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セブン、コンビニ「10万店」の死角 成長鈍り変革不可避

セブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストア事業に経営資源を集中させる。23日、2回目となる投資家向け説明会「IRデー」を開き、井阪隆一社長がコンビニを世界に広げる方針を強調した。これまで世界トップ級の小売業への成長の目安として2030年の「10万店」を掲げているが、堅調だったコンビニには足元で鈍化の兆しもある。既存の延長線上ではない変革が不可避だ。

午前9時に始まったIRデー冒頭で井阪社長は「積極的なM&A(合併・買収)で成長を加速させてきた。30年に掲げる食を中心とした世界トップクラスのリテールグループへの歩みを加速する」と投資家に語りかけた。IRデーは国内外のコンビニ事業のトップが登壇し、時間は同事業の説明にほぼ割かれた。

99.8%――。セブン―イレブン・ジャパン(SEJ)が10日に公表した3月の既存店売上高がコンビニ関係者の間で話題となった。これまで好調を維持していたセブンイレブンが22年2月以来25カ月ぶりに前年実績を下回ったためだ。

SEJの永松文彦社長は「ここ数年、新型コロナウイルス禍後の外出増で伸び続けていた中、天候などの影響が響いた。一過性の動きと捉えている」と4月中旬の取材で話した。だが2月までも前年比トントンと一時の2桁増の勢いはなく、不透明感は増している。

成長に向けて頼みの綱とも言える北米も、ガソリン価格の下落傾向によるマイナス影響が出始めた。電気自動車(EV)普及などもあり、ガソリンの販売量も減少。スタンド併設型は逆風を受ける。

サンドイッチなどで新鮮さを売りにする「フレッシュフード」やプライベートブランド(PB)商品を増やして売上高の底上げを図るも、足元の既存店売上高は前年割れが続く。24年1〜12月は前年度比0.5%増にとどまる見通しで、コンビニ集中を強調するだけに投資家には物足りない数字に映る。セブン&アイの株価は足元2000円を挟んだ小動きだ。市場の反応は薄い。

  • >>6034

    セブン&アイは現在、世界にコンビニ約8万5千店を持つ。ただ、展開は米セブン―イレブン(SEI)が運営する米国など3カ国と16の国・地域(日本を除く)。国連加盟の国・地域の1割程度にとどまるのが現状だ。セブン&アイは21年、日米以外の海外事業を統括するセブンイレブン・インターナショナルLLC(SEILLC)を設立し「第三の柱」と位置付けて出店を急ぎ始めた。

    阿部真治・SEILLC会長は3〜4月にかけてオーストラリアのシドニーなどにあるセブンイレブンを駆けずり回っていた。セブン&アイが23年11月、約1700億円を投じ豪州でセブンを運営する企業を買収すると発表。4月1日付で買収が完了し、阿部氏は節目の日を現地で迎えた。

    買収したセブンイレブンの運営企業については創業者一族が高齢となり「売却に向けた入札を実施する」との話が2年ほど前に舞い込んだ。豪州は人口増が続き、国民の平均年齢も日本より10歳以上低い。1店舗当たりの人口は約3万4000人と日本(約6000人)と比べて成長余地が大きいとみた。

  • >>6034

    豪州店、「近くて便利」とはまだ言えず

    もっとも、阿部氏は店の課題は多いとも感じている。「品ぞろえは1500品前後と日本の半分程度。近くて便利という店にはほど遠い」と話す。強みのサンドイッチなどを増やし、日本セブンお家芸の商品管理手法「単品管理」などを導入する予定だ。セブン&アイの井阪社長は「30年ごろには店舗数を(現状の3割増の)1000店以上にする」と鼻息は荒い。

    阿部氏は「海外市場は(競合が少ない)ブルーオーシャン」と強調する。豪州に加えて東南アジアも狙い目だ。ベトナムやフィリピンのほか、23年にはラオスにも出た。さらにミャンマーなどの出店もうかがうが、現地の小売りも力を付けてきており楽観はできない。

    セブン&アイは10日、祖業のイトーヨーカ堂などのスーパー事業について将来的に独立させる考えを示した。上場やヨーカ堂などの一部株式の売却検討に入ったと発表した。

    米投資ファンドでアクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタルは23年までは井阪社長らセブン&アイ経営陣を責め立てて、井阪社長の実質退任を求める株主提案まで提出した。

    スーパー、コンビニ集中戦略の足かせにも

    バリューアクトのロブ・ヘイル共同最高経営責任者(CEO)は「セブンが進行している変革と成長策に期待している」と今年は一転して会社側の戦略に賛意を示したものの、スーパーの独立は「再建のあかつきには」とのセブン&アイ側のただし書きが付く。3時間近くに及んだIRデーで、スーパー事業についての説明は1分にとどまった。越えるべきハードルは多く、コンビニ集中戦略の足を引っ張る可能性が依然として高い。

    セブン&アイは国内コンビニで需要が高まる冷凍食品や、割安感のあるPBの品ぞろえ拡充に乗り出した。最短20分で届ける宅配サービスも顧客拡大の切り札だ。生鮮食品や日用品、総菜を増やしスーパーの長所を取り入れたコンビニ「SIPストア」の展開も千葉県松戸市で始めた。

    放置すれば成長の壁となりかねない事態の打破に向け、国内外で未来のコンビニづくりを模索する。「コンビニのセブン&アイ」としての存在感を高めるには、実績を積み重ねるしかない。