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ASMLホールディング【ASML】の掲示板 〜2021/10/20

(NO3)
ここからは半導体企業の現状と今後の動向に関して要約します。
まず、2020年1Qの半導体ファウンドリ売上高ランキングトップ10のうちトップ5を掲載します。

第一位:TSMC:
業界トップは市場シェア54.1%、同四半期の売上高も前年同期比43.7%増の102億ドルと圧倒的な存在感を示している。7nmの躍進とともに安定した受注を勝ち取っている。また、12/16nmプロセス(SMIC(ファーウェイ傘下企業)向けが中心)に関しては、ウェハの投入数量の潜在的な調整の可能性が完全に排除できるわけではないものの、7nmの好調さを背景に、もし仮に影響がでても、そこまで大きな問題になる可能性は低く、さらに特殊プロセスなども5G、IoT、車載半導体関連の需要を満たしていることから、全体として約90%の稼働率を維持できる可能性は高いとしている。
 2021年上期量産化予定の5nm製品は受注(アップル、クアルコム、AMD,NVDIA)満杯。現在リスク生産中。台中南のFab18工場(現在、第二期工事中、第三期2021年予定)で高速モバイル向け5nmリスク生産中で2021年量産化計画。なお、EUV適用メタル層拡大でTN6もリスク生産開始して、2021年1Q量産化予定。5/3nmプロセスではトリプル露光技術などによるウェーハ処理のスループットが低くなるのでEUV露光光源出力350Wを開発中。注目は、米国に最新鋭ステルス戦闘機「35」用半導体生産工場の新設化。問題は米国商務省がファーウェイ向け半導体製品占有率を25%→10%に引き下げて製品供給制限を検討中ということ。
最新の業績は絶好調:
2020年1Q:売上高:3105971(NT$million)(対前年同期比:+42%)
2020年3月売上高:113520(NT$million)(対前月比:+21.5)

第二位:Samsung:
 5G向けアプリケーションプロセッサ、CMOSイメージセンサ、有機EL向けディスプレイドライバIC(DDIC)、HPC向け製品などに向けた生産能力の増強と併せて、EUVの適用範囲を拡大することで、先端プロセスの収益割合を高めることに取り組んでおり、売上高も同15.9%増の29億9600万ドルと堅調な伸びを示すという。
ただし、新型コロナウイルスの感染拡大が韓国国内に大きな影響を与えており、この影響から同社の売り上げは予測ほど伸びない可能性もあるという。
特に、次世代ハイエンドスマホ向け16GB「LPDDDR5」DRAM量産開始(10nm1Ynmプロセス適用)。上期発売予定の「Galaxy s20 Ultra」に搭載予定。FinFET5nmプロセス開発完了→2020年量産化。3nmGAAリスク生産中→2021年量産化。
新工場華城EUVライン整備中で7nmライン2Q量産開始計画(2020年末までに設備投資60億$で対2019年比3倍に生産能力高める計画)。

第三位:GlobalFoundries(GF):
 22nmプロセス(22FDX)ならびに12nm LP+ FinFETプロセスを中心に5G、車載半導体など向けに注力しており、売上高は同15.6%増の14億5200万ドル。また、台湾Vanguard International Semiconductor Corporation(VIS)にシンガポールの200mmウェハ工場を売却した結果が2020年第1四半期の売上高に影響を与えた可能性がある。同社は2022年末までにニューヨークの元IBMファブをON Semiconductorに売却することも決めている。

第四位:UMC:
 22/28nmプロセス製品の受注が増えたこと、新規クライアントならびに日本の拠点(旧:三重富士通セミコンダクター、2019年10月よりユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン:USJCに社名変更)などの影響から稼働率が四半期ごとに上昇しており、その結果、2020年第1四半期の売上高は前年同期比32.2%増の13億9700万ドルとなるという。
クライアントの在庫積み増しで各社売り上げ増に期待。
2020年1Q売上高:42270NT$million(対前年同期比:+29,7%)
2020年3月売上高:14570NT$million(対前月比:+7.1%:過去2番目の高水準)

