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日本の中小型株「一世一代の投資機会」欧運用会社担当者

スペインの運用会社ゲシウリス・アセット・マネジメントのマーク・ガリガサイト氏は日本の中小型株市場に対し「割安銘柄の宝の山で、一世一代の投資のチャンス」と語る。足元では急ピッチな上昇に一服感がみられる日本株相場だが、引き続き海外投資家の関心は高い。

――日本ではどのような銘柄に投資していますか。

「50銘柄ほどの中小型株に投資している。欧米市場ではまず出会えないような割安な『隠れ銘柄(Hidden Stocks)』が多く眠っている。投資する銘柄の時価総額は平均で4億ドル(約625億円)程度だ。年間の売上高が8億ドルある企業で、時価総額が4億ドル程度と小さい企業を欧米市場で見つけることはほぼ不可能だ。売上高との比較で時価総額が非常に小さい企業が多く、足元の日本市場での中小型投資は宝の山で、『一世一代のチャンス(once-in-a-generation opportunity)』と考えている」

――ポートフォリオの構成はどうなっていますか。

「ポートフォリオの約7割が建設や自動車などのオールドエコノミー銘柄だ。とくにファミリービジネスの企業を選んでいる。なかでも建設の比率を高めている。欧州の建設銘柄は売上高に対し負債が多いが、日本の建設関係は相対的に少ない点がユニークで安心して投資できる。残りの3割はグロース(成長)系の銘柄だ」

「2016年から保有している銭高組(1811)は保有銘柄のなかでもっとも割安でお気に入りだ。現預金など手元流動性が積み上がっており、時価総額は今の2倍あってもおかしくはないとみている。自己資本利益率(ROE)が建設セクターの平均に比べて低く、PBR(株価純資産倍率)は0.3倍程度だ。他に新日本建設(1879)などにも投資している」

  • >>6751

    ――ファミリービジネスに投資する利点はなんですか。

    「上場するファミリービジネスは同業他社に比べ相対的に収益性が高いと考えている。理由は2つある。特定の一族が会社を経営している場合、短期的な目線よりも、長期的な視点でビジネスの繁栄を考えるので、より大きな利益を上げやすい」

    「2つ目の理由は安定した経営だ。一般的に株主が経営陣をコントロールできない場合、経営陣がリスクを取りすぎる傾向がある。一方、ファミリービジネスの場合は株主の多くが会社関係者で、リスクの低い安定した経営を行う傾向にある。例えば、投資銘柄の1つで、自動車用バックミラーの国内大手である村上開明堂(7292)は約140年続く会社で、社長や経営陣、多くの株主が村上一族だ。経営が安定しており収益力も高く、日本の伝統的なファミリービジネスの代表例だといえる」

    ――新たに投資した銘柄はありますか。

    「2023年の夏にポートフォリオの多様化のため、事業に特色がある企業への投資を始めた。21年ごろから中小型のグロース銘柄の株価は低迷しており、割安な水準にある。大株主がキーエンス(6861)で文章作成ソフト大手のジャストシステムズ(4686)は同業他社に比べ収益力の伸びが速い。保有するグロース銘柄で2番目に比率が高いDTS(9682)はオンライン教育の会社で優れた製品を提供し日本でも成功をおさめている」

    「昨年秋に新規株式公開(IPO)した運用会社のインテグラル(5842)にも投資している。同社は傘下に複数のプライベートエクイティ(PE=未公開株)を運用するアセットマネージャーだ。米国のPE市場が停滞期を迎えているのに対して、日本のPEは新しいサイクルの入り口にあり、これからの収益機会は大きい。今後10年で売り上げは今の数倍の規模に膨らむとみている」

  • >>6751

    ――日本の中小型投資の問題点はどこにありますか。

    「英文資料が圧倒的に不足している点だ。16年に日本株投資を始めた頃は、現在投資している企業のほとんどが英文資料を開示していなかった。会社との対話も難しくこれまで企業とのミーティングも数社ほどしかできていない」

    「英文資料が不足しているため主にキャッシュフロー計算書を重視して、投資判断している。日本企業の貸借対照表(バランスシート)には多くの資産が計上されており、現在の市場価値は記載されている価格よりもかなり高いとみられる資産も散見される。日本では他の国よりもバランスシートを分析するようにしている」

    ――日本市場に注目したきっかけや中小型市場の今後についての見方を教えてください。

    「12〜13年は海外投資家が日本市場に総じて悲観的な時期だった。逆張り投資家の私は、ほかの投資家が見落としている銘柄があるのではないかと目を付けて分析を始めた。日本株投資を本格的に開始したのは16年だ。今後1年で今は保有していない、防衛や人事サービスを扱う銘柄などを増やしたいと考えている」

    「東証の要請に応える形で、中小企業もコーポレートガバナンス(企業統治)の改善がみられる。また、現預金が積み上がっており配当などの株主還元に積極的な姿勢も目立ってきた。中小企業でも英文開示がさらにすすめば海外投資家も投資しやすくなる。これから5年あるいは10年かけて中小型銘柄にも物色の広がりがみられるようになるだろう」