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>>159

日銀・黒田総裁会見4月27日(全文3完)2%目標は適切、引き下げは考えていない

     ◇     ◇

現実的な目標を再設定する必要性はないのか
北海道新聞:北海道新聞の【ツチヤ 00:49:07】です。2%の目標達成が見通せない中で、まずはもう少し現実的な目標を再設定する必要性はないのでしょうか。やはり欧米の中央銀行が同様の目標を設定する中で日本銀行だけが引き下げるというのはなかなか難しいんでしょうか。お考えをお聞かせください。

黒田:2%の目標については従来から申し上げているとおり、まず第1には消費者物価指数が実態よりも高めに出るという傾向があるということで、その点を考慮しなければならないと。つまり消費者物価指数の上昇率がゼロでも実際はデフレなのかもしれないということなんですね。

 それからもう1つはやはり金利政策を円滑に運用するためにもある程度の余地というか、政策の余地がある必要があるということから、日本銀行のみならず主要先進国の中央銀行が全て2%の物価安定の目標というものを掲げて金融政策を運営しているというのが現状であります。その結果として先ほど来申し上げているとおり、主要国の中央銀行がみんな2%の物価安定目標を掲げて政策を運営しているということが結果的に主要国間の為替レートを中長期的に見て安定させているという効果があることも事実だと思います。

 いずれにせよ今申し上げたような理由から2%の物価安定目標というのは適切であると考えておりまして、これを引き下げるというようなことは考えていないということであります。

ノンバンクへの金融当局の視線が厳しくなっているようだが
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ 00:51:08】と申します。金融システムに関連してなんですけれども、昨今話題になっておりますファミリーオフィスの問題も含めてですけれども、ノンバンクに対する金融当局の視線が特に欧米中心により厳しくなっているようにみられるんですけれども、金融システムに与える影響ですとか総裁の現状認識を伺えればと思っています。

黒田:今ご指摘の点はまさにそのとおりでありまして、最近のFSBであるとかIMFとかいろんなところが金融システムに関して特にノンバンクの金融機関がかなり大きなシェアを占めるようになり、その活動、行動がさまざまな影響を与えうるということはそのとおりであります。わが国の場合、欧州の大陸諸国とよく似て金融システムっていうのが、銀行が非常に大きな役割を果たしているということで、ノンバンクの金融機関が大きなシェアを占めるというふうになっていませんが、ご案内のようにわが国の金融機関もさまざまな金融の投融資を行っておりまして、そうした観点から諸外国のノンバンク金融機関の活動、あるいはその動きが間接的にわが国の金融機関に影響を与えるという可能性も高まっているわけで、最近の分析でも示されているように、いわゆる連関性が高まっているということもありますので、単にわが国のノンバンクの動きをモニターするというだけでなく、諸外国のそういった動きにも十分注意して見ていく必要があると。そういう意味では諸外国の中央銀行との情報交換、意見交換というものも密にやっていく必要があるというふうに考えています。

達成できる根拠はどこにあるのか
朝日新聞:朝日新聞の【江渕 00:54:07】と申します。よろしくお願いします。2点ありまして、あらためて2%の目標についてなんですけれども、時間は掛かるけれども物価目標を達成できると考えているとおっしゃっているのですが、すでに8年で、残りの任期を合わせて10年で、政策を総動員しても困難であるということが分かってきたという中で、今後さらにコロナの下押し圧力があったりとか、政策の幅も今までよりも限られてくるであろう中で、今までよりももしかしたら困難ではないかという気もするんですけれども、それでも達成できるというふうにおっしゃる、その根拠がどこにあるのかということの説明をお願いします。

 というのと、もう1つETFの買い入れの方針を見直されていますけれど、その後のマーケットの動きについてどう見ておられるか。あと、これが事実上の出口への一歩なのではないかという受け止めもあるようですけれども、それへのコメントをお願いします。

黒田:まず2%の物価安定目標につきまして、これまでの金融緩和政策がどのような効果を持ってきたかっていうのは、今回の点検でかなり定量的にも詳しく分析しておりまして、一定の効果を持ってきたっていうことははっきりしていますので、こういったことを粘り強く続けることによって2%の物価安定の目標を達成できるというふうに考えています。2%に達してないっていうことだけで言いますと、リーマンショック後、主要国の多くの国で2%に達していなかったわけですが、10年ぐらいたっても達していなかったわけですけれども、だからといって2%の目標をやめようとか、金融政策の効果がないというような議論はまったくありません。

