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WTI原油価格連動型上場投信【1671】の掲示板 2020/04/12〜2020/04/14

コロナ禍が世界の大原油地帯を襲う

 サウジアラビアの新型コロナウイルス感染拡大にさらに悪影響を与えるのは隣国イエメンである。

 サウジアラビアが主導するアラブ連合軍が内戦に介入してから5年が経過したが、イエメンでは数万人が死亡し、コレラ流行など深刻な人道危機が起きている。イエメンでは4月10日、初めて新型コロナウイルス感染者が確認されたが、国連は3月下旬、「紛争をやめ、生命を守るための本当の戦いに注力すべきだ」と危機感を露わにしている。
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるための手洗いは、世界各国で今や日常的な光景となっているが、内戦で荒廃し清潔な水が非常に乏しいイエメンでは数百万の人々にとっては手が届かないぜいたくな行為となっている(3月26日付AFP)。サウジアラビアも国民の衛生意識はけっして高いとは言えない。2012年にMERS(中東呼吸器症候群)が発生し、多くの犠牲者が出たが、当時のWHOは同国の公衆衛生レベルの低さを問題視していた。

 感染爆発が起きているイエメンから次々と新型コロナウイルス患者がサウジアラビアに押し寄せ、感染者が増えていることは容易に想像できる。この事態に慌てたサウジアラビア政府は4月9日、イエメンの反政府武装組織フーシに対し停戦を呼びかけた。しかし、時すでに遅しである。フーシ側も停戦に応じないとしている。

サウジアラビア東部の大油田地帯はシーア派住民がマジョリティを占めていることからイランとの往来が多く、一部地域は3月上旬から封鎖されたが、原油の生産活動には支障は生じていないとされている。しかし、イラクに加えてサウジアラビアで新型コロナウイルスが蔓延し、隣接するアラブ首長国連邦(UAE)やカタール、クウェートなどアラビア半島での原油生産にも悪影響が及べば、世界の大原油地帯(日量2000万バレル以上)が新型コロナウイルスのせいで封鎖されるかもしれないのである。

リーマンショック後の2011年、リビアの政変による供給の大幅減を材料に大量のマネーが原油市場に殺到し、原油価格は1バレル=100ドル超えとなった。新型コロナウイルスによる不況を警戒して世界の中央銀行が再びマネーを大量に放出していることから、中東地域での未曾有の地政学リスクが火種となって、原油価格が再び高騰するリスクが生じているのではないだろうか。