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動くか、岩盤サービス物価 重み増す「第2の力」

「値上げすると知っていたら、もっと早く来たのに」。4月末、日本橋高島屋の写真館に夫婦で訪れた関野雅智さん(31)はちょっぴり肩を落とした。4月から2人以上の撮影料金が1万3200円から1万5400円に上がったためだ。

入籍したのは昨年3月。新型コロナウイルスによる自粛ムードが完全に晴れるまで結婚式の準備を待った結果、新婚記念の写真代は少しだけかさんだ。

写真館を運営する光潮社(東京・渋谷)の堀恵介会長は「人手確保に向けてカメラマンへの報酬を上げるため」と値上げの理由を話す。十数年前にデジタルカメラの普及に伴って現行の価格体系にして以来、初めての値上げだという。

関野さんにはほろ苦い思い出になったが、日本経済にとっては好循環へ向かうサインとなる。

日本のインフレ率は約2年間、日銀が目標とする2%を超える。だが足元までの物価は一時34年ぶりに1ドル=160円をつけた円安や原材料価格の高騰が先導する。植田和男総裁が「第一の力」と呼ぶ要因だ。

これが人件費比率が高いサービス価格の上昇に点火すれば、賃金と物価が互いに高まる「第二の力」につながる。写真撮影代はみずほリサーチ&テクノロジーズが価格変動が乏しいとみる約30品目の「岩盤サービス物価」の一つだ。

今春はこの約30品目の値上げが目立つ。ダスキンは家事代行料などを、日本自動車連盟(JAF)はロードサービス料金をそれぞれ大幅に引き上げた。

野村証券によるとサービス115品目中、3月時点で前年比上昇率ゼロ近傍の品目は31。2年前と比べ半減し、上昇率2〜4%の品目が増えた。こうした値上げが次の賃上げを呼び込めば第二の力は動き始める。

問題はその持続力を保てるかどうか。最大の懸念材料は値動きが大きい足元の円相場の動向だ。

  • >>6702

    連合によると今春の労使交渉の賃上げ率は5%台に達する。それでも明治安田総合研究所は1ドル=170円まで円安が進むと、24年中に実質賃金がプラスにならない恐れがあるとみる。エネルギーや原材料の輸入価格が上昇し、賃上げが物価上昇を上回れなくなる。第一の力がより強まり、第二の力を妨げる構図だ。

    実質賃金が増えなければ消費も伸びず、企業は値上げを続けにくい。帝国データバンクによると上場外食企業100社のうち、24年に値上げする企業は26社と前年から23社減った。

    消費の現場では物価高についていける人とそうでない人との二極化の兆しがみえる。化粧品では「デパコス」と呼ばれる高級品と「プチプラ」と呼ばれる低価格品に人気が集まる。

    中価格品には逆風が吹き、花王は傘下のカネボウ化粧品が手掛けるコスメブランド「コフレドール」の販売撤退を決めた。口コミサイト「アットコスメ」を運営するアイスタイルの遠藤宗社長は「消費者は価格分の価値が得られるかをシビアに見ており、二者択一の傾向は強まる」と語る。

    企業が長年続けた価格の据え置き慣行を改め、高水準の賃上げも決断した。物価と賃金が上がる「普通の経済」に近づいたのは間違いない。それが永続できるかどうか。視界はまだ良好とはいえない。