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(株)アイロムグループ【2372】の掲示板 〜2015/04/08

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Dreamtrue2016 強く買いたい 2015年4月8日 13:23

再生医療 普及への道(下)装置や試薬、商機生かせるか 異業種交え市場育成
日経電子版 4月7日[有料会員限定]

 大競争の号砲が鳴ったのは2014年の秋だった。日本で再生医療関連の法律が施行し、再生医療製品が世界のどこよりも早く実用化できる見通しが開けた。色めき立ったのが産業界だ。日本に生まれた再生医療という商機の獲得合戦が始まった。

再生医療サポートプラットフォームは、3月の日本再生医療学会でも参加企業の製品を展示した
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再生医療サポートプラットフォームは、3月の日本再生医療学会でも参加企業の製品を展示した
 金属加工の積進(京都府京丹後市)は、細胞を空気圧で吸い付けるペン型の装置を作った。このほど商社を通じ、販売を始めた。生産設備製造のシバタシステムサービス(京都府宇治市)も、軟骨や皮膚を凍らせずに数百マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルサイズで切る装置を近畿大学に納入した。

 両社が参加する連携組織の再生医療サポートプラットフォーム(京都市)は、研削加工などに優れた約200社が名を連ねる。09年の設立以来、様々な装置の開発依頼が舞い込むが、1月末までに早くも試薬を垂らす特殊な器具や培養中の細胞を保温する装置など5件を製品化した。

 中小企業の高い技術力を生かせば、再生医療の普及を後押しできる。フォーラムを束ねる京都リサーチパーク(京都市)の水野成容常務取締役は「装置や消耗品など再生医療の周辺市場は50年に15兆円に達する」と期待に胸を膨らませる。

 理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらがiPS細胞を使う世界初の臨床研究を網膜の難病患者で進め、再生医療が現実味を帯びてきた。課題はコストだ。手術後の経過は順調なものの細胞の採取から手術まで10カ月かかり、総費用は1億円に上るとの声もある。

 治療の安全性を保ちつつコストを抑え利便性を高める必要がある。多くの企業が参入し、産学連携を深める体制が必要と誰もが感じていたところに、再生医療関連の法律施行が企業の背中を押した。

 大手も動く。住友電気工業や三菱ガス化学など17社は京都大学と共同でiPS細胞を輸送する技術を開発した。将来、備蓄したiPS細胞を各地に運ぶ需要が生まれると考える。

 輸送容器は片手で持てる大きさで、内部は酸素と二酸化炭素の濃度を一定に保つ。3時間以上の移動でもiPS細胞の90%以上が生き残り、厳しい管理が必要な医療用で使えるメドが付いた。年内にも京大の高橋淳教授が始めるパーキンソン病の臨床研究に適用する見通しだ。

 企業の参入は科学者にも刺激になっている。実用化につなげる技術開発が急ピッチだ。

 国立循環器病研究センター研究所は、特殊な高分子の上で細胞を培養し、球状や網目状など様々な形に変える研究に取りかかる。中山泰秀室長らは「iPS細胞から軟骨を作り、膝を傷めた高齢者などの治療に使いたい」と意気込む。

 iPS細胞は培養の技量が低いと1カ月で7割が別の細胞に変わる。大阪大学の紀ノ岡正博教授らは試薬で1割に抑える方法を見つけた。余計な細胞を取り除く手間が省ける。1~2年後にまず研究用のiPS細胞づくりに応用する。

 企業の参入でビジネス熱が高まる一方、大切になるのが産学連携だ。

 再生医療サポートプラットフォームで相談役を務める京大の田畑泰彦教授は「(再生医療では)異業種の企業が活躍する余地は大きい」と話す。従来の産学連携にとらわれず、交流相手を広げ、新しい発想や技術を取り込めるかが試される。海外企業との連携も増える。

 患者のもとに新しい治療法を届けるという共通の目標に向けて、今こそ産学がスクラムを組む時だ。