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いちご(株)【2337】の掲示板 〜2015/04/08

東京 4日 ロイター] 黒田日銀の「バズーカ砲」に市場も驚いた。長期国債やETFの買い入れ額は市場の予想上限さえ上回ったことで、ドル/円は2円以上円安に振れ、約200円安だった日経平均は272円高まで急反転。10年債利回りは史上最低水準を更新した。

政策目標を金利からマネタリーベースの量に変更したことは、ボルカー元FRB(米連邦準備理事会)議長がとったインフレ退治政策以来の衝撃との声もある。

<ECBのLTROに匹敵>

黒田総裁就任からちょうど2週間。時間の乏しさや購入可能な資産は限られているとの見方から、今回の決定会合ではサプライズはないと高をくくっていた市場参加者も多かったが、黒田東彦日銀総裁が、就任後初の日銀決定会合で打ち出した金融緩和策は、予想されていた緩和メニューがほぼ盛り込まれ、各資産の購入額も市場予想の上限さえ超える内容となった。

長期国債の償還を考慮しないグロスの買い入れ額についての市場中心予想は月5兆円、上限でも6兆円だったが、今回の緩和では7兆円強になる見込みだ。長期国債購入の上限を定めていた銀行券ルールは一時、停止されることになった。上場投資信託(ETF)は市場規模が4.4兆円程度と小さいため、増額されても少額との予想が多かったが、これも市場予想を大きく上回り、ETF及びJ─REITの保有残高は、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買い入れることになった。

シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は、ドラギECB総裁のLTRO(長期流動性供給オペ)に匹敵するような黒田総裁の「バズーカ砲」がさく裂したと指摘。「現時点でできるものは全て出したという印象だ。打ち止め感さえ心配されるほどだが、海外勢は日本勢以上に驚きをもって受け止めそうであり、材料出尽くしにはしばらくならないだろう」との見方を示す。

<ボルカー以来の衝撃>

今回の「量的・質的金融緩和」では金融市場調節の操作目標をこれまでの無担保コール翌日物からマネタリーベースに変更し、年間60─70兆円に相当するペースで増加させる。「金利」からマネーの「量」にターゲットを変更したわけだが、市場では「政策目標がわかりやすくなり、市場とのコミュニケーションがとりやすくなる」(国内銀行)と好評だ。

三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「1979年にボルカー元FRB議長が、米国のインフレを止めるために、マネタリーベースの量をターゲットにし、インフレを退治した。黒田総裁がデフレを止めるためにマネタリーベースの量を目標を変更したことは、それ以来のインパクトがある」と驚きを隠さない。

3月ADP全米雇用報告で民間部門雇用者数が5カ月ぶり低水準となったことで、今週末の3月雇用統計に警戒感が強まっている。米10年債利回りは1.811%に低下し、ドル/円も上値が重くなっているが、日本の10年債利回りは0.43%を割り込み、史上最低水準を更新した。「ここまで日本国債の利回りが押し下げられるとドル高/円安要因になる」(国内シンクタンク)との見方が多く、ドル/円は4日夕方時点で95円前半まで上昇。調整が続いていた日経平均も円安を好感し、一気に年初来高値を視界にとらえた。

ただ、中央銀行がマーケットに深く介入することで発生する「歪み」には警戒が必要だ。円債市場の財政規律に対する警告機能は事実上失われてしまった。企業業績も市場の期待ほどには回復していない。衝撃の「余韻」はしばらく続きそうだが、資産価格が経済実体から大きくかけ離れれば、反動も大きくなる。