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話題! 仮想通貨 ドージコインの掲示板

>>118

ビットコインにはないメリット
しかしある意味では、最初の頃から、ドージコインは単に楽しい以上のものだった。隠れたメリットを伴っていたのだ。ピンギーノ氏は、ロサンジェルスでの集まりで人々に暗号資産を紹介し、その仕組みを教えるのを楽しんでいた。ドージはこれにぴったりだった。

「ビットコインは、人を怖気付かせてしまっていた」と、ピンギーノ氏。そこで彼女はドージコインに切り替えたが、「あまり技術的なことに詳しくない人や、多くの女性にとっては、ずっとウケが良かった。ドージコインを使った時の方が、人はずっとオープンな姿勢で学んでくれた」

2014年、ドージコインとレディットに支えられたNASCARのレーシングカー
その理由の1つは、超低価格にある。暗号資産の仕組みについて教える最も効果的な方法は、実際にその動きを見せることだと、ピンギーノ氏は語る。しかし、ビットコインの送金や受け取りは、少し厄介だ。

「心理的なものだわ。ビットコインだと、あまり詳しくない人は、高価で価値のあるものを送っていると感じてしまう」1BTCが3万ドルでは、「『失敗は許されない』と感じてしまうけれど、ドージコインなら、1セントを送って、1セントを受け取ってるだけ」とピンギーノ氏は説明する。彼女はワークショップを開催して、全員に10ドージコインを与え、皆で送り合う練習をした。

ドージが「人々の通貨」という考えは、深く根づいている。ドージコインにインスピレーションを受けた一連のレディット投稿を書く「GoodShibe」は、立ち上げ初日にドージコインを買った。

「ロゴを見て、即座にこれこそすべてだと感じた」とGoodShibeは話す。多くの人に開かれていると感じたのだ。ビットコイン界隈の人たち(特に自由主義者たち)のことは、少し威圧的に感じていた一方、ドージのふざけた感覚には歓迎される印象を受けた。

おまけは、マイニングだ。2013年12月にドージコインがスタートした時、GoodShibeは彼自身がビットコインのマイニングをできないことを理解していた。彼の貧弱なノートパソコンではお手上げだったのだ。

一方、彼の「ひどく粗末で小さなビデオカード」は、1日に1万ドージコインを量産できた。「誰でも大儲けの可能性があるということだった。それが、コミュニティにおける初期の大いなる興奮につながったのだと思う。文字通り誰でもマイニングできたのだから」

そしてそれから何年も経ち、ピンギーノ氏が配った「ペーパーウォレット」は突然、求められるようになった。「ここ3カ月で、知り合いみんなが突然ぞろぞろと現れて、ウォレットを見つけようとしている」とピンギーノ氏は言う。

9万8000ドージの入ったウォレットを見つけた人もいる。現在では3万ドル以上の価値を持つ。興味をそそられたピンギーノ氏は最近、これまでにどれくらいのドージコインを配ったのか不思議に思い、古い取引をすべて集計した。

約200万ドージコインという計算になった。

その気前の良さのコストを、彼女はしっかりと認識している。それでも彼女はためらわずに次のように言った。「それだけの価値はあったわ。すごく楽しかったから」

詐欺やハッカーに悩まされて
悲しいかな、ドージの世界は楽しみとゲームだけではなかった。詐欺師やハッカー、ペテン師たちは暗号資産の世界を長らく悩ませてきたが、ドージコイン保有者たちは彼らにとって格好のターゲットだった。詐欺師たちはドージコミュニティを見て、「若くてふざけた奴らが、金を振り回しているぞ」と感じたはずだと、ドージ・ドーは語る。

そして、詐欺師たちは飛びかかってきた。「一連の大規模な価格の吊り上げと売り叩き『パンプ・アンド・ダンプ』」や、詐欺、51%攻撃の脅しなどで味わった苦い経験をドージコインのコミュニティは今でも覚えている。

