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医師の処方箋や検査なしにインターネット経由や量販店などでコンタクトレンズを購入する不適切販売に歯止めがかからない。2017年に厚生労働省がコンタクトレンズの適正販売を促す通知を発出したものの、実効性に乏しく、関係者は不適切販売是正への道のりが険しいことを思い知らされた格好だ。そのような中、これまでのように規制を強化する方法ではなく、市場原理に逆らわずにユーザー、メーカー、眼科医の三者がメリットを享受できるとした、新しい販売システムが立ち上がった。この試みは閉塞的な状況を打破できるのだろうか。新システムを始めたさど眼科(仙台市)院長の佐渡一成氏に解説してもらった。

JAPANWAY CONTACTLENSのシステム設計

眼科医の処方
処方を遵守した販売
安価
スマホで支払いまで
自宅以外での受け取りなどの利便性

 コンタクトレンズの価格は他のネット販売に競争力があるとしており、「乱視用や遠近両用レンズは明らかにわれわれのシステムの方が安価」だという。競争力の高い価格に設定できる理由は、ユーザーからの注文をメーカーに転送しメーカーから配送するシステムを利用して他のネット販売と同様に人件費を低く抑えていることに加え、適正販売を目的に運営するため利益を削り価格を抑えているためだと同氏は説明している。同社の公式サイト上にバナー広告を掲載するなどしてコンタクトレンズ販売以外で売り上げが確保できればさらに価格を下げることも考えているそうだ。

 このシステムを使えば、ユーザーは検査の手間と費用がかかるものの、コンタクトレンズに関しては安価に入手できる。メーカーにとっては新しい販売チャネルを増やすことになり、現在6社が参加を表明している。眼科医にとっては安価なレンズを患者に提供できるので、来院患者数の増加が見込め、三者ともメリットがある。

併設販売所での売り上げが減少しても、検査受診者が増える

 このシステムは動き始めたばかりで、佐渡氏はフォーサム2019京都(7月5~7日)で発表、機械展示でもデモンストレーション行うなど、眼科医に同システムの利用を呼びかけている。

 同氏はこのシステムのことを「医業に当たって営利を目的としない」とも表現する。併設のコンタクトレンズ販売店を持っている眼科では、このシステムを利用すると併設店でのコンタクトレンズ販売の売上が落ちてしまう。しかし、「コンタクトレンズ定期検査の受診者が増えていけば長期的には収益を安定できる」と強調している。

 このシステムを立ち上げるきっかけになった、総合病院眼科外来・入院の医療スタッフへのアンケート結果で、約半数は定期検査を受けていなかったことが明らかになっている。「医療スタッフ自身が定期検査を受けていなければ、患者を指導することが難しい」として大学病院、総合病院の眼科スタッフにもこのシステムの利用を促している。院内で検査を受けこのシステムでコンタクトレンズを職場受け取りにすれば忙しくても適切なコンタクトレンズ購入が可能だからだ。既に一部の大学病院で実施するように準備を進めている。

 コンタクトレンズ販売の適正化は関係者にとって大きな課題。今までになかったアプローチがどのような影響を与えるのか注目されている。