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(株)技研製作所【6289】の掲示板 2019/01/18〜2020/01/11


クオモ知事の呼びかけで新案の策定に携わったのは、コロンビア大学とコーネル大学それぞれの工学部長と両大学の教授陣を含む6人。米国のトップ私立大学「アイビーリーグ」2校のエリートチームだ。チームの一員でコロンビア大のアンドリュー・スミス教授は、配線の壁掛け方式について「コンクリートに埋め込む方法に比べ施工が安価で柔軟性も高く、補修がしやすい」と説明する。温存したベンチウォールには最新式モニターを配備、長期的に状態を監視する。
MTAはクオモ知事の新案を受けて、実現性や安全性などを検討したうえで採用を決めるとし、L線の運休計画はひとまず取り下げた。代替の交通手段の提供や実際の工期も不透明な状態に逆戻りした。
「クオモ知事とエリート学者集団がMTAに赤恥をかかせた」――。地元メディアはドラマチックな急展開を扇情的にかき立てた。知事の要請を受けたコーネル大学工学部のランス・コリンズ学部長は「代替案は、MTA側の情報提供など全面的な協力あってこそできたもの」とこうした見方を否定する。
MTAは州から独立した機関だが、州知事は局長の任命権を持つ。MTAが約3年かけて準備した工事計画を、「大ボス」知事の圧力であっさり放棄したとの印象は否めない。
■沿線住民は複雑な反応
突然決まったL線運休とりやめに、沿線地域の住民の反応は複雑だ。同エリアで20年にわたり不動産業を営むアンディ・プレヴィスコさんは「運休の計画で地域のビジネスや賃貸物件がずいぶん打撃を受けた。クオモ知事が介入してくれてよかった」と話す。
一方、居住歴20年のプレビーン・ラムチャンダーニさん(47)は「既に多くの人の生活が変わり、代替バスで通勤する仕組みもできあがっていた。なぜ今になって介入するのか」と戸惑う。テレビ局勤務で通勤時間が不規則。「深夜や週末のコマ切れ工事で工期がさらに長引いたり、代替の交通手段が手薄になったりしないのか不安」という。
ハリケーンの影響を受けたL線以外でも、ニューヨーク市地下鉄のインフラ老朽化は深刻だ。スミス教授は「24時間運営は世界にも例がない。日々のメンテナンスができないことも問題に拍車をかけている」と指摘する。終電導入は何度か浮上したものの、市民の猛反対で実現していない。恒常的な遅延、全面運休のどちらにも支持を得られないまま、MTAは板挟みの決断を迫られそう