第五位:SMIC:
 CMOSイメージセンサ、パワーマネジメントIC(PMIC)、指紋センサ、組み込みメモリアプリケーションなど中国国内市場(特に、ファーウェイ向け)からの需要の増加により、稼働率が最大レベルにとどまっているとのことで、ある程度の収益維持が見込めるとしている。14nm主力製品の月産能力を5倍に拡大するがそれでもファーウェイの需要を満たすことができない。現状では、14nm製品の15%をTSMCに生産委託しているが、さらに、ファーウェイの5~7nm製品をTSMCに生産委託している。ファーウェイスマホ5G向け「Kirin1200」プロッセッサーをTSMCに生産委託。

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な課題となり、経済が減速するにつれて、クライアント各社が大きな不確実性に直面することとなり、それが半導体ファウンドリ業界の成長を鈍化させる可能性があると予想している。具体的な影響は2Q実績に現れるので注目したい。

その他の企業動向:
◎NVDIA:
 次世代GPU[Ampere」TSMCに生産委託。2020年中に製品リリース予定。自動運転車及びロボット向けSOC[Orin](7nm製品)もTSMCに生産委託。次世代プラットフォーム「NVIDIA DRIVE AGX Orin」に採用予定。

◎Micron Technology:
 Xiaomiの次世代スマホ「Mi 10」に搭載予定の「LPDDR5 DRAM」出荷開始。
台湾の台中市科学工業園区に新工場2棟建設計画表明(投資額:1兆3000億円、1棟は2020年中頃竣工予定)。広島市に「先端DRAMセンターオブエクセレンス」(B2棟)建設(先端DRAMプロセス研究開発拠点と試作ライン)。1α並びに1β製品にEUVプロセス適用するもコストメリット少なく検討中。

◎SKハイニックス:
 1Znm製品にはコストメリットの関係からEUVプロセス適用見送り。利川工場にEUVプロセス研究開発用としてEUV露光装置2台納入。利川工場内に新製造棟M16を建設(2020年下期竣工予定:DRAMEUVプロセス専用棟)。EUV適用は2021年の1α製品を予定。

◎INTEL:
 7nm開発開発完了→2021年市場投入。SSD向け3DNAND(144層)投入開始。5nmEUVプロセス開発で苦戦。

◎AMD:
 サーバー向けMPU/GPU開発拡大。

◎Xilinx:
 FPGA開発拡大。

◎ASML:
 EUV露光装置出荷実績並びに計画:
2018年:18台→2019年26台→2020年:35台→2021年:45台。
EUV露光装置出荷額:
2018年:1900millionユーロ→2019年:2789millionユーロ→2020年:?。
EUV露光装置受注実績:
2018年:20台→2019年:45台→2020年:?。
2019年露光装置地域別出荷額:1位、台湾(3800億円)、2位、韓国(3200億円)、第三位、中国(1800億円)、第四位、米国(1400億円)、第五位、日本(1100億円)、第六位、欧州(700憶円)。
開発装置:ベルギーの次世代エレクトロニクス技術の国際研究開発機関)imecと共同で次世代露光装置「High NA」開発中【すでに8台受注済み】。2021年に試作品出荷予定(3nmプロセス用)。2023年量産出荷予定。
新型コロナの影響で2020年1Qの売上高を当初の計画から25%引き下げている。移動制限による出荷遅延が今後顧客の発注遅延に影響を及ぼすことが懸念されている。

◎ブロードコム並びにクアルコム:
 5G用スマホ用プロセッサー開発してTSMCに生産委託。

◎ラムリサーチ及びAMAT:
 いずれも装置の最終組み立て工場をマレーシア、タイなどへアウトソーシングしているので、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出制限や物流インフラの停滞、部材調達が困難になっているため装置メーカーの売り上げ見通しが立たなくなっている。両企業ともにラムリサーチは2020年1~3月、AMATは2020年2Q(2~4月)の売上高予想を白紙に戻した。
さらに、生産停滞及び出荷遅延のために中国などの顧客半導体企業からは設備投資延伸などが出て受注も当初の計画よりも下落してきた。

 以上、数回に分けて半導体市場動向と半導体主力企業の動向を要約してきましたが一刻も早く新型コロナウィルスの終息を期待したいと思い半導体関連情報掲載を一旦終了いたします。参考になれば幸いです。