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骨は珊瑚、目に真珠の掲示板

>>1019

証券取引等監視委員会による強制調査

 投資家からの不信感が強まるなか、2021年1月以降、セネ社の関係者とみられる人物が、テラやセネ社の役員の会話や取締役会の審議内容をインターネット上で公表する事態に発展した。さらに2021年3月、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反の疑いでテラやセネ社などの関係先の強制調査に動いた。
 テラは2020年9月、特別利益や損失を開示したが、開示は遅かった。同年12月、東証から公表措置や改善報告書の徴求措置を受けたが、措置決定後も新たな不適正開示が発生するなど、ガバナンス改善に後手に回っていることも明らかになった。
 テラは2021年7月、平智之代表取締役が辞任した。新しい代表取締役には真船達氏が就任したが、ガバナンス体制の強化や、社内の人材拡充など課題が山積している。

調査報告書で衝撃の事実が

 テラは8月16日、セネ社との取引を調査していた法律事務所から調査報告書を受領し、発表した。そこにはイダルゴ州で薬事申請していたプロ社の存在が確認できなかったとされている。TSRの提携するD&B社の海外企業データベースでも同社の存在は確認できない。
 また、イダルゴ州やメキシコ合衆国の他州で医薬品が薬事承認(衛生登録)される制度も存在しなかった。テラが開示した情報で、事実と異なる開示事項が次々と浮かび上がり、9月27日、追加調査が公表された。報告書では、セネ社の説明や提供された根拠資料が誤りだったり、不十分であったにもかかわらず、徹底した追加確認ができていなかった点を指摘している。

セネ社は破産開始決定

 第三者割当増資でテラとトラブルとなっていたセネ社は、テラの株式譲渡を巡る件でもトラブルが発生していた。訴訟記録などによると2021年3月以降、セネ社はテラ株式を保有する人物と、別の法人による株式譲渡の連帯保証をしていたようだ。
 だが、その譲渡取引の代金を巡ってトラブルが発生し、セネ社は連帯保証契約に基づく請求で訴訟になった。
 そして、セネ社は2021年4月、債権者から破産を申し立てられた。一方、セネ社も他社に債権者破産を申し立て、訴訟合戦となったが、9月6日、セネ社は東京地裁から破産開始決定を受けた。セネ社が申し立てた債権者破産は棄却されたという。
 訴訟は、破産開始決定で中断している。

  • >>1020

    最終赤字は8期連続

     テラは業績も下降線をたどる。直近で連結の最終利益が黒字だったのは、2012年12月期が最後で、2013年12月期から2020年12月期まで8期連続の最終赤字が続く。
     売上減も深刻で、2017年12月期に売上高10億円を下回り、その後も下がり続け、2020年12月期の売上高はわずか7636万円だった。
     このため、2018年12月期以降は売上高より最終赤字額が大きい異常な状況が続く。赤字が累積し債務超過を避けるため、増資などで純資産額の積み上げ株価対策を急いでいた。
     当時のジャスダック上場廃止には、5期連続の営業赤字と営業キャッシュフローのマイナスという基準があった。テラは営業赤字が5期以上続いたが、営業キャッシュフローは2017年12月期にプラス4700万円で、同基準には該当していない。

     事実と異なる相次ぐ開示で、テラの株価は乱高下し、渦中のセネ社は破産した。
     テラは新しい役員らがガバナンス強化を急ぐが、セネ社との取引で事実と異なる情報を次々と開示した責任は重い。
     さらに、これだけの騒動を起こしたセネ社に共同事業契約の解除や1億円の返還を求める請求を起こしたのは2021年8月23日だった。損害賠償請求に至っては準備を進めていたが、「破産手続きに従い請求せざるを得ない」という状況だ。あまりの遅さに本気度すら疑われる。
     一般論として、有価証券報告書等の虚偽記載の開示は、虚偽の内容により東証が特設注意市場銘柄に指定する。内部管理体制の改善見込みが立たない場合、上場廃止に進む可能性もある。
     テラにどのような処分が下るのか。証券取引等監視委員会の強制調査の行方も気になる。コロナ禍で投資家を惑わせた開示への責任は、決して小さくない。