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塩野義製薬(株)【4507】の掲示板 2019/03/30〜2019/07/29

次代医療 興味深い

2019/05/10 02:00 日経速報ニュース 2056文字

 製薬各社がスマートフォンを活用した「デジタル治療」に乗り出す。塩野義製薬は2019年中に、発達障害の一種である注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療するビデオゲームアプリの臨床試験(治験)を国内で始める。大塚製薬はセンサーとアプリを組み合わせ、うつ病治療薬の効果を高める。デジタル技術を使えば1000億円規模とされる新薬開発を効率化でき、後発薬への対抗策にもなる。
 塩野義はADHDの治療用アプリを開発する米アキリ・インタラクティブ・ラブズから、日本と台湾での独占開発・販売権を獲得した。販売額などに応じて1億ドル(110億円)以上を支払う契約を結び、アキリ社への出資も検討する。


   ADHD患者は大脳皮質の機能が低下しており、ゲームで刺激を与えると注意機能の改善が見込めるという。子供が課題をこなす能力に合わせてゲームの難易度を調整し、治療効果を高めることもできる。
 アキリ社は米国で8~12歳の患者348人を対象に治験を実施し、注意機能の改善を確認した。米食品医薬品局(FDA)に承認申請中で、近く承認が下りる見通しだ。
 塩野義は自社でADHD治療薬を開発してきたが、「デジタル技術と融合させれば、既存薬の治療効果は大きく高まる」(手代木功社長)と判断した。国内でも19年からアプリの治験を始め、医療機器としての承認を目指す。承認後に保険適用されれば通常の薬と同様に薬価(公定価格)が付き、医療機関にアプリを販売できるようになる。
 背景には世界中の製薬大手に共通する悩みがある。新薬開発コストが高騰し、15年以上の年月と1000億円超の費用を投じることも珍しくない。一方で、製品化できても特許が切れれば後発薬が登場し、収益性が下がる。業界関係者の多くは「製薬大手のビジネスモデルは曲がり角を迎えている」と口をそろえる。
 治療用アプリに期待が集まるのは、こうした難局を打開する鍵になり得るからだ。アプリを医療機器として販売できれば、製薬会社の新たな収益源となる。アプリと既存薬をセットで販売すれば、患者が安価な後発薬に切り替えるのを防げる。塩野義の場合は仮にADHD治療薬の特許が切れても、高い利益を維持できる可能性がある。