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[特集]電力×インテル/データがもたらすビジネスの「進化」(2)
◆高市氏/業務効率化やVPPに可能性
◆張氏/新技術で強固な顧客基盤活用を

 ◇大規模集中型から分散型へ
 間庭 この1年間で「IoT」「デジタル」といった言葉が急速に浸透した。業界の変化をどう感じるか。
 高市 大規模集中型電源から一方通行で電気が流れるという前提が崩れつつある。その認識は広まりつつあり、特に託送部門は敏感に感じ取っている。
 張 会社によって温度差はあるが、多くの方が変化の必要性を指摘している。分散型電源が増加し、現在のビジネスモデルを維持できるか危機感を感じておられるのだと思う。
 間庭 従来型ビジネスモデルの破壊は現実味を帯びつつあるのか、将来シナリオの一つにすぎないのか。
 高市 個人的には「来るかどうか」ではなく「いつ来るか」だと思う。少子高齢化で過疎化が進むと配電線を維持することが難しくなる。独立分散型のシステムに移行する可能性はある。道路や行政サービスも同様の問題を抱えており、法的枠組みや都市機能の在り方を含め、一体的に議論する必要がある。
 間庭 デジタル化はあらゆる産業に一気にビジネスモデルの変革をもらたしている。
 張 電力会社のビジネスモデルは「破壊」ではなく「進化」だと思う。電気を届ける仕事そのものは社会インフラを支える重要な役割であり、今後も継続されるからだ。その進化が早い要因の一つは技術の進歩にある。新しい技術を誰でもオープンに使える状況になったことが大きい。
 間庭 日本の電力システムの一部は職人的な技術によって独自の進化を遂げたが、デジタル化という大量生産技術はどこまで便利なのか。
 高市 職人技の典型は配電自動化システムだ。独自の通信方式と制御ロジックが組まれ、セキュリティー上は強いが、他に応用できない。デジタル化が進んだ今は、熟練の職人を育てなくても、標準化された技術の組み合わせによって大部分の機能を実現できる。
 張 職人技が否定されたわけではない。オープン化によって職人同士の競争が生まれ、進歩が早くなる。インテルも基礎技術をオープン化することで誰でもパソコンを作れる状況を生み、コストを削減してきた。

 ◇攻めと守りの両面で効果的
 間庭 デジタル化の効用は、設備の効率的な活用と新サービス創出の2つ。送配電部門では、どのような視点で取り組んでいるか。
 高市 ご指摘の通り、“守り”と“攻め”がある。労働力が減る中で高経年設備をいかに効率的に更新するかが“守り”の視点だ。3月から電柱の巡視結果のビッグデータ解析を試みている。その結果、例えば電柱の傾斜は、ある経年までは偶発的だが、それを超すと経年に加え不平衡張力が大きな要因であることが分かった。解析が進めば、点検作業の効率化や建て替え時期の繰り延べが可能になる。
 “攻め”の一例はVPPだ。家庭や事業所の多数の蓄電池を火力発電所に代わる調整力として活用したい。電気自動車(EV)を組み込むことも可能だ。EVは電線に代わる電力の輸送手段になるかもしれず、注目している。
 張 “守り”と“攻め”の両面から電力会社の進化をサポートしている。当社は最終製品を作っておらず、他業界の役立つ技術を紹介する「つなぎ」の役目を担う。例えば、ピアツーピア(P2P)で安全に取引できるブロックチェーン。個人間で電力取引する来るべき時代において、多数の新規参入者による混沌を避けるために、電力会社が主導した方がいいという考え方はある。
 間庭 1~2年前は懐疑的な見方が多かった。いまや、あらゆるものがピアツーピアでつながれようとしており、この分野に積極的に関与し始めた電力会社もある。
 張 電力会社の強みは強固な顧客基盤。それは、誰よりもデータを持っていることを意味する。今後は電力を売るだけでなく、データを活用してお客さまの求めるサービスを提供することが重要だ。
 間庭 これまで電力会社のコア・コンピタンスは一言で言えば安定供給だった。事業の存続基盤は何かを今、見つめ直す必要があるのではないか。
 高市 需要と供給のバランスをいかに取るかだと思う。系統の中でピアツーピア取引やVPPなどの商売ができるプラットフォームを構築し、全体のバランスを調整する。それができるのは電力会社しかない。