ここから本文です
投稿一覧に戻る

私と経済の掲示板

>>12649

供給への不安が強まるなか、需要はステンレス鋼以外の分野でも伸びる見通しだ。ニッケルはコバルトやリチウムと同様、EVのリチウムイオン電池の正極材に使われる。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、世界のニッケル需要全体に占める電池向けの割合は18年の5%(約12万トン)から、40年には30%(約120万トン)に拡大するとされる。

インドネシアでは電池の正極材に使う硫酸ニッケルの製造に必要な中間製品の増産計画が乏しい。同じEV向けでもコバルトやリチウムといったレアメタル(希少金属)の主産地では増産が進むが、インドネシアがニッケル鉱石の輸出を禁止すれば電池材料の供給リスクは高まる。金属市場では「EVを巡る供給懸念の矛先がニッケルへと移っている」(大手商社)。

ニッケル相場が高値で推移すれば新たな生産計画が立ち上がりそうだが、通常は本格的な生産開始に5~10年近くを要する。20年代に予想されるEV需要の拡大に間に合うかは疑わしい。

足元は世界景気の不安から他の非鉄や原油が売られており、行き場を失ったマネーが市場規模の比較的小さいニッケルに流入している面も強い。急激な相場高騰がいったん調整局面を迎える可能性はある。それでも中長期的にみれば新規需要の期待と資源ナショナリズムへの不安がニッケルの値位置を押し上げたとみて間違いなさそうだ。