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軍事費増、金利に上昇圧力 世界の緊張映し債務膨張

「キャピタリズム(資本主義)」という言葉はどのようにして生まれたのか。今この質問を投げかけたら、大半の投資家は市場や商業、アダム・スミス、あるいはカール・マルクスについて何かぼそぼそとつぶやくかもしれない。

だが、英国の歴史学者のマイケル・ソネンシャー氏によると、この言葉は、18世紀の欧州で戦時財政の関連語として初めて登場した。

ソネンシャー氏は「『資本主義』はフランス語の単語(capitalisme)として始まったが、当初は主に英国のいくつかの問題を指して使われた」と指摘する。「最も顕著な例が(18世紀の)戦時財政の仕組みだった。フランス語では、フランス王国政府の一部門にカネを貸す人が資本主義者(capitaliste)と呼ばれた」

  • >>6414

    23年の世界の軍事費、実質ベースで7%増加

    これは歴史の面白い雑学にすぎないとも言える。だが、この事実について今、真剣に考えるべきだ。冷戦後の数十年間にわたり、「平和の配当」が極めて大きかったため、現代の資本家(および有権者)は戦費がどのように調達されるかについて、熟考することはまれだった。

    しかし、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は4月22日、激化する地政学的対立を受け、昨年の世界の軍事費がインフレ調整後の実質ベースで約7%増加し、過去最高の約2兆4000億ドル(約380兆円)、率にして世界の国内総生産(GDP)合計の2.3%相当に達したと発表した。

    この支出増加の一部はロシアによるウクライナ侵略の影響を反映している。米国と欧州、ウクライナの支出が急増しただけではなく、ロシアの軍事費もGDP比6%超に増加した。

  • >>6414

    実際、昨年は初めて、SIPRIが追跡している5つの地政学的な地域すべてで支出が増えた。SIPRIの研究員のナン・ティアン氏は「各国は軍事力を優先している。地政学と安全保障の情勢がますます不安定になる世界において行動が反動を招き、その連鎖が続く恐れがある」と語った。

    英国のスナク首相は23日、2030年までに国防費をGDP比2.5%に引き上げる考えを表明し、英国の防衛産業を「戦いに備える状態」にした。

    また、北大西洋条約機構(NATO)は最近、1000億ドルの支出計画を発表した。さらに、米議会で承認されたばかりのウクライナ、台湾、イスラエル向けの950億ドル相当の軍事支援がある。例の行動・反動の連鎖はすでに進行している。

    幸い、このペースの軍事費増加はまだ20世紀の様々な時点より緩やかで、しかも支出の割合は低い状態から始まっている。

    今から60年前、平和の配当が始まる前には、米国と英国はそれぞれGDPの8%、6%相当を軍に費やしていた。だが、現代の大半の投資家が平和だった時代の「資本主義」でキャリアを築いてきたことを考えると、投資家が注意しておくべきポイントが少なくとも3つある。

  • >>6414

    透明性が不十分な軍事費

    まず、歴史を振り返ると、戦争の真のコストやどのように戦費を賄うつもりかを政府が有権者に伝えることがほぼないことが分かる。例外は存在する。例えば1940年には、英経済学者のジョン・メイナード・ケインズが「How to Pay for the War(戦費調達論)」と題した論旨明快な冊子を出版した。

    デンマークでは2023年、国防費に充てる追加の歳入を稼ぎ出すために国の祝日を1日なくした。米国では、政治コンサルタントが議会の歳出法案を精査することになっている。

    だが、透明性が確保されるのはまれだ。ソネンシャー氏が指摘したように、18世紀の欧州の国王たちが軍事遠征の費用を賄うために債券を発行した大きな理由は、議会の監視の目を避けるためだった。

    また、ウクライナ支援法案をめぐる米議会での最近の騒動は表面的には民主的な監視のように見えるが、米ブラウン大学のワトソン国際公共問題研究所の批判的な報告書は、「01年の米同時テロ後の(軍事費に関する)予算情報に対する公共のアクセスは不完全で不十分」だと指摘している。

  • >>6414

    2つ目の教訓は、軍事費を増税かインフレ、または略奪で帳消しにできるとしても、通常は債務が急増するということだ。ワトソン研究所は、米国では01年以降に8兆ドルの軍事支出があり、「ほぼ全額が借り入れで賄われた」と試算している。

    大規模な増税か、奇跡的な経済成長やデフォルト(債務不履行)によって債務が早期に返済されなければ、「利払い費が50年代までに総額6兆5000億ドルを超える可能性がある」としている。

    欧州の状況が米国と異なるとは考えにくい。確かにスナク氏は先日、同氏の提案する軍事費増額は省庁の歳出削減によって「完全に財源が確保される」と主張した。だが、その見通しは甘いようにみえる。

    3つ目の教訓は、戦争の衝撃は政府の大規模な経済介入を促すだけでなく、金融と技術の革新にも拍車をかけるということだ。例えば1694年には、英国政府が戦費を賄うために中央銀行制度を導入した。

    1940年代には、米国の戦時国債の発行が個人向けの米国債市場の立ち上げに貢献した。第2次世界大戦は英米両国の政府が金融抑圧(人為的な金利の抑え込みによる公的債務の圧縮)政策を策定することにもつながった。

    現在は、ウクライナ再建のために差し押さえられたロシア資産の利益を証券化しようとする実験が取り沙汰されている。

  • >>6414

    増え続ける国債発行

    一方、米国は軍事技術の革新の大部分をベンチャーキャピタリストに外部委託している。また、筆者が聞いた話では、資産運用会社は敵対的な国や地域を投資対象から迅速に外せるようにデジタルでカスタマイズする技術を試験運用している。

    そして、各国政府は法に反する資産の流れと資産そのものを追跡する新たな方法を打ち出している。

    こうした革新は今後も続くのか。恐らく続くだろう。だが、すでにはっきりしているのは、もし戦争の脅威が高まれば、大増税がない限り国債発行が増え続けるということだ。

    こうした債務増加は攻撃を恐れている国々のための地政学的な「保険」として擁護できるかもしれない。だが、これが金利に上昇圧力をかけるのはほぼ確実だ。現代の「資本主義者」、つまり債券保有者は注意すべきだ。