ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

北海道ガス(株)【9534】の掲示板 2015/04/29〜2019/10/24


こうしたリスクの軽減にはかねて取り組んできた。例えば東京ガスは英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと世界で初めて石炭価格に連動するLNGの購入契約を締結したと4月に発表。原油相場の変動に影響されにくくする狙いだ。生産地域が分散している石炭の相場は原油に比べて価格の振れが少なく、予想しやすい。
東ガスは米国のシェールガスからつくるLNGの輸入も18年に始めたが、米国産も原油価格に左右されにくい米国ガス価格の指標を使っている。原油に連動しないLNGを購入するため、LNG船1隻ごとに相対で売買する「スポット取引」も増やす。東ガスの調達に占めるスポット比率は1、2割だったとみられるが、中長期的に3割まで高めようとしている。
JERAも仏電力EDFとLNGのトレーディング(売買取引)事業を統合した。4月から欧州やアジアにスポットで転売する体制を整えた。LNGの指標となるアジアのスポット(随時契約)価格は10月上旬時点で100万BTU(BTUは英熱量単位)あたり5.5ドル前後。夏場よりはやや高いが、供給過剰を背景に安値圏にある。
国際ガス連盟によるとアジアの企業や国などが2018年に調達したLNGの8割は原油価格に連動していた。背景には1970年代の石油危機や環境問題がある。
日本は官民を挙げて発電燃料を石油から天然ガスに切り替えた。ガスはスポット取引がなく、原油や石炭のような国際価格指標がなかったため、原油に連動する長期契約が業界の慣行となってきた。
約20年の長期契約の多くはまだ有効で、販売する石油メジャーは日本の変更要請になかなか応えようとしない。今後、LNGのスポット取引が増えればLNGの国際価格指標が生まれ、長期契約の指標になるかもしれない。エネルギー各社にはこんな思惑もある。
世界的な脱炭素の流れから石炭よりもLNG火力発電が重視され、今後も一定の需要があるとされる。効率的な調達は日本のエネルギー安全保障も左右する。原油連動ではないLNGの調達はまだ一部に限られており、今後どれだけ増やせるかが重要になる。