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>>48

■そのまま置き換え可能

同社が採用した補償回路は、半導体によるスイッチング動作を使ったコンバーター回路を組み合わせたAPD(アクティブ・パワー・デカップリング)回路である。いくつかの実現手法がある中で交流の脈動の一部を補償する部分補償方式のSSC(シリーズ・スタックド・キャパシター)型を採用した。電解コンデンサーの部分を今回の回路で置き換えても、既存の電源回路の仕様を変更しなくても済むように設計した。

■課題はコスト、10~30倍に

今回の技術の課題はコストだ。試作品では、部材コストが既存品の10~30倍だった。量産時には低コスト化が見込めるとはいえ、当面コスト差は埋まらない。積層セラミックコンデンサーの容量単価が電解コンデンサーよりも高いことに加え、APD回路に次世代の半導体「窒化ガリウム(GaN)」を採用していることによる。GaNは高速スイッチングが可能であり、コンデンサーの容量低減に効果がある。今回、その目的で採用した。

同社は、製品化時には、基本的には小型で長寿命という価値を認める顧客に高い価格で販売する意向だ。ただし、コストを重視する顧客に対しては、積層セラミックコンデンサーを安価なフィルムコンデンサーに置き換えたり、GaN半導体を従来のシリコン(Si)半導体に置き換えたりすることを検討している。GaN半導体をSi半導体に置き換えるとAPD内のスイッチング周波数を下げざるを得ず、回路寸法は大きくなる。