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(株)ユーグレナ【2931】の掲示板 2023/05/26〜2023/06/06

>>3255

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政府は「輸出が12万トンあるから、まずその分を国内で」と考える。そもそもこの輸出量がSAF需要で膨らんでいることを留意すべきだ。飼料向けの供給や価格の安定を脅かさないか。農業関係者の危惧が現実にならないための対策が要る。

買い付け価格が跳ね上がったアジア地域では、新しい食用油に廃油を少しまぜ、廃食用油として売る動きも出たという。コスモ石油などはSAF工場の建設を相次いで公表。24年以降の稼働を計画する。各社の生産計画に合わせて原料の供給体制を整備しなければ国内でも廃食用油の奪い合いや混乱が起きかねない。

森林破壊を防ぐ体制も重要に
欧州連合(EU)はSAFの利用を義務付ける一方で、30年までにパーム油由来の燃料使用を段階的に廃止することを求めている。パーム油の原料となるアブラヤシの栽培が過度の森林破壊をもたらす懸念が理由だ。

パーム油生産などのために伐採され、燃やされたマレーシア・ボルネオ島の熱帯林。企業活動が環境破壊の主因の一つになっている=世界自然保護基金インドネシア提供
政府はエタノールの原料として調達コストが安く、CO2の削減効果が大きいブラジル産サトウキビなどを見込む。世界中から調達が増えることで森林伐採が進まないか。各国と協力して監視する必要がある。SAFの利用推進が熱帯雨林などの破壊や食料分野との農地の奪い合いを助長する事態は防がなければならない。

食料分野への影響を抑えながら、SAFに必要な廃食用油を増やす方策は国内にもある。ひとつは家庭で使った食用油のリサイクルだ。BSE(牛海綿状脳症)に関する飼料規制は不純物が混ざりやすい家庭からの廃食用油を認めていない。家庭からの回収を増やせば、その分は燃料に振り向けられる。

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    続き

    家庭からのリサイクルの仕組み確立が課題
    札幌市は家庭からの無料回収を2006年に開始。最初は9カ所だった回収拠点はスーパーや外食店など400カ所に増えた。「回収にあたる企業には拠点を増やしていきたいとの声が多かった」(札幌市環境局)。家庭の廃食用油はこれまでバイオディーゼル燃料(BDF)に再生し、ボイラー燃料などに使うことが主流だった。SAF向けの用途が台頭し、価格も上がってきたことで市場は変化している。

    札幌市は回収場所を400カ所まで増やした(消費者はペットボトルに入れてボックス内に置く)
    東京都も航空燃料への活用を視野に家庭の使用済み食用油の回収を進める計画だ。イトーヨーカ堂が提案した専用容器(リターナブルボトル)による回収事業などを採用し、企業と協力して調達網を整備する。

    使った食用油をペットボトルに移し、回収拠点に持って行くのは手間がかかる。収集方法を工夫し、古紙や缶などと同じようなリサイクルの習慣を消費者に広めたい。食品工場や外食店などの排水から食用油を回収する手法も有効だ。政府はSAFの利用を推進するのであれば、こうした対策にも予算を振り向けて支援してほしい。