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DIC(株)【4631】の掲示板 〜2015/04/27

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やま 強く買いたい 2013年7月10日 07:45

インキ世界最大手のDICの多角化事業が軌道に乗ってきた。液晶材料や合成樹脂などで、2013年12月期はインキ以外が連結営業利益の6割を稼ぐ見通しだ。多角化事業がけん引し、15年12月期には営業利益を600億円と過去最高に引き上げる計画。ただ、足元では中国の景気減速など懸念材料もくすぶる。多角化で培った総合力を生かし、経営環境の変化に対応しつつ収益力を高められるか。



営業利益に占めるインキ事業の比率は約70%から39%に下がる
 13年12月期予想の営業利益は390億円。決算期変更に伴い、今期は国内事業が9カ月、海外事業が12カ月の変則決算だが、同じ条件で計算し直した前期実績と比べると12%増える。リーマン・ショック前の08年3月期(483億円)以来の水準を回復する見通しだ。

 だが、利益の中身は当時と異なる。08年3月期はインキ事業が営業利益の約70%を稼いだが、今期は39%。電子化の進展でインキ需要が低迷した面もあるが、多角化事業の収益力を高めてきたことが大きい。多角化事業が今期予想の営業利益に占める比率は「合成樹脂」が26%、液晶材料など「ファインケミカル」が25%、粘着テープや自動車部品材料など「アプリケーションマテリアルズ」が10%。SMBC日興証券の渡部貴人チーフアナリストは「インキを含む4事業のバランスが取れており、収益構造が健全」と評価する。

 DICが本格的に多角化に乗り出したのは09年3月期。先進国の印刷市場の縮小でインキ需要も伸び悩むと判断し、社名も大日本インキ化学工業から変更した。多角化ではインキの技術を転用して新事業を育成してきた。例えば液晶パネル用顔料はインキの配合技術を生かし、材料の配合を容易にした製品を開発した。今では液晶向けの緑色顔料で約7割のシェアを持つ。


 15年12月期には、インキを含む4事業の営業利益を13年3月期に比べ4~7割ずつ伸ばす計画。需要が減少するインキ事業は欧米事業のリストラで収益を改善する一方、液晶材料や自動車のエンジン材料など利益率の高い製品のシェアを高める計画だ。

 ただ、株式市場の評価はいまひとつ。9日終値の予想PER(株価収益率)は9倍台にとどまり、インキ依存度が高い東洋インキSCホールディングス(15倍)やサカタインクス(12倍)を下回る。市場では東南アジアのインキ需要拡大が買い材料になっており、DICは多角化している分、評価が割り引かれている格好だ。

 その多角化事業も盤石ではない。中国では景気減速に加えて、政府が省エネ家電の購入補助制度を5月で廃止。この影響で液晶テレビの需要冷え込みが懸念されている。DICの4~6月期業績は社内計画を若干上回るペースで推移したようだが「下期のハードルは高い」(斉藤雅之専務)。外部環境の悪化で収益改善の速度が落ちれば、成長シナリオの見直しを迫られかねない。

 中西義之社長は6月、英国や東南アジアの機関投資家を訪問した。液晶や合成樹脂の販売動向について質問攻めにされ、自社に対する海外投資家の関心の高さを肌で感じたという。それを市場評価の向上につなげるには、多角化の成果を発揮して今期予想を確実に達成することが最初の関門となる。