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パナソニック ホールディングス(株)【6752】の掲示板 2024/05/11〜2024/05/29

『株主優待の新トレンド、条件は長期保有-持ち合い解消後の安定層期待

エディ・ダン、横山桃花
2024年5月24日 7:00 JST
ソフトバンクは1年以上を条件に新設、7&iは3年以上をより優遇
優待実施企業数は頭打ち、長期優待実施企業の割合は10年で4倍超に
上場企業が行う株主優待で、「長期保有」を条件に据えるケースが相次いでいる。株式の持ち合い解消が進み、アクティビスト(物言う株主)による提案も増える中、個人投資家を中心とした新たなファン層を獲得し、株式を長期に持ってもらうことで安定株主の育成につなげることが狙いだ。

  ソフトバンクは4月、株主優待制度を新設し、100株以上を1年以上保有する株主を対象にPayPayポイントを贈呈すると発表。セブン&アイ・ホールディングスも同月、保有株式数や継続保有期間に応じて商品券などを付与すると明らかにした。3年以上の継続保有株主をより優遇する。日本マクドナルドも昨年12月、株主優待制度を一部変更し1年以上の継続保有を条件にすると発表した。

  大和インベスター・リレーションズ(大和IR)によると、株主優待を実施する企業の総数は、2019年に約1521社で頭打ちして以降、ほぼ横ばいとなっている。機関投資家や外国人株主など直接的な恩恵を受けることが困難な株主がいることから、公平な利益還元のために廃止する動きが目立つ一方、長期保有向けを中心に導入企業も増えているためだ。

  大和IRの調べでは株主優待を実施する企業のうち、株式の一定期間以上の保有を条件にした長期優待実施企業の割合は昨年9月時点で38.5%。この比率は過去10年で4倍以上に拡大した。

長期保有向けの優待が増えている
全体の優待実施件数は頭打ちか

Source: 大和インベスター・リレーションズ
「物言わぬ株主」

  背景には、株主構成の変化や新たな少額投資非課税制度(NISA)導入などで、企業が個人投資家を重視する傾向が強まっていることがある。

  企業による持ち合いの解消で放出された株式は、個人や外国人投資家に吸収される。ニッセイ基礎研究所によれば、上場企業の持ち合い株式比率は長期にわたって下降傾向をたどり、23年3月時点で平均5.51%となっている。

アクティビスト、24年も日本企業へ攻勢強める-京成やリクルート注目

  大和総研金融調査部の瀬戸佑基研究員は、持ち合いの解消などにより、企業は安定株主の減少に対して「焦り」を感じていると指摘。また、大手機関投資家が会社提案に反対するなど、物言う株主の活動が活発化する中、「物言わぬ株主」として個人投資家に注目が集まっているとの見方を示す。アクティビストによる株主提案を受ける上場企業数は、23年に112社と過去最多となった。



持合株式比率
二極化傾向も、全体として解消が進む

Source: ニッセイ基礎研究所
Note: NEEDSーCGESをもとに、日本の全上場企業を対象に算出。比率は議決権ベース。
優待導入企業の狙い

  株主優待については、個人株主数などに影響を及ぼすとの研究結果が出ている。ワシントン大学のジョナサン・カルポフ教授らが20年に発表した研究では、株主優待の導入で個人株主が0.8-1.3ポイント増えたことが示された。金沢大学の松浦義昭講師が23年に発表した研究では、株主優待を廃止した企業は優待廃止前後で個人持ち株比率が低下したことが分かった。

  23年に株主優待を導入した良品計画の今月の発表によると、3年以上の中長期保有者の割合が導入前(22年8月末時点)の5%から24年2月末時点には約20%に高まった。

  4月に株主優待を新設したソフトバンクの吉岡紋子総務本部副本部長は、株主優待は増配よりも株主数の下支え効果があるとみている。中長期的には機関投資家の理解を得られるだろうと話す。

  フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは、株主優待は株主の裾野を広げる観点から、「機関投資家にとってもポジティブであることに変わりはない」と指摘。長期保有優待の増加の背景には、マネーゲームとして株を買うテクニカルなトレーダーではなく、安定株主を確保したいという企業の狙いがあるのではないかと述べた。』