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ヒラソルと山梨県、老朽化太陽光発電を再生　パネル延命

東京大学発の電力スタートアップ、ヒラソル・エナジー（東京・文京）は山梨県企業局などとの共同研究で、30年近く稼働して老朽化した太陽光発電施設を再生させた。独自の解析技術で修繕箇所を絞り込み、太陽光パネルは交換せずに発電性能を回復させた。全国でも大量廃棄の懸念があるパネルの延命利用につながる。

再生したのは県企業局が1994年に運転を始めた丘の公園太陽光発電施設（同県北杜市、出力95キロワット）。経年劣化と故障で2年半前に運転を停止していた。施設廃止も検討したが、ヒラソルがデジタル技術を使って発電性能を高める配線の組み替えや、故障した周辺機器の改修・交換を実施してこのほど再稼働させた。

再稼働後の期待発電量は年間約10万キロワット時で、94年稼働当初の性能の9割以上の回復を見込む。再生費用は同じ発電所を造りなおす場合に比べて約4分の1で済んだという。ヒラソルは「100キロワット級の太陽光発電所としては国内初となる50年以上の稼働をめざす」としている。

太陽光発電所を巡っては固定価格買い取り制度（FIT）の期間終了後に事業者が維持運営を断念し、設備の放置や廃棄が懸念されている。ヒラソルは効果的な設備の再生によって収益性を確保した長期稼働が可能とみている。

同社は山梨県や山梨中央銀行などが共同出資するグループ会社「百年ソーラー山梨」（甲府市）で県内17カ所の中小規模の太陽光発電所を買い取っている。今回の県企業局の発電所を含めて、合計約1メガワットとなる18発電所を遠隔で集中管理し、効率的に運営する事業を展開する。