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サンバイオ(株)【4592】の掲示板 2019/02/11


科学技術
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ゲノム編集、安全性高く 米大教授ら新手法、治療応用に期待
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米カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授らは、遺伝子を効率よく改変するゲノム編集技術の新しい手法を開発した。ダウドナ教授は広く使われている現在のゲノム編集技術を開発し、ノーベル賞の最有力候補の一人と目されている。従来よりも小型で安全性が高く、ゲノム編集を使った遺伝子治療への応用が期待される。
ゲノム編集は1996年に最初の手法が開発され、2012年にダウドナ教授が仏の研究者らと「クリスパー・キャス9」という優れた手法を開発した。精度の高さや使い勝手のよさなどから世界の研究者に広まり、農作物の品種改良や遺伝子治療への応用が急速に進んでいる。
ダウドナ教授らは新しい手法をDNAを切断する酵素にちなんで「クリスパー・キャスX(エックス)」と名づけた。クリスパー・キャス9で使う酵素の4割ほどと小さい。人の細胞を使って、遺伝情報を操作できることを確かめた。
新手法はクリスパー・キャス9では難しいとされる遺伝子治療への応用が期待されている。遺伝子治療は無毒化したウイルスを使い、細胞に治療用の遺伝子を運び、病気の原因遺伝子を修復する。ウイルスに載せるDNA切断用の酵素が大きいと、病気の細胞にうまく届かないという課題があった。研究グループは「キャスXが突破口になる」とみている。
ゲノム編集は受精卵に施すと、親の望んだ容姿や能力を持つ「デザイナーベビー」につながるなど倫理的な問題を抱える。中国人研究者がゲノム編集を施した双子を誕生させると、世界から猛烈な批判を浴びた。遺伝子治療は出生後の患者が対象で、血が固まらない血友病や筋力が低下する筋ジストロフィーといった遺伝性の難病の治療に役立つと期待を集める。
研究グループはこのほかにも「クリスパー・キャスY」など有望な酵素を見つけている。今後、こうした酵素の機能などを解明し、ゲノム編集への応用に取り組む。