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骨は珊瑚、目に真珠の掲示板

>>1018

新型コロナ新薬開発の発表で株価高騰

 2020年に新型コロナウイルス感染が広がると、テラ周辺が騒がしくなる。テラに関係していた人物が保有する株式を、首都圏の会社に譲渡する契約でトラブルが発生。この取引の連帯保証をしていたとされるのがセネ社で、関係者とセネ社は訴訟に発展した。
 もう一つは、2020年4月にテラはセネ社と業務提携を結び、新型コロナに有効な新薬開発事業を始めたと開示した。コロナ禍の不安が広がる中での発表で、投資家の期待を集め株価は急騰した。
 こうした事が複雑に絡み合い、問題発覚に繋がっていく。

薬事申請の虚偽報道を否定

 テラは2020年5月、メキシコで新型コロナに対する臨床研究が開始されたと発表した。だが、同年6月に一部週刊誌などで治療薬開発は行われていないと報じられると、テラはセネ社から治療新薬の臨床試験は承認されているとすぐに反論した。
 その後、セネ社の当時の社長がメキシコ・イダルゴ州知事と共同会見を行ない、同知事によるメキシコ政府への薬事申請、セネ社の子会社プロメテウス・バイオテック(以下プロ社)の薬事申請はイダルゴ州保健局に行われていた、などの情報を相次いで開示した。
 そして、8月にはプロ社の発行済株式の51%をセネ社から取得し、子会社化するための株式譲渡契約書の締結を開示した。
 こうした一連の動きについて、薬事承認は虚偽と指摘するネット上の投稿もあったが、テラは虚偽でないと否定。10月にはセネ社を割当予定先とする約36億円の第三者割当増資を開示した。
 だが、第三者割当増資は12月に一部払込みがあったものの、大半は失権した。さらに同月、株式を取得したプロ社がイダルゴ州以外での薬事承認が得られる見込みがなく、セネ社に買い戻しや譲渡代金の支払いと増資にかかる10億円の違約金支払いを求めたが、セネ社からは応答がなかったという。
 テラの株価は、6月9日の2175円をピークに下落。そして2020年12月28日、終値が223円とピークの約10分の1にまで下落した。

  • >>1019

    証券取引等監視委員会による強制調査

     投資家からの不信感が強まるなか、2021年1月以降、セネ社の関係者とみられる人物が、テラやセネ社の役員の会話や取締役会の審議内容をインターネット上で公表する事態に発展した。さらに2021年3月、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反の疑いでテラやセネ社などの関係先の強制調査に動いた。
     テラは2020年9月、特別利益や損失を開示したが、開示は遅かった。同年12月、東証から公表措置や改善報告書の徴求措置を受けたが、措置決定後も新たな不適正開示が発生するなど、ガバナンス改善に後手に回っていることも明らかになった。
     テラは2021年7月、平智之代表取締役が辞任した。新しい代表取締役には真船達氏が就任したが、ガバナンス体制の強化や、社内の人材拡充など課題が山積している。

    調査報告書で衝撃の事実が

     テラは8月16日、セネ社との取引を調査していた法律事務所から調査報告書を受領し、発表した。そこにはイダルゴ州で薬事申請していたプロ社の存在が確認できなかったとされている。TSRの提携するD&B社の海外企業データベースでも同社の存在は確認できない。
     また、イダルゴ州やメキシコ合衆国の他州で医薬品が薬事承認(衛生登録)される制度も存在しなかった。テラが開示した情報で、事実と異なる開示事項が次々と浮かび上がり、9月27日、追加調査が公表された。報告書では、セネ社の説明や提供された根拠資料が誤りだったり、不十分であったにもかかわらず、徹底した追加確認ができていなかった点を指摘している。

    セネ社は破産開始決定

     第三者割当増資でテラとトラブルとなっていたセネ社は、テラの株式譲渡を巡る件でもトラブルが発生していた。訴訟記録などによると2021年3月以降、セネ社はテラ株式を保有する人物と、別の法人による株式譲渡の連帯保証をしていたようだ。
     だが、その譲渡取引の代金を巡ってトラブルが発生し、セネ社は連帯保証契約に基づく請求で訴訟になった。
     そして、セネ社は2021年4月、債権者から破産を申し立てられた。一方、セネ社も他社に債権者破産を申し立て、訴訟合戦となったが、9月6日、セネ社は東京地裁から破産開始決定を受けた。セネ社が申し立てた債権者破産は棄却されたという。
     訴訟は、破産開始決定で中断している。