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任天堂(株)【7974】の掲示板 2020/12/09〜2020/12/12

>>896

【任天堂が持つ「娯楽の再定義」の力】

AQUANさんこんにちは。投稿興味深く拝見しました。長期で見た任天堂の魅力について,私もコロナ禍を経て少しアップデートした部分があるのでここでメモがてら共有させていただければと思います。

長い目で任天堂を評価するときに,その強みは気づきやすい順に3つあると思います。

 1.作る(伝統的な意味での)ビデオゲームがおもしろい
 2.IP創出・維持・発展のノウハウがあり展開力も強い
 3.生活のあらゆる場面を娯楽として再定義する力がある

1.はある程度市場からも評価されていると思います。細かく見れば,プレステやスマホのアプリとは一線を画しているのでそれだけでも議論はできそうですが,ざっくりとした視点で「任天堂が作るゲームはおもしろい」という点で異論がある人はいないだろうと思います。

2.についてもIPの水平展開を打ち出してきたことでだいぶ理解が深まっていると思います。個人的には市場からはまだ相応に評価されておらず,それだけでも割安感があると思いますが,ValueActのようにこの点に気付いて投資をする向きも出てきています。

そしてこれから大きく評価されることになる(と個人的に考えている)のが3.でしょう。今年の任天堂の躍進について,市場ではいまだに「巣籠=ゲーム=任天堂」みたいな単純な図式がまかり通っているようですが,そこで大ヒットした「リングフィットアドベンチャー」と「あつまれどうぶつの森」については「たまたまコロナ禍のニーズに合った」程度の過小評価しかされていないように思えます。

この2本は,5年ほど前に任天堂(の当時の岩田社長)が提唱した「娯楽の再定義によるQOLの向上」を具現化したものと言えると思います。当時想定していたであろう「QOLデバイス」はまだ日の目を見ていませんが,そのフィロソフィーは確実に製品に反映されています。

「筋トレを通じた体力づくりが,家にいながら楽しくできる」「自分の箱庭を自分好みに作り上げて,自分なりのおしゃれとこだわりを表現しながら親しい人と交流ができる」

文字にすると簡単そうですが,どちらも任天堂が持つ「娯楽の再定義力」(ある種のゲーミフィケーション)があってこそのもので,世界のどんな企業にも真似ができない「独創」的なものになっています。

1.で「任天堂のゲームはおもしろい」という点をすでにあげていますが,これに3.の力が加わると,つまるところ「任天堂は生活のあらゆる場面をおもしろいゲームに変換してそれを体験する顧客を笑顔にする」ことになります。このことが持つ価値はとても大きいと思います(到底今の株価には織り込まれていないはず)。

AQUANさんのご指摘の通り,昨今のコロナ禍で今まで(伝統的な意味での)ゲームに無関係だった人が任天堂と関わる機会は世界的にずいぶん増えました。その人たちが今後任天堂製のゲームに触れてそのパイが広がることももちろん大いに期待できますし,そこで触れるIPへの愛着もますます深まっていくことでしょう。

それに加えて,そもそも生活のあらゆる場面に「任天堂スタイル」を取り入れることで生活の質が高まることも知ることで,「健康も交流も学びも,ニンテンドーと一緒なら楽しい」という評価も得られるようになると思います。

主力製品であるSwitchは確かに「純然たるゲーム機」ではありますが,任天堂に生活のあらゆる場面をゲームにするパワーがあるなら,Switchは生活全体の質を楽しく向上させる魅力あふれる機械として再定義されます。

コロナ禍が任天堂に対する評価を加速させたのは事実ですが,それはコロナが収まったらしぼむ種類のものではなく,ここで任天堂に縁を持った多くの人が「任天堂と付き合うことで得られる笑顔」に気付くきっかけとして将来につながるものとして評価されるべきだと思います。

  • >>905

    ご考察共有させて頂き有難うございます。
    注目していらっしゃるのは「娯楽の再定義」の力という事で、いかにも任天堂らしい部分だと思います。
    これってなかなか他のソフトハウスには出来ないんですよね。
    現代のソフト開発は非常にコストが高く失敗が許されません。突飛な企画は余程の勝算が無い限り通らないのが普通です。海外AAAが金太郎飴なのも開発費を考えれば仕方のない事です。無難に資金を回収することだけが開発の目的に成っていますから。過去を振り返れば、開発費の安い時代には他社からも挑戦的なソフトが発売されたのですがね。
    一方で任天堂はこういった突飛な挑戦を繰り返す事こそが娯楽産業で生き残る道だと主張し続けている企業です。その言葉に偽りは無く、毎年のようにチャレンジングな商品を世に送り出しています。
    これはもう社風の違いとしか言いようが無い部分です。ゲーム会社の中では任天堂だけが他と違っています。
    技術的に見れば、任天堂がハードとソフトを一体で開発しているからこそ出来るチャレンジなのだとは思います。SonyやMSは現状チャレンジを放棄していますがね。やはり社風の部分が大きいのでしょう。
    他のゲーム企業がユニークなソフトを出すことも有りますが、多くは任天堂の後追いです。その分野に需要がある事を確認してから開発にゴーサインを出すのです。自ら需要を掘り起こす任天堂とは本質が異なっています。
    「今はまだゲームに無関心な一般層」を開拓するには、まさにこの様な力こそが必要に成って来るのでしょう。
    こういった、挑戦的に新規層を開拓するソフトは日本市場で良く売れる傾向に有ります。これは、日本におけるゲームの一般層への普及が海外より進んでいる事の証でしょう。
    そして、今後は海外でもこれらの挑戦が花開いて一般層へのゲームの普及は進んで行くと思います。任天堂が世に在り続ける限りは。