「ひと儲けしようとする便乗主義者たちに乗っ取られてしまうのを目の当たりにした」と、ドージのもう1人の生みの親、ジャクソン・パーマー(Jackson Palmer)氏は言う。彼は今では、ドージコインから完全に距離を置いている。

いまだに現役のドージコインサポーターたちも、痛ましい思い出を抱えている。「最も最悪のスキャンダルの1つでは、チップボットが機能を停止して、抱えているドージコインをすべて持っていってしまった」とGoodShibeは振り返る。

「チップは、このコミュニティにおける大きな活力の源だった。チップの習慣が絶え始めると、他のプロジェクトが登場してきて、人々は別々の方向へと引き入れられてしまった」

ドージコインの生みの親の1人、ジャクソン・パーマー氏(2018年)
最も悪名高いスキャンダルは、アレックス・グリーン(Alex Green)という偽名を使ったユーザーによる詐欺事件だろう。彼はまず、ドージを気前良く配ったり、チップを払ったりして、ドージコイン保有者コミュニティを惹きつけた。その後、自ら立ち上げたプロジェクトの「Moolah」と呼ばれる取引所に投資するように人々を誘った。

グリーンはまもなく、ライアン・ケネディー(Ryan Kennedy)という名の詐欺師であることが判明。Moolahは破綻し、(おそらく)ケネディーは集めた資金の大半を自分の懐に入れた。それから数年後、ケネディーは性犯罪者として服役することとなった。

「ドージコインコミュニティは立て直しをしなければならなかった」と、ウェブメディア「Vice」のケイリー・ロジャーズ(Kaleigh Rogers)氏は2015年に報じた。「多くの人がドージコインをすっかり見捨てた。より疑い深くなって、手持ちのコインを気前良く扱わなくなった人もいる。誰を、何を非難すればいいのかを見極めようと、人々は成果の伴わない努力を続けていた」

一方で、ドージコインの精神を受け継ぎ続けた人たちもいる。「ドージコインの教えに捧げる4日間」と売り込まれたイベント「DogeCon」をカナダのバンクーバーで2018年に開催したラチャンス氏のように。

2018年はいぬ年であったことから、当然ドージコインファンたちはドージの年を祝った。しかし、彼らでさえも「暗号資産の冬の時代(クリプト・ウィンター)」に停滞させられ、イベントの数は減少した。「一度大きな弱気市場に直面したら、活力が大いに削がれてしまった」とGoodShibe。

どこか別のパラレルユニバースにおいては、これでストーリーの終わりとなっていたかも知れない。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock
|原文:‘Silliness Is Next to Godliness.’ Why Doge Still Thrives

  • >>119

    ドージコインがいまだに好調な理由──人気に潜むパラドックス【後編】

    月日は流れて2020年の夏。「ドージコインに投資して、俺をリッチにしてくれ」とティックトック(TikTok)に投稿したのは、@karimhemdan12T。

    ドージ(DOGE)価格を吊り上げようとする多くのティックトック・インフルエンサーの1人だった。価格は一時的に2倍になったが、ティックトックでの後押しを受けた後も、ドージコインの価格は2021年1月時点で、1セントにも満たなかった。

    インターネットの思いがけない場から、突然関心が寄せられなければ、ドージコインは暗号資産の世界の隅っこを漂う存在になったかもしれない。レディットの株取引サブチャンネル「WallStreetBets」の暗号資産版「Satoshi Streetbets」だ。

    掲示板レディットが火をつける
    「ドージコインを持っているみんな、upvote(賛成票)をクリックしてトップページに持っていこう」と、あるユーザーが投稿。「レートは私たちが決める。ドージコインを10ドルまで高めよう」

    WallStreetBetsが米ゲームストップの株価を吊り上げたのと同じように、新しいドージコイン保有者やSatoshi Streetbetsのユーザーたちは、ドージ価格を高騰させると誓った。