 それからETFにつきましては、今回の点検で明らかにしたように、市場が大きく動いたときに大規模な買い入れを行うことによって、市場の安定を回復できるということがはっきりいたしましたので、12兆円という、コロナの感染症の影響が始まったときに拡大した上限を、感染症の収束後までもずっと続けて、その範囲内でめりはりをつけてETFの買い入れを行うということで、ETFの買い入れの出口とか、そういうものではまったくないということであります。

未達の理由に説得力がないのでは
朝日新聞:朝日新聞の原です。2%目標についてお伺いしたいと思います。今日、たくさんの記者の方からすでに2%目標の質問が出ていますが、ここで重ねて質問するのは、総裁が2%を達成できなかった理由として挙げられている根拠というか、その理由があまり説得力がないと思うからです。

 例えば原油価格の下落とか、携帯料金の値下げというのは、2~3年の間に、それが理由として挙げられるんだったらともかく、10年間達成できない理由にはならないと思うんですね。10年間あればその間に携帯料金の値上げもあれば、値下げもあれば、原油価格の下落もある。パンデミックの1回は起きる。10年あればいろんなことがあって、それを前提にした政策決定だったはずなんですね。

 で、まったくそれが10年間できない理由にはなっていないのと、もう1つは、粘着的で適合的な期待形成があるということも理由に挙げられていますけれども、これもそんなことはもうとっくの昔からみんな分かっていたよっていう話だと思うんですね。それは黒田総裁が着任される前の白川日銀時代からすでにそういうものはあったわけですよね。それを突破して、黒田バズーカで風穴を開けるというのが異次元緩和だったはずなのに、今さらそれを粘着的で適合的な期待形成を理由に挙げられても、あまり説得力がないというふうに思います。

 そもそもその2%目標、2年で2%を達成するという目標そのものが無理があったのではないかということと、そのとき、2013年の4月5日の記者会見で、総裁は質的・量的緩和でマネタリーベースを目標にするのは、なぜかといえば分かりやすいからだとおっしゃったのですが、結果的には今、イールドカーブ・コントロールやマイナス金利も含めて、これだけ複雑で難解で、とても普通の国民では理解できないような政策、枠組みになっているわけですけれども、最初の2013年4月5日の記者会見のときのお考えに立ち戻って、あらためてそこに無理があったんではないかと、見立てに間違いがあったんではないかという、振り返ってどうお考えでしょうか。

ご指摘のことはまったく当たらない
黒田:演説じゃなくてご質問だけにお受けしますけども、点検の中でもかなり明確に申し上げているように、やはりこの粘着的な適合的期待形成というのは、かなり明確になったということは事実でありまして、これが根っこにあって、さまざまな一時的な要因が起こったときに実際の物価上昇率が下落して、それが粘着的な適合的な期待形成と相まって、一時1.5%程度の予想物価上昇率になったわけですけれども、その後、低下して今現在に至っているということでありまして、ご指摘のことはまったく当たらないというふうに考えています。

読売新聞:それでは質問が終わりましたので、これで記者会見を終わりたいと思います。ありがとうございました。

日経QUICKニュース:すいません、当ててもらったんですけど。

黒田:じゃあどうぞ。

読売新聞:いらしたんで、すいません。

黒田:どうぞ。

  • >>160

    5月以降も減額していくのか
    日経QUICKニュース社:日経QUICKニュースの川上と申します。ちょっと2点ございまして、まずETFについてなんですけれども、4月はまだ買い入れが1回だけということでして、今まで続けていた設備投資・人材ETFも買わなくなってきているというのが現状だと思います。

     マーケットの観測ではあるんですけれども、TOPIXが0.5%とか1%とか超えた日には、今までの例ですと買っていたものが4月にはそうではなくなったということで、なんらかの方針変更があったかと思われるんですけれども、その辺りのお考えをお聞かせいただきたいのと、あとは国債の買い入れ方針についてなんですけども、4月は3月に比べて買い入れ額、減額されています。市場機能の観点から減額したということはあると思うんですけれども、また金利が低下してきている現状、5月以降も減額していくということあるのかどうかということも併せてお聞かせいただければと思います。

    黒田:ETFの買い入れにつきましては点検後の発表でも申し上げているとおり、12兆円の上限の下でめりはりをつけた買い入れを行うということに尽きます。国債につきましても先ほど申し上げたようなことでありまして、基本的にプラスマイナス0.25%の変動幅を明確にして、その下で国債市場の機能度が高まるということを期待して行っているということに尽きます。

    読売新聞:ではよろしいでしょうか。では会見を終わりたいと思います。ありがとうございました。