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(株)商船三井【9104】の掲示板 2022/01/26〜2022/01/28

 ロシアに天然ガスを依存する欧州が米国や中東からの代替調達に動いている。日本経済新聞社が船舶の位置を捕捉する衛星データを分析したところ、欧州海域では液化天然ガス(LNG)の運搬船が7割増えた。天然ガスの多くはロシアから陸路で輸入しており、ウクライナ問題で止まることを懸念しているためだ。

 衛星データを分析したところ、欧州周辺海域(北海・バルト海・地中海・仏大西洋岸)を航行するLNG運搬船は1月に入って平均40隻と、2021年1月の24隻から7割増加した。1月26日時点では51隻だ。米国などから運んできたLNGを降ろすために待機する船が増えている。オランダのロッテルダム港・アムステルダム港周辺で滞留する日数は21年11月から急激に延びている。
 ウクライナ情勢の緊迫とともに、アジア向けのLNG船が欧州に行き先を変更した例もある。20年11月上旬にアジア海域で活動していたLNG運搬船は110隻あまりだった。同じ船の活動状況を時系列で分析したところ、22年1月中旬には、このうち20隻超が北米や中東と欧州を結ぶ航路で活動していた。

 欧州が懸命にLNGを調達するのは、ロシアからの供給が途絶すれば、発電量の2割を占める天然ガス火力が十分に稼働できなくなる恐れがあるためだ 
ウクライナ問題でパイプライン調達を海路に切り替え、分散を急ぐ。
資源に関係する制裁はロシア経済への打撃になるが、資源を依存する欧州も死活問題だ。まずは、厳冬期のガス在庫の減少を食い止めることが対ロシア戦略で重要になる。

 「受け入れたLNGを気化して貯蔵施設に送り込む能力がすでに限界に近い」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の白川裕調査役)との指摘もある。
 ガスの産出国の能力にも限界がある。最大の天然ガス産出国である米国は昨年のLNG輸出が大幅に伸び、過去最高を記録したとみられる。
バイデン米政権は、主力生産国のカタールなどに欧州向けのLNG輸出を増やせないか働きかけている。 日本はカタールなどからLNGを調達している。ある商社は「今まで目立たなかった欧州勢がアジアや中東などのスポット(随時契約)市場で調達先を増やしている」と打ち明ける。
 (蛭田和也、朝田賢治)