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ソフトバンクグループ(株)【9984】の掲示板 2018/08/07

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wil***** 強く買いたい 2018年8月7日 23:43

THE WALL STREET JOURNALから

【東京】シェアオフィス運営最大手の米ウィーワークが2017年に ソフトバンク グループ(SBG)から出資を受けた際、44億ドル(約4900億円)超の現金だけでなく、SBGの出資先企業数百社から契約を獲得するチャンスも得た。
 現在、ウィーワークが提供するデスクの4分の1超はSBGの出資先企業が利用しており、ヤフージャパン(SBGの持ち株比率は43%)のチームもその1つだ。米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(同15%)はウィーワークの都内有数の高級ワークスペースに移転する。SBGは本社機能をウィーワーク提供オフィスに移すことも検討している。
 このような連携は、世界最大のIT(情報技術)投資家で、920億ドル規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を運営するSBGの戦略において不可欠なものとなっている。SBGの孫正義会長兼社長(60)は長年「財閥」について研究してきた。
 SBGの300年計画を標ぼうする孫氏は、出資先企業に提携を呼びかけ、経営者同士を引き合わせる「橋渡し役」を果たすことも多い。SBG幹部によると、孫氏は最近、提携の可能性や相乗効果を評価する社内グループを立ち上げた。SBG傘下の米携帯電話サービス大手スプリントの最高経営責任者(CEO)を務めたマルセロ・クラウレ氏が同グループを率いている。スプリントは米同業TモバイルUSとの合併で合意している。
 孫氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月に開催した「CEOカウンシル」で、出資先企業は「ソフトバンクのファミリーだから、どんどんそういうことが促進できる」と語った。ただ、孫氏が望んでいるというだけの理由で企業が不利な連合に組み入れられることになれば、足かせ要因にもなり得る。
 シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのウェイバリー・ドイチュ教授(起業学)は「問題はソフトバンクの『提言』がどれだけ高圧的かということだ」とし、「こうした連携は出資先企業とソフトバンクのどちらにとって最良なのだろうか」と問いかけた。
 孫氏は7月に都内で開かれた「ソフトバンクワールド2018」で、客席にいた出資先企業2社の経営者に視線を合わせた。1社はインドの電子決済サービス大手「ペイティーエム」で、もう1社は中国のインターネット専業保険最大手「衆安在線財産保険」だった。
 孫氏が思い描いていたのは、両社が連携したらどうなるかということだった。インドに3億5000万人の顧客と800万店の加盟店を持つペイティーエムは保険が必要な人を把握し、衆安保険は保険料の設定方法に精通している。

 孫氏は聴衆に向かって、どれほど安いコストでリアルタイムかつダイナミックな料金設定を店舗ごとでできるか想像して欲しいと語りかけ、「お互いのAI(人工知能)とAIが結びつき、ペイティーエムの持っているデータと衆安保険の持っているAIの技術力が合わさったとき、どれほどすばらしい革新的なサービスがはじまるか想像しただけでわくわくする」と述べた。
 これはただの空想ではない。ペイティーエムの幹部によると、同社はSBGが出資した中国企業(衆安保険など)との提携について交渉中だ。ペイティーエムはワン97コミュニケーションズの傘下企業。
 一方、日本ではペイティーエムが7月末、SBGの通信子会社ソフトバンクとヤフージャパンの2社と組んでスマートフォン決済サービスを始めると発表した。
 米シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルは長年、独自のコネクションを駆使して出資先の新興企業を支援するという手法を取っている。SBGの手法はこれに幾らか似ている。
 相違点の1つは規模の大きさだ。ビジョン・ファンドは米大手ファンドの10倍超の規模を誇る。もう1つは、SBGが出資先企業の水平関係に留意していることだ。ペイティーエムなどの企業の急成長を後押しするには、こうした関係が不可欠だと孫氏は考えている。
 シリコンバレーのベンチャーキャピタルの多くが米国に注力しているのに対し、SBGは、日本やインド、中国というアジアの巨大市場での連携拡大を目指す機会が増えている。
 インドのオラベル・ステイズが手掛ける格安ホテル予約サイト「OYO(オヨ)」は、中国で増えている中間層をターゲットにしたい考えだ。OYOを立ち上げたリテシュ・アガルワル氏(24)は、中国の配車サービス大手「滴滴出行(ディディチューシン)」と提携交渉中だと明らかにした。深センや広東といった大都市には滴滴出行の利用者が数百万人おり、そこで共同広告キャンペーンを打つなどして顧客獲得を目指したいと話した。この提携を橋渡ししたのは両社に出資する孫氏だという。
 孫氏は7月、オヨで予約できる中国国内の部屋数は昨年11月には42部屋しかなかったが、今は5万部屋まで増えたと指摘。同社のデータ処理能力が高く、需要の予想や1日に数百万回もの価格調整を行える点を評価した。
 アガルワル氏は、ソフトバンクから日常的に支援を受けているとし、孫氏から「大変刺激を受けている」と述べた。
 孫氏は5月、自動車販売サイトを運営する独オート1グループをインド当局とインド配車サービス大手オラに紹介した。オート1が欧州以外に事業範囲を拡大するのを後押しする提携の可能性について協議するためだった。オート1の広報担当は、同社がオラなどのSBG出資先企業と意見交換をしたと述べたものの、詳細は明らかにしなかった。オラの広報担当はコメントを拒否した。

 孫氏は、年下の経営者にアイデアを押し付けているように見えないよう努めている。データストレージシステムを提供する米コヒシティのモヒット・アーロン氏によると、孫氏はSBG提携企業が参加した夕食会で、提携構想について詳しく説明する一方、これは単なる提案にすぎないと付け足した。
 それでも、創業間もない中国の電子商取引大手 アリババグループ に数十億ドルを投じた孫氏の提案はそう簡単に無視できるものではない。
 ただ、孫氏の戦略によって断ち切りがたい関係が増えることで、後継者らは動きが取りづらくなる可能性があると早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授は指摘する。孫氏ですら、期待に届かなかったスプリントへの投資から撤退するのに何年もかかったと述べた。
 孫氏は、少数株の取得であれば、出資先企業の成熟化に伴い、技術変化についていくためにそれを売却しても打撃が少ないということを学んだと述べている。
 孫氏は6月の株主総会で「われわれの『群戦略』は、常に輝かしい成長著しい会社ばかり、しかもナンバーワンの会社ばかりが集まっている、そういう組織体をつくりたい」と語った。