    途上国に住んでいるために、レートが「毎日毎日、痛手となる」と投稿したユーザーのDeathEater101。彼はドージ価格が1ドルになったら、「その75%を地元の孤児院に寄付して、領収書をここでシェアする。残りは、こんなばか息子を育ててしまった僕の母親に。母が来世ではもっと恵まれますように。ドージを月まで届くほど高騰させよう」と語った。

    価格は急騰し、新しい人たちがドージに飛びついた。価格はさらに高騰し、さらに新しい人たちを惹きつけた。この好循環が続いた。

    イーロン・マスク氏の登場
    そして遂に、最も影響力のあるドージファンの登場だ。

    なぜドージに突然関心が集まったのか?ドージコインのサブチャンネルに投稿を行う、レディットユーザーのCryptoNoobに聞いてみた。

    「イーロン・マスクのおかげと言わなければならないだろう」と、彼は語る。「彼がツイートするたびに、価格が上がる。(中略)だから僕も、便乗して金儲けしようと思ったんだ。それから数週間たったが、ドージコインが生み出したコミュニティが本当に好きになっている。長く付き合うことになるだろう」

    CryptoNoobはドージコインを心から信じており、5月18日にはレディットに「先週仕事を失った。ドージコインをお金に換えてしまえば、だいぶ不安を解消できるだろう。でも、絶対に売ったりはしない」と投稿した。(ドージファンコミュニティの名誉のために言っておくと、彼らの多くが、本当にお金が必要ならドージを売るようにと勧めた)

    「自分の子供時代の写真を見つけた」
    『1980年:自分が熱中しているものはみんなには隠しておかないと。じゃないと社会から仲間外れにされてしまう』

    マスク氏によるドージコイン支持は、非常に奇妙なドージコインの世界における展開の中でも、特に奇妙なものの1つだ。なぜ彼は、他の「真面目な」コインではなく、ドージコインに入れ込んでいるのか?

    5月24日に彼がツイートした通り、「ドージには犬とミームが付いてくる。他のものにはない」からかもしれない。マスク氏のドージに関するツイートでビットコインマイニングの電力を賄えたら、エネルギー危機は解消できるくらいだ。すべて把握するのは不可能なほど、たくさんあるのだ。

    「ドージコインのCEO」と冗談を言い、ドージを燃料に月まで人工衛星を飛ばしたいと宣言。もちろん、最も有名なのは、ビットコインを長期保有している人たちが見捨てられたと感じて、心を痛めた次の発言だ。「ドージ開発者と協力して、システムのトランザクション効率を向上させようとしている。期待できる」

    どうやらこれは、口先だけではないようだ。ドージ開発者のロス・ニコール(Ross Nicoll)がウェブメディア「Decrypto」に語った通り、マスク氏は時折、ドージコイン開発者チームに「慌ただしく作業」をさせるようなメッセージを送っている。ニコール氏は、「マスク氏がトランザクション・スループットを改善させたと言える」と語った。

    ある意味では、マスク氏とドージが仲良しな理由は分かりやすい。マスク氏はふざけたユーモアが大好きだ。彼はミームを大量に送り出し、テスラの声明では、コメディ映画『スペースボール』を引き合いに出し、トンネルを掘削する自らの会社は「ザ・ボーリング(掘削と退屈を意味する)・カンパニー」と呼ぶ。

    例えばビル・ゲイツ氏よりも、ドージにはマスク氏の方が文化的にしっくりくるだろう。多くのドージコインファンは彼を歓迎している。「彼は何が起こっているのかを理解している、あるいは理解したいと考えている人だ」と、GoodShibe。「少なくとも、ドージコインが象徴している考えに彼は惹かれているんだと思う」

    マスク氏に対する複雑な思い
    ドージファンの中には、マスク氏が先頭に立っていることに大喜びしている人たちもいる。「イーロン・マスクは、ドージコインを自分の会社の1つのように扱っているみたいだ」と、ドージファンの@itsAllRiskyはツイートした。

