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prismhit~~~明日から令和ですね。
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>>6845

この動きから浮かび上がる粉飾の変遷はこうだ。当初は現預金の過大計上による粉飾を行っていたため、金融機関から見合い預金の依頼が絶えず、預金残高を減らさざるを得なかった。その減少分を投資有価証券に振り替えたがそれも限界に達し、保険積立金を増やす形の会計処理を行ってきた可能性があるということだ。

今回のように相当前の現預金までは遡れないにしても、投資有価証券ではどうか。約20億円もの架空計上が発覚したが、その多くは仕組み債だった。取引先である電力会社の株式などを除き、計上されていた全てが架空だったことが分かる。仕組み債とは、一般的な債券にオプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ債券のこと。高い利回りを期待できる半面、場合によっては元本が毀損するリスクをはらんでいる。

昌一金属の自己資本に対する仕組み債の割合を考えると、架空ではなく実態がある資産だったとしても、非常に高いリスクを抱えた財務状態であったことは容易に想像がつく。資本が本業以外に投じられることは、リスクマネジメントの観点から十分に注意するべき勘定科目といえる。実際、過大な投資有価証券を問題視し、一定の上限を設けた融資取引にとどめていた取引金融機関も存在した。仕組み債でなかったとしても、12年9月期の年商約20億円を大きく上回る約35億円の投資有価証券はやはり過大だ。

直近決算で約10億円の架空計上が判明した保険積立金はどうか。保険積立金とは、生命保険や損害保険などの保険料のうち、満期返戻金など貯蓄性がある部分を計上するための勘定科目だ。約15億円の年商に対して約14億円の保険積立金は、とても適正な水準とはいえない。

帝国データバンクの調べでは、コンプライアンス違反に起因する倒産は23年度に351件発生。うち粉飾決算は81件にのぼった。今回は3つに着目したが、勘定科目の増減推移を丁寧に見ていくことの重要性を改めて確認できた。不適切にもほどがある企業の倒産に巻き込まれないためにも、違和感を抱いた際には一度立ち止まるべきだろう。