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(株)オハラ【5218】の掲示板 2018/03/27〜2018/05/22

  おはようございます🤗

【特別連載(寄稿) 第2回】「全固体電池の実際」

前回同様に疑問に思うことから、議論を発展させていただきます。

なぜ、全固体電池において、エネルギーデバイスの専門家もしくは知識がある自動車メーカーや電池メーカーが、自分たちよりも知識がないはずの人たちが書いた記事を信用するのでしょうか?

私の偏見では、世の中が全固体電池というものを正確に理解していなため、上記のような状態が続いていると感じています。
世の中の記事に対して意見を書くようなことをしていては収拾がつかないので、全固体とはどういうものなのかを私の理解でお伝えする工夫をしてみたいと思います。

まず、前回のキーワードの「イノベーション」に加え、「ブレイクスルー」というワードで展開すると一端が見えてくるかと思います。
イノベーションを起こすには多くの課題があります。その課題を解決することを「ブレイクスルー」と定義します。
「全固体電池が市場に出ること」をイノベーションと考えます。イノベーションの定義をこのようにしたのには理由があります。後ほど触れさせていただきます。

ここまで世の中で全固体が注目されているのは、何らかのブレイクスルーが起きたからだと思います。ただ、なかなか市場に出ていないのはイノベーションにまで至っていないからだと考えています。つまり、イノベーションに至るまでに必要な課題すべてでブレイクスルーが達成できていないからだと推測しています。

では、今回の注目の背景にあるブレイクスルーは何だったのでしょうか?
個人的には東工大とトヨタの共同研究で生まれた成果はブレイクスルーだと個人的に感じていないです。もちろん研究成果としては素晴らしく、それを否定はしているわけではありません。あくまで全固体電池のイノベーションに寄与しているかの視点で判断しています。そこでの研究成果は、電解液並みのLiイオン伝導度を有する硫化物材料を発見した、といことかと思います。それ以前の材料でLiイオン伝導のトップデータを有していた材料は、大阪府立大学で創出され電解液並みではないもののデバイスとして機能するには十分な伝導度を有していた硫化物材料です。その材料はまだ現役で研究開発の対象にもなっています。全固体電池の電解質のLiイオン伝導度の課題のブレイクスルーは、大阪府立大の電解質との認識を私は持っており、コストや生産技術を踏まえたら、市場に出るもののベースはこちらではないかとも推測しています。
イオン伝導度の高い材料が見つかったのは学術的には素晴らしいものですが、「全固体電池が市場に出ること」を目的にした場合、ブレイクスルーと言うよりは性能向上に寄与していくものだと思います。

では、何がこのブームのきっかけになったブレイクスルーだったのでしょうか。
それは、硫化物の固体電解質が正極活物質と反応してしまう課題を解決した正極材のコート技術だと思います。NIMSで開発された技術です。硫化物材料は高いイオン伝導度を有しますが他の材料との反応