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「ファスト映画」抑止へ包囲網 投稿者提訴も根絶困難

無断で映画を10分ほどに編集し公開する「ファスト映画」を巡り、日活や東宝など13社が19日、投稿者3人に5億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で少なくとも1千億円近い被害が生じており、刑事・民事の両面で包囲網の形成が進む。だが根絶は難しく、海賊版被害の全体からみれば氷山の一角。海賊版の収益源を断てるかも課題となる。

  • >>2861

    原告企業などが加盟する業界団体、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の後藤健郎代表理事は19日、東京地裁に提訴後の記者会見で「やり得は許さないという毅然とした態度を示す。同種の犯罪の抑止が目的だ」と狙いを語った。

    今回の請求は54作品が対象。平均的な配信サービスのライセンス料を1作品当たり400円ほどとし、配信業者への手数料分などを引いた被害額を200円と算定した。総再生回数の約1千万回をかけて20億円と見積もり、支払い能力を考慮して5億円を請求した。

    コンテンツを短時間に無料で見られる違法なファスト映画は、2020年春ごろから投稿が急増した。コロナ禍の巣ごもりや短時間で作品を視聴したいというニーズを背景に被害が急拡大した。

  • >>2861

    CODAによると、21年6月時点で動画共有サイト「ユーチューブ」などに投稿チャンネルが55確認され、投稿されたファスト映画は計2100本に上った。

    中には1本で700万回近く再生された動画もあり、累計再生回数は4億8千万回。全体の被害額は当時で956億円と推計され、被害は現在も続いている。

    日本映画製作者連盟によると、21年の年間興行収入は1618億円だった。単純比較はしづらいが、ファスト映画の被害額は年間興収の6割にも当たり、正規の視聴機会を奪っている可能性がある。

    CODAや企業側は対策を急いできた。ユーチューブを運営する米グーグルなどから投稿者に関する情報を得て、警察に提供。特に悪質性が高いとみられた4人の逮捕につなげた。そのうち今回訴えられた3人の有罪判決が確定。被害の中身が判決で認定されたことが提訴の契機となった。

  • >>2861

    一方で、摘発や訴訟など刑事・民事の責任追及にはハードルも高い。

    著作権法は権利者の許諾がない著作物やそのコピーの利用を原則禁じ、10年以下の懲役か1千万円以下の罰金を科す。海賊版の投稿者を摘発するには「誰が著作物を許可なく編集し、誰が投稿したか」を特定する必要がある。匿名性の高い通信環境を使われれば身元の特定は難しく、投稿者本人にたどり着くとは限らない。

    国境の壁もある。投稿には海外のサイトやサービスが使われることが少なくない。投稿者の情報を得るには海外での司法手続きが必要だが、開示請求にスムーズに応じてもらえないケースもある。

    民事上の賠償請求に当たっては、作品ごとの被害額算定のため閲覧数を調べる必要があるが、詳細な解析は難しいとされる。

    現時点では、企業側が投稿者に発する警告などが功を奏し、ファスト映画を投稿するチャンネル数は1ケタ台にまで減っている。だが、いつまた投稿が再開されるか分からない。

    捜査や提訴に協力してきた中島博之弁護士は「抑止は進んだが根絶には至っていない。引き続き対策に取り組む必要がある」と話している。

  • >>2861

    海賊版被害、コロナ禍で拡大

    海賊版はインターネットの普及とともに被害が広がった。2017年秋ごろから猛威を振るった「漫画村」(18年閉鎖)などの漫画の違法投稿サイトが大半で、20年以降被害が目立った「ファスト映画」のほか、動画作品を丸ごと見られるサイトや海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」などがある。

    警察庁によると、21年に著作権侵害で摘発された事件は148件あり、20年比で3割増えた。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で被害が拡大し、21年の漫画作品のただ読みによる被害額は約1兆円とされる。

  • >>2861

    対策はこれまで後手に回ってきた。著作権法はたびたび改正され、リーチサイトの運営や著作物を海賊版と知りながらのダウンロード行為を違法化するなどの規制強化が進んだ。

    民間でも海賊版サイトにアクセスすると注意喚起する仕組みや、ウェブサイト検索結果に表示されにくくするなどの取り組みがあるが、被害は一向になくならない。

    抑止のカギになりそうなのが広告だ。海賊版は本来有料で提供されるコンテンツを無料で公開し、閲覧数に応じた広告収益を運営の柱としている。

  • >>2861

    日本インタラクティブ広告協会(JIAA)などの広告業界団体は、18年に海賊版サイトへの配信を自主規制する取り組みを始めた。著作権団体から情報共有を受けた海賊版サイトに対し、広告を出稿しないよう加盟する広告業者に呼びかけている。

    担当者は「非加盟の業者や海外から海賊版に出稿されるグレーな広告は規制しきれず、収益が断ち切れない」と語る。海賊版の収益源を断つためには、民間企業や団体同士の連携といった国際的な「包囲網」も欠かせない。