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(株)寺岡製作所【4987】の掲示板 2019/02/01〜2023/11/15


さらに、原油を精製してつくる石油製品の需要変化も見逃せない。軽質原油を支えてきたガソリンやナフサの需要鈍化だ。
中国の新車販売も昨年、28年ぶりに減少した
米国のガソリン需要はピーク時に日量1000万バレルに迫り、世界の石油需要の1割ほどを占める。それでも需要の伸びは原油価格が史上最高値を記録した08年を境に止まった。大型車を好む米国の消費者の間でも、支出を抑えるために燃費効率の高い自動車の需要が増えてきた。
トランプ政権が燃費規制の緩和を打ち出しても、環境に配慮する大きな流れは変えられない。世界的な需要拡大をけん引してきた中国も、昨年の新車販売が28年ぶりに減少に転じた。
ガソリンよりも成分が軽く、石油化学製品の原料になるナフサの需要低迷はさらに顕著だ。米国を中心にシェールガスから基礎原料のエチレンをつくる比率が拡大しているからだ。
モルガン・スタンレーMUFG証券の渡部貴人アナリストによれば、すでに世界全体で天然ガスからつくるエチレンの比率は5割弱に達し、ナフサからつくる比率(4割弱、残りは液化石油ガスなどから)を逆転している。
同時に石油精製能力は山東省を中心にした中国やインドで大幅に増強され、ガソリンなどの輸出を急増させた。アジアの石油製品取引の中心であるシンガポール市場で直近のスポット価格は7日時点でナフサが1バレル58ドル台、ガソリンが71ドル台。これでは石油会社は精製でほとんど利益が出ない。
対照的に、中間留分と呼ばれるガスオイル(軽油)などの需要は堅調だ。「国際海事機関(IMO)が来年1月に導入する燃料規制に対応するための需要も拡大している」(住友商事グローバルリサーチの本間隆行経済部長)。精製して得られる利益もガスオイルなどの方が有利で、ドバイ原油など重めの油種の地位を押し上げる要因となっている。
硫黄分の少なさは依然として重要な付加価値であっても、軽質ほど市場価値が高いという原油市場の常識は足元で崩れている。