    「積極的にドージを売り込み、コミュニティと関わり、自分のエンジニアリングとリーダーシップの優れた腕前をドージの発展に貢献するために使っている。イーロンが『ドージのCEO』でいてくれれば、私たちは安泰だ!」

    これにはマスク氏本人が、お決まり通り、わずか数時間後に返信した。「ドージコインには正式な組織はないこと、誰も私の部下ではないことを覚えていて欲しい。私が行動を起こせる範囲は限られている」

    ドージの生みの親の1人であるビリー・マーカス(Billy Markus)氏は、マスク氏の関与を構わないと思っている。「バカらしさを楽しんでいるようだ」と、マーカス氏は述べ、ドージが「ジョークから生まれて、世界に大きな影響をもたらす可能性を持つもの」へと進化したことを、マスク氏が評価しているのだと考えている。

    ゲリー・ラチャンス氏も同じ意見だ。「彼は分かっている」と、ラチャンス氏。彼特有のゆっくりとした声で語りながら、マスク氏も自分と同じような喋り方をすることを指摘。「実際に会ったら、すごく良い友達になれると思う」

    しかし、ドージにリーダーは必要なのか?ラチャンス氏は親マスク派だが、1人の人物が、それが誰であれ、出しゃばって、ドージそのものの精神が二の次になってしまうことを心配している。

    「ドージパパ」といったあだ名はラチャンス氏を不安にさせる。「ドージが最優先だ」と、ラチャンス氏。「『宗教』という言葉は使いたくないが、私たちはドージを解釈しているだけだ。私がドージを代弁することはできないが、私の解釈では、バカらしさと善意、そしてコミュニティを呼び起こす素晴らしい化身なのだ。私はドージの味方だ」

    一方、ピンギーノ氏は、マスク氏について葛藤を感じているようだ。「複雑な心境だわ」と、長い沈黙の後に彼女は語った。コミュニティのメンバーの多くが、彼を尊敬し、心酔していると、彼女は話す。

    それでも。「誰かが暗号資産を、ツイート1つで暴落させることができるというのは良くない気がする」と続けた。「高騰させる力を持つと言うことは、急落させる力も持つということ」

    結局のところ、「マスク氏があまり関わらない方が、ドージにとってはたぶん良いと思う」と結論づけた。

    昔とは違うドージコイン保有者
    2021年が始まる前、レディット上のドージコインのサブチャンネルのメンバーは約10万人だったと、マーカス氏は語る。

    今、その数は200万人だ。

    チップボットや「DogeRain」アプリで楽しんでいた、お気楽な人たちとは雰囲気が異なっている。新規参入者の大半はお金儲けが目当てだと、マーカス氏は認めるが、それでもポジティブな雰囲気には希望を感じている。

    「最近では、コミュニティは暗号資産の新人がたどるすべての段階を経験している感じがする」とマーカス氏。

    第1段階は「価値の高まりの可能性に心酔する」。それから「その分野に関心を持ち、さらに詳しく勉強する」。そして最後に、「愛着を感じられるより大きな理念を見つけようとする」

    最近加わってきたドージファンの一部が、より多くの業者や、アメリカがん協会のような慈善団体にドージコインを受け入れるように働きかけていることを、マーカス氏は好ましく思っている。

    反対派の意見も見ていこう。「ここ1年でドージに関わるようになった人の90%は、ボタンを押して、チャートを見ているだけだ」と、初期の頃から関わっているドージ・ドーは語る。「チップを払うこともなければ、支払いに使うこともない。暗号資産について勉強もしていない。株のように、ただ投資しているだけなんだ」

    彼は、昔の輝かしき時代、ドージ価格が1セントにもまったく満たなかった頃に、ドージコミュニティがアフリカでの井戸建設のために3万ドルを集めたことを引き合いに出した。そして今、価格が高騰してからは?「関与している人の大半が、『毎日善き行いをする』というドージの精神に心から傾倒していれば、素晴らしいことが起こりまくっているはずだ」