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2018/10/30 11:15 ◎〔JCR格付展望〕高炉=需要堅調。市況も回復し業績安定化。貿易摩擦の行方を注視
【業界の特徴】
 鉄鋼業は素材産業であり、需給や市況の変動による影響を避けられない。また、大型の製造設備が必要であるため固定費負担が重い。このため、需要低迷時に業績が悪化しやすい。
 自動車や造船などの製造業向けでは一定期間、固定的な価格で販売するひも付き取引が一般的である。一方、建設向けを中心とした店売りや輸出は鋼材市況の影響を受けやすい。他方、供給者の寡占化が進んで原料価格のボラティリティが高くなっており、在庫評価損益によって業績が大きく変動する傾向がある。
 日本の高炉各社は世界トップクラスの技術力を維持しており、技術優位性が国際競争力の源泉となっている。また、業界再編が進み、新日鉄住金、JFEが2大グループとなっている。2019年1月には新日鉄住金が日新製鋼を完全子会社化する予定である。神戸製鋼所は独自のビジネスモデルを確立している。
【業界動向】
 国内の鋼材需要は堅調に推移している。今後も建設向けや自動車向けなどを中心に安定的な需要が想定される。また、在庫は増加しつつあるが、需要の増加に対応したものと考えられ、在庫率に大きな変化はみられない。
 アジアの鋼材需要も堅調である。中国の粗鋼生産量が再び増加基調となっているが、同国の内需の増加により一定程度吸収されているもようである。ただし将来的に内需が弱まった場合、鋼材輸出量が増加し、市況の低下につながる可能性がある。
 ひも付き取引では、一定のメタルスプレッド(販売価格と主原料価格の差)を確保できているもようである。店売りについても、鋼材需給のタイト化を背景に値上げが進んでいる。輸出においても、採算性が向上しているとみられる。