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骨は珊瑚、目に真珠の掲示板

ジャスダックのテラ 1年間の開示の4割が事実と異なるおそれ

https://news.yahoo.co.jp/articles/f1f7fa5cc835aaaccda0f58b6942702a37298702

バイオベンチャーでコロナ治療薬の開発で株価が急騰したテラ(株)(TSR企業コード:296045896、新宿区、ジャスダック上場)は、2020年4月から1年間に適時開示した60件のうち、4割にあたる24件で一部、または全部が事実と異なっている、またはそのおそれがあると発表した。
 メキシコで共同研究を契約した企業の正式な会社名すら断定できない。また、臨床試験の実在性にも嫌疑が生じ、株式取得を発表した会社は存在が確認できなかったなど、上場会社としてあり得ないガバナンス(企業統治)不全に陥っている。
 テラに9月17日、取材を申し込んでいるが、9月28日17時までに回答はない。
 コロナ禍を騒がせた記載などで揺れるテラを取材した。

 新型コロナ感染拡大でワクチンや治療薬が注目されていた2020年4月27日、テラはCENEGENICS JAPAN(株)(TSR企業コード:134023846、千代田区、以下セネ社)と新型コロナ治療法の開発に関する提携を発表した。これを好感しテラの株価は同日初値165円からジリジリと上昇し、5月22日に1000円に乗せ、6月9日は2175円まで急騰し、注目を集めていた。

ガバナンスやコンプライアンスに問題も

 テラは、免疫で重要な働きを担うとされる樹状細胞ワクチン療法の研究開発などを目的に2004年6月、設立された。5年後の2009年3月にはジャスダック上場も果たした。
 順風満帆にみえたが、2018年に株式売却や増資に絡むガバナンス問題が発覚。第三者委員会は矢崎雄一郎社長(当時)に対し、「上場企業の経営者として求められるコンプライアンス意識の水準に達していないものと評価せざるを得ない」と厳しく指弾した。
 矢崎氏は同年解任され、代表取締役に遊佐精一氏が就任したが、2019年3月には平智之氏に交代した。しかし、同年7月に再度、有価証券報告書等の重要な事項の不記載で、証券取引等監視委員会から課徴金納付命令の勧告を受け、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンスの強化が急務になっていた。

  • >>1018

    新型コロナ新薬開発の発表で株価高騰

     2020年に新型コロナウイルス感染が広がると、テラ周辺が騒がしくなる。テラに関係していた人物が保有する株式を、首都圏の会社に譲渡する契約でトラブルが発生。この取引の連帯保証をしていたとされるのがセネ社で、関係者とセネ社は訴訟に発展した。
     もう一つは、2020年4月にテラはセネ社と業務提携を結び、新型コロナに有効な新薬開発事業を始めたと開示した。コロナ禍の不安が広がる中での発表で、投資家の期待を集め株価は急騰した。
     こうした事が複雑に絡み合い、問題発覚に繋がっていく。

    薬事申請の虚偽報道を否定

     テラは2020年5月、メキシコで新型コロナに対する臨床研究が開始されたと発表した。だが、同年6月に一部週刊誌などで治療薬開発は行われていないと報じられると、テラはセネ社から治療新薬の臨床試験は承認されているとすぐに反論した。
     その後、セネ社の当時の社長がメキシコ・イダルゴ州知事と共同会見を行ない、同知事によるメキシコ政府への薬事申請、セネ社の子会社プロメテウス・バイオテック(以下プロ社)の薬事申請はイダルゴ州保健局に行われていた、などの情報を相次いで開示した。
     そして、8月にはプロ社の発行済株式の51%をセネ社から取得し、子会社化するための株式譲渡契約書の締結を開示した。
     こうした一連の動きについて、薬事承認は虚偽と指摘するネット上の投稿もあったが、テラは虚偽でないと否定。10月にはセネ社を割当予定先とする約36億円の第三者割当増資を開示した。
     だが、第三者割当増資は12月に一部払込みがあったものの、大半は失権した。さらに同月、株式を取得したプロ社がイダルゴ州以外での薬事承認が得られる見込みがなく、セネ社に買い戻しや譲渡代金の支払いと増資にかかる10億円の違約金支払いを求めたが、セネ社からは応答がなかったという。
     テラの株価は、6月9日の2175円をピークに下落。そして2020年12月28日、終値が223円とピークの約10分の1にまで下落した。