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富士フイルムホールディングス(株)【4901】の掲示板 2019/09/21〜2020/01/10

自社株買いの原資は、当該企業の余剰資金です。
この余剰資金で市場から当該企業自身の株式を買うわけですから、
キャッシュの側面だけ見れば、当該企業の余剰現金は企業外に放出されます。

当該企業の余剰現金は、当該企業の「企業価値」の一部ですから、
キャッシュ放出分、企業価値は減少します。
一方で、市場価格で当該企業の株式を、既存株主が手に入れるわけですから、
もし、
「市場価格(=株価)=一株あたり株主価値」であるとすれば、
「失うキャッシュ=手に入れる株主価値」となり、
一株あたりの価値に変動は無く、したがって市場がそこそこ効率的であれば、
株価に変動はありません。

当該企業が時間経過と共に株主価値を増大させるであろう企業の場合、
自社株買いに応じてキャッシュをいただく代わりに株主価値を失う(元)株主が、
「当該企業に対する」運用機会を損失するに過ぎません。

もし、
「市場価格(=株価)>一株あたり株主価値」であるとすれば、
自社株買いに応じず「残る株主」にとってみれば、
「失うキャッシュ>手に入れる株主価値」となり、
一株あたりの価値は減少し、したがって市場がそこそこ効率的であれば、
株価は下落します。
(が、一時的には、「自社株買い=株価上昇」と、
 無条件に思い込んでいる投資家が数多く存在するので、
 株価は、この場合でも「一時的に」上昇する傾向があります。)
もし、
「市場価格(=株価)<一株あたり株主価値」であるとすれば、
自社株買いに応じず「残る株主」にとって観れば、
「失うキャッシュ<手に入れる株主価値」となり、
一株あたりの価値は増大し、したがって市場がそこそこ効率的であれば、
株価は上昇します。

以上から、経営陣が自社株買いを行うべき合理的条件とは、
「市場価格(=株価)=<一株あたり株主価値」のときに、
当該企業の将来キャッシュフローに無関係な「余剰現金」によって、
実施されるべきオペレーションということになります。

上記の、「市場価格=<一株当たり株主価値」には、
「<」ではなく、「=<」を使っていることに着目してください。
つまり、
「市場価格=一株あたり価値」の場合にも、自社株買いは合理的という意味です。
なぜなら、
原資が余剰現金である(=再投資対象が見つからない)場合、
そんな資金は、さっさと株主に返還すべきですが、
もし「配当」によってそれが行われた場合、
「すべての既存株主に対して配当に課税」されてしまいますが、
自社株買いであれば、
「自社株買いに応じてキャッシュを受け取る(元)株主」においても、
「残る株主」にとっても、
自社株買い実施時点での、もしくは将来のある時点での、
キャピタルゲイン課税で済みますので、
自社株買いの方が、(政府の懐)以外にとって合理的というわけです。