ここから本文です
投稿一覧に戻る

私と経済の掲示板

>>11910

英首相、窮余の「最終案」 協議難航も

英政府が10月末の欧州連合(EU)離脱に関する「最終提案」を示した。英領北アイルランドを別扱いにする新たな策でEU側に合意を迫る。17~18日のEU首脳会議に向けて協議が本格化するが、最大の懸案であるアイルランド国境問題では課題が残る。EUは慎重で、「合意なき離脱」をちらつかせるジョンソン英首相の窮余の強硬策が混乱を招く恐れもある。

EU離脱協議では、北アイルランドと地続きのEU加盟国アイルランドの「国境」をどう扱うかが最大の焦点だ。英・EUは過去の紛争の再発を防ぐために離脱後も国境の自由な往来ができるようにする方針で一致する。問題はその具体策が見いだせないことにある。

メイ前政権の離脱案では国境問題で折り合えなかった場合、英が関税同盟に残り続ける「安全策(バックストップ)」が盛り込まれていた。今回の新提案ではこれを修正し、両者が円滑な離脱で合意した後に設けられる「移行期間」が終わったら、英国全体がEUとの関税同盟から離脱すると明記した。

移行期間は原則20年末まで。EUとの交渉次第では最長22年末まで延びるが、どんなに遅くともこのときに関税同盟を抜けることになる。英国がEU域外の国と自由貿易協定(FTA)を結べる道筋をつけた。

一方で農産品や工業製品などの基準やルールに関しては、北アイルランドに限ってEUルールを受け入れる方針を示した。北アイルランドとアイルランドの国境付近の検査を省略できるようにして、円滑なモノの行き来を維持する狙いがある。

EUルールに従い続けるかどうかは、北アイルランド自身が4年ごとに判断する。ジョンソン氏は3日の英議会下院で「(EUとの)亀裂を埋めるための誠実な試みだ」と、EUの歩み寄りを促す考えを強調した。

だがEU側の反応は冷淡だ。アイルランドのバラッカー首相は「バックストップの目標を満たしていない」と指摘し、再交渉のベースとするのは難しいとの認識を示した。ユンケル欧州委員長も「進展があった」としつつも、「いくつかの問題点がある」と精査する方針だ。