受け、自らを社会の中で上の方にいると考え、同じような学歴の人々に囲まれて暮らす人々が出てきました。このことが、ポピュリズムとエリート主義が対立する理由になったのです。
 これは、国によって多少の違いはありますが、最も進んだ民主主義国のすべてが直面している問題なのです。というのも、高等教育というのは必要なことです。しかし、それが進んでいくと、高等教育を受けた人の間でも選別が進みます。どの大学も同じというわけではありませんから。つまり今、人々は平等ではないという潜在意識をともなった社会に移ってきてしまったのです。
 この考え方はとても関心を呼びました。それは興味深いことです。私はこの考え方をまず米国ではどうだったかということを手がかりに発展させていきました。米国では、労働者と学生の対立はベトナム戦争時に見られました。それはフランスよりも30年も早かった。フランスでその対立が顕在化したのはEUのマーストリヒト条約批准問題が起きたときです。この考え方は、すでに『経済幻想』(藤原書店)という本の中で触れています。けれどもその本が出版されたのは1998年です。20年も前に明らかにしていた考え方です。まるで社会が成熟して、この考え方を受け入れられるようになったみたいです。